「pull the strings」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S10E05で学ぶ英会話

「pull the strings」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

表向きは別の人が動いているように見えて、実は裏で誰かが全部を操っている……そんな構図を一言で言い表したいとき、ありませんか。

そんなときに使える「pull the strings」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第5話、シェルドンが「他の人とも付き合うべきだ」と言い出してエイミーを当惑させるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「pull the strings」の意味とニュアンス

pull the strings
意味:陰で操る、裏で糸を引く、黒幕として動かす

操り人形(marionette)を糸で操る様子に由来するとされる比喩です。表舞台には出ずに、背後から人や物事を意のままに動かす「黒幕」のイメージを伝えます。

実際に動いて見えるのは表向きの人物でも、その裏で本当に物事を支配しているのは別にいる――そんな権力構造や陰の影響力を表すときに使われます。the strings と定冠詞をつけると「全体を裏で操る」黒幕の意味合いになり、a few strings の形にすると「コネを使って手を回す」という別の頻出用法になります。同じ pull ~ strings でも、続く語によって意味の濃淡が変わるのが面白いところです。

【ここがポイント!】

  • 核は「見えない糸を引いて人形を操る人形遣い」のイメージ
  • 表に出ず背後から支配する「黒幕」を言い表す比喩
  • the strings なら「全体を操る」、a few strings なら「コネで手を回す」と読み分けるのがコツ

『ビッグバン★セオリー』S10E05のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

突然「他の人とも付き合いたい」と言い出したシェルドンに、エイミーが「年に一度しか寝てないのに?」と問い詰めます。すると、シェルドンはその衝動を自分の意志ではなく「進化生物学」のせいにして、責任を擬人化してみせます。

Sheldon: Well, as a male, I have an evolutionary drive to perpetuate my DNA. Restricting myself to a single partner is against my nature.
(つまり、男としてDNAを残す進化的な衝動があるんだ。一人の相手に縛られるのは僕の本性に反する)

Amy: We sleep together once a year. You want other partners?
(私たち、年に一度しか寝てないのよ。他に相手が欲しいわけ?)

Sheldon: Don’t blame me. Blame your pal, biology. He’s the pervert pulling the strings here.
(僕を責めるな。君の相棒、生物学を責めろ。ここで糸を引いてる変態はそいつだ)

The Big Bang Theory Season10 Episode5(The Hot Tub Contamination)

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シーン解説と心理考察

シェルドンが自分の発言の責任を回避しようとする心理が、この一言に凝縮されています。「他の人と付き合いたい」という不穏な発言を、自分の意志ではなく biology(生物学)という抽象的な概念のせいにする。しかも biology を「変態(pervert)」と擬人化し、「裏で糸を引いているのはそいつだ」と黒幕に仕立て上げているのが見どころです。

ここで pulling the strings を使うことで、シェルドンは自分を「操られている人形」の側に置いています。本当は自分の不安や本心が動かしているのに、それを直視せず、生物学という人形遣いのせいにしている構図です。責任転嫁を大げさな比喩でやってのけるところに、シェルドンらしい屁理屈の冴えが表れていると言えます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

操り人形の真上にいる人形遣いを思い描いてみてください。観客から見えるのは舞台で動く人形(=表向きの実行者)ですが、本当に物事を動かしているのは、上から細い糸を引く手(=黒幕)です。

このシーンでは、シェルドンが「自分は人形で、糸を引いている人形遣いは生物学だ」と言い張っています。上から伸びる糸と、それを操る見えない手をイメージすると、pull the strings の「背後から支配する」という核心が、シェルドンの屁理屈とセットで記憶に残ります。

例文で覚える「pull the strings」

黒幕を表すこの表現は、組織の話から日常のコネまで幅広く登場します。意味の幅を3つの例文で確かめてみましょう。

Everyone thinks the manager is in charge, but his assistant is the one pulling the strings.
(みんな部長が仕切ってると思ってるけど、実際に糸を引いてるのは秘書だ)
組織の実権が誰にあるかを語る場面です。the one pulling the strings で「真の黒幕」をすっきり言い表せます。

He used his connections to pull a few strings and get her the job.
(彼はコネを使って手を回し、彼女に仕事を取ってあげた)
こちらは a few strings の形で「コネで便宜を図る」という用法です。同じ pull ~ strings でも、ぐっと日常寄りの意味になります。

A: How did they get approval so fast?
B: Someone behind the scenes must have pulled the strings.
(A:どうしてあんなに早く承認が下りたの?)
(B:裏で誰かが手を回したに違いないよ。)
不自然な早さの裏にある力を推測する往復のやり取りです。behind the scenes と組み合わせると黒幕のニュアンスがいっそう際立ちます。

あわせて覚えたい関連表現

call the shots
(采配を振る、決定権を握る)
call the shots は「表立って決定を下す」ことを指します。pull the strings が「陰で」操るのに対し、こちらは公然と仕切る点が対照的です。

behind the scenes
(舞台裏で、陰で)
場所や状況を表す副詞句です。pull the strings と組み合わせて「舞台裏で糸を引く」とよく一緒に使われ、黒幕のニュアンスを補強します。

the power behind the throne
(陰の実力者、玉座の後ろの権力)
「黒幕の人物」そのものを指す名詞句です。pull the strings がその人物の「行為」を表すのに対し、こちらは「存在」を指す点が違います。

Note|操り人形から生まれた比喩 ―― pull the strings の由来

pull the strings がなぜ「黒幕」を意味するのか。その答えは、舞台の上ではなく、舞台の真上にあります。

この表現は、マリオネット(糸操り人形)を糸で操る様子に由来するとされます。人形劇では、人形遣いが観客から見えない位置に立ち、細い糸を一本一本動かして人形に演技をさせます。観客の目には人形が自分の意志で動いているように映りますが、実際にはすべての動きが上からの糸でコントロールされている。この「見えない場所から、見えない糸で支配する」という構図が、そのまま「表に出ずに物事を操る黒幕」の比喩として定着したと言われています。英語では、その黒幕にあたる人物を puppet master(人形遣い)と呼ぶこともあり、映画や政治報道で「真の支配者」を指す言い回しとして今も生きています。

この由来を知ると、シェルドンが biology を「糸を引く変態」と呼んだ面白さがよく分かります。彼は自分を糸で操られる人形に見立てて、責任を人形遣いに丸投げしていたわけです。

比喩の出どころを知ると、セリフの可笑しみが二重に見えてきます。

まとめ|シェルドンが糸を預けた相手

pull the strings は、表舞台に出ずに背後から人や物事を操る「黒幕」を言い表す比喩です。糸を引く見えない手をイメージすると、辞書的な意味だけでなく、その表現が持つ独特の絵まで一緒に覚えられます。

組織の実権を語るときも、コネで手を回す場面でも、この一言があれば「裏で何かが動いている」という感覚を的確に伝えられます。続く語が the strings か a few strings かで意味が変わる点を押さえておくと、使い分けの幅も広がるでしょう。

責任を生物学という人形遣いに預けたシェルドンの屁理屈を入り口に、この絵になる表現を、英語の引き出しに加えてみてください。

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