海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かが理不尽に責められているとき、思わず「それは違うよ」と割って入って味方した経験はありませんか。あるいは、味方したつもりが相手にはまるで響いていなかった、なんてことも。
そんな場面で活きる「stick up for」(かばう・味方する)を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第21話の後半、シェルドンと言い争ったレナードが、味方してくれたと思ったエイミーに礼を言うシーンから、一緒に見ていきましょう。
「stick up for」の意味とニュアンス
stick up for
意味:(批判や攻撃にさらされている人を)かばう、味方する、擁護する
stick up for は、誰かが責められたり攻撃されたりしているときに、自分が割って入ってその人を守る、という行為を表します。stick には「突き出る」「(まっすぐ)立つ」というイメージがあり、責められている人の前に立ちはだかって盾になる、という絵が根っこにあります。
ほぼ同じ意味の stand up for と比べると、stick up for のほうがくだけた口語的な響きを持ち、日常会話で人をかばう場面に特によくなじみます。守る対象は人が中心ですが、自分の信念(what you believe in)を守る、という使い方もできます。日本語の「肩を持つ」「かばう」に近い、温度のある表現です。
【ここがポイント!】
- 責められている人の前に立って盾になる、というのが核のイメージ
- stand up for より口語的で、人をかばう日常会話にしっくりくる一言
- 守る相手は人が中心だけれど、信念を守る使い方もできるのが幅
『ビッグバン★セオリー』S09E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。ルームメイト合意のミーティングを巡ってシェルドンと衝突したレナードは、グループが二手に分かれたあと、自分の側についてくれたと思っていたエイミーに感謝を伝えます。ところが、その感謝は思わぬ方向に空振りします。
Leonard: Anyway, Amy, thank you for sticking up for me.
(とにかくエイミー、味方してくれてありがとう)Amy: Oh, I honestly couldn’t care less.
(あら、私は正直どうでもいいの)Leonard: Sorry?
(え?)Amy: Well, I just took your side ‘cause sometimes I get annoyed at how close Sheldon and Penny are.
(ただ、シェルドンとペニーが仲良すぎるのにイラっとすることがあって、それであなたの側についただけ)The Big Bang Theory Season9 Episode21(The Viewing Party Combustion)
シーン解説と心理考察
レナードは「sticking up for me(味方してくれた)」と、エイミーが自分のために立ち上がってくれたものと信じて礼を述べています。ところがエイミーの返答は「どうでもいい」。実は彼女がレナード側についたのは、シェルドンとペニーの距離の近さへの苛立ちが理由で、レナードを守るためではなかったことが明かされます。
stick up for が「誰かのために立ちはだかって守る」という能動的な行為を指すからこそ、その前提そのものが崩れる落差が際立ちます。盾になってくれたと思って感謝したら、当の本人は盾になどなっていなかった――レナードの肩透かしが、このフレーズの輪郭をくっきりと浮かび上がらせています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
誰かが責められている場に、自分が棒のように一本スッと立ちはだかって(stick up)前に出る――その姿を思い浮かべてみてください。立ちはだかった人が盾になり、後ろの相手を守る。これが stick up for の絵です。
このシーンでは、レナードが「エイミーという盾が自分の前に立ってくれた」と思い込んで感謝したのに、振り返ったらそこには誰も立っていなかった、という空振りが起きています。「立ちはだかってくれたと思ったら、誰もいなかった」レナードの肩透かしと一緒に覚えると、stick up for の「前に出て守る」というイメージが記憶に残りやすくなります。
例文で覚える「stick up for」
人をかばう場面で活きる stick up for を、感謝・描写・会話の3つの角度から見てみましょう。
Thanks for sticking up for me in that meeting. I owe you one.
(あの会議でかばってくれてありがとう。借りができたね)
会議で自分の意見が攻撃されたときに、味方してくれた同僚へお礼を言う場面です。owe you one(借りができた)とセットで使うと、感謝の気持ちが自然に伝わります。
Nobody stuck up for the new guy, so I decided to say something.
(誰も新人をかばわなかったから、私が口を出すことにした)
理不尽な状況で誰も声を上げないなか、自分だけが動いた場面です。過去形は stuck up for となり、活用も一緒に押さえておきたいところです。
A: That customer was so rude to you. Are you okay?
B: I’m fine. Thanks for sticking up for me back there.
(A:あのお客さん、あなたにすごく失礼だったね。大丈夫?)
(B:平気だよ。さっきはかばってくれてありがとう。)
職場で同僚が理不尽な相手から守ってくれた直後の会話です。stick up for が「その場で味方する」行為として、会話の中でどう機能するかがよく分かります。
あわせて覚えたい関連表現
stand up for
(〜のために立ち上がる、〜を擁護する)
stick up for とほぼ同義ですが、こちらはややフォーマルで、信念や権利といった抽象的な対象にも広く使われます。人をかばう日常会話では stick up for、正義や信念のために立つ場面では stand up for、と覚えると使い分けやすくなります。
have someone’s back
(〜を後ろで支える、味方でいる)
「いざというとき背後を守る」という、継続的な信頼関係を表す表現です。その場で声を上げる stick up for に対して、こちらは普段から味方でい続けるニュアンスに寄ります。
defend
(〜を弁護する、守る)
一語で表せるややフォーマルな動詞です。stick up for は、この defend と同じ意味を、より口語的でくだけた句動詞に言い換えたものと考えると分かりやすくなります。
Note|stick up for と stand up for ―「かばう」の使い分け
stick up for を調べると、必ずと言っていいほど隣に並ぶのが stand up for です。意味はほとんど同じなのに、なぜ二つの形があるのでしょうか。
両者の違いは、大きく二つの軸で整理できます。一つは口語度です。stick up for はくだけた響きを持ち、友人や家族の会話で「あの子をかばってあげて」というような場面によくなじみます。一方の stand up for は比較的あらたまった響きで、ニュース記事やスピーチでもよく見かけます。もう一つは対象です。stick up for は人を守る場面が中心ですが、stand up for は stand up for your rights(自分の権利のために立ち上がる)、stand up for what is right(正しいことのために立つ)のように、権利・信念・正義といった抽象的な価値を守る文脈で特に好まれます。劇中のレナードのセリフ thank you for sticking up for me は、まさに「人をかばう・くだけた会話」という stick up for の本領が出た一例です。
つまり、目の前の誰かをかばうなら stick up for、信念や正義のために立つなら stand up for と寄せておくと、ネイティブの語感に近い選び方ができます。
意味が同じでも、語の温度で選び分けられるようになると、表現はぐっと自然になります。
まとめ|エイミーの空振りから見える「味方する」の重み
stick up for は、責められている人の前に立ちはだかって守る、という温度のある表現です。stand up for より口語的で、人をかばう日常の会話にしっくりなじみます。
このフレーズが使えるようになると、誰かが理不尽な目に遭っているときに「私が味方するよ」という気持ちを、ひと言で自然に伝えられるようになります。守るのが人でも、信念でも、stick up for は同じ温度で寄り添ってくれます。
レナードの感謝が空振りに終わった一幕は、裏を返せば「本当に誰かのために立つ」ことの重みを照らしてもいます。人をかばう気持ちを言葉にしたいとき、表現の引き出しに加えてみてくださいね。


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