海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
結婚式の場面を思い浮かべるとき、純白のドレスをまとった花嫁がゆっくりと通路を進んでいく姿が、まっさきに目に浮かぶという方も多いのではないでしょうか。
そんな情景にぴったりの「walk down the aisle」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン5第24話の中盤、簡素な結婚式と聞かされたエイミーが、自分の理想の華やかな式を熱く語り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「walk down the aisle」の意味とニュアンス
walk down the aisle
意味:バージンロードを歩く、結婚する
aisle は「教会や会場の中央通路」を指す単語です。結婚式で新婦(あるいは新郎新婦)が祭壇に向かってこの通路を進んでいく動作から、walk down the aisle は「挙式する」「結婚する」こと自体を象徴的に表すようになりました。
文字どおり「通路を歩く動作」を描写する場合もあれば、「彼らは来年結婚する」のように結婚そのものの比喩として使う場合もあります。挙式の情景がともなうため、get married(結婚する)よりも少し情緒的で、人生の節目を感じさせる響きを持ちます。なお aisle は「アイル」と発音し、s は読みません。スペルと音のギャップに最初は戸惑いやすい単語でもあります。
【ここがポイント!】
- 祭壇へ続く通路(aisle)を歩く動作から「結婚する」を表す表現
- get married より情緒的で、挙式の情景が浮かぶ言い方
- aisle は「アイル」、s は発音しない点に注意
『ビッグバン★セオリー』S05E24のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
友人だけのささやかな市役所での式になると知ったエイミーが、自分が思い描いていた華やかな結婚式像を一気に語り出します。バーナデットの式のはずなのに、いつの間にか主役級に目立つ自分の姿を夢見ているのが、エイミーらしさ全開の場面です。
Amy: No, no, no, this is not the wedding I wanted! I want to wear my maid of honour dress and walk down the aisle with a hundred eyes on me, while a string quartet plays The Way You Look Tonight.
(イヤイヤイヤ、これは私が望んでた結婚式じゃない! ブライズメイドのドレスを着て、百の視線を浴びながらバージンロードを歩きたいの、弦楽四重奏が「あなたといると」を奏でる中で)Bernadette: That wasn’t going to be our processional music.
(それ、私たちの入場曲にする予定じゃなかったけど)The Big Bang Theory Season5 Episode24(The Countdown Reflection)
シーン解説と心理考察
友人の結婚式を祝う場のはずが、いつの間にか自分が主役の妄想へとすり替わっていくエイミーのずれた自己中心性が、この一言ににじむ場面です。「百の視線を浴びながら」歩きたいという願望には、長く恋愛から遠かった彼女の、注目されたいという素直な承認欲求が表れています。
入場曲の選曲まで自分仕様に決めていたことがバーナデットのツッコミで明らかになり、彼女の暴走ぶりがいっそう際立ちます。バーナデットの式の話をしているのに、気づけばエイミーの理想の式の話になっている——この会話のすり替わりそのものが、彼女のキャラクターを巧みに見せる演出と言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
まっすぐに伸びた一本の通路を思い描いてみてください。その先には祭壇があり、両側にずらりと並んだ参列者の視線が注がれている——その道を一歩ずつ進んでいく姿が walk down the aisle です。
エイミーが夢見たのは、まさにこの「百の視線が集まる通路」を歩く瞬間でした。彼女の妄想の中の、スポットライトを浴びて堂々と通路を進む姿ごとイメージすると、aisle が「結婚式の晴れ舞台の通路」であること、そしてそこを歩くことが「結婚する」を意味することが、セットで頭に残ります。
例文で覚える「walk down the aisle」
「結婚する」を表す比喩としても、実際の入場の動作としても使える表現です。場面ごとの使い方を3つ見てみましょう。
She walked down the aisle in her grandmother’s dress.
(彼女は祖母のドレスを着てバージンロードを歩いた)
友人の結婚式の様子を語る場面です。実際に通路を歩く動作を描写しており、in 〜 でそのときの装いを添えると情景が鮮やかになります。
They’re finally walking down the aisle next spring.
(彼らはついに来年の春に結婚するの)
カップルの婚約をうれしそうに伝える場面です。進行形にすると、近い将来に結婚するという予定をいきいきと表現できます。
A: Who’s going to walk you down the aisle?
B: My older brother. My dad passed away a few years ago.
(A:誰があなたをエスコートしてバージンロードを歩くの?)
(B:兄なの。父は数年前に亡くなったから。)
結婚式の段取りを相談する会話です。walk someone down the aisle と someone を挟むと「〜をエスコートして通路を歩く」という意味になり、付き添う側を主語にできます。
あわせて覚えたい関連表現
tie the knot
(結婚する)
くだけた口語で「結婚する」ことを指す定番表現です。walk down the aisle が挙式の情景をともなうのに対し、tie the knot は結婚という事実そのものを軽やかに表す言い方です。
get hitched
(結婚する)
さらにカジュアルで、ややくだけた俗語的な響きがあります。walk down the aisle が情緒的・儀式的なニュアンスを持つのとは対照的に、肩の力が抜けた言い方です。
give someone away
(花嫁を送り出す、引き渡す)
父親などが新婦をエスコートして新郎に引き渡す動作を指します。walk down the aisle が歩く本人の動作なのに対し、give away は送り出す側に焦点がある表現です。
Note|「バージンロード」は英語で通じない和製英語
結婚式で花嫁が歩くあの通路を、日本では「バージンロード」と呼びます。ところがこの言葉、英語ではそのまま使っても通じません。和製英語の代表例の一つです。
英語では、あの通路は aisle と呼ばれます。もともと aisle は教会建築で「身廊の両脇にある側廊」や「座席のあいだの通路」を指す建築用語で、スーパーマーケットの「〇番通路」も英語では aisle です。つまり結婚式専用の特別な言葉ではなく、あくまで「通路」を表す一般的な単語が、結婚式の文脈で使われているにすぎません。「バージンロード」という和製英語は、純潔を象徴する white(白)のイメージと「道」を組み合わせて日本で作られた表現とされ、英語圏の人にそのまま言っても、何のことか伝わらない可能性が高いのです。だからこそ、結婚を表したいときは virgin road ではなく walk down the aisle と言う必要があります。
エイミーが walk down the aisle と口にしたのは、まさにこの「通路を歩く」動作を思い描いていたからです。日本語の感覚で virgin road と訳して覚えてしまうと、いざ英語で話すときに通じません。aisle という単語そのものを押さえておくことが、この表現を正しく使う第一歩になります。
ひとつの単語が、文化のすれ違いを静かに教えてくれます。
まとめ|エイミーの夢見た、百の視線が集まる通路
walk down the aisle は、祭壇へ続く通路を歩く動作から「結婚する」を表す、情緒的な響きを持つ表現です。get married よりも挙式の情景が浮かびやすく、人生の節目を語るのにふさわしい言い方と言えます。
「バージンロード」という和製英語ではなく aisle という単語を使う点を押さえておけば、結婚の話題で迷わず口にできるようになります。発音が「アイル」で s を読まないことも、あわせて覚えておきたいポイントです。
注目を浴びる通路を夢見たエイミーの姿は、誰もが少しは抱く「晴れ舞台への憧れ」を映していたのかもしれません。結婚や人生の節目を語る表現として、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


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