「bark up the wrong tree」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S02E02で学ぶ英会話

「bark up the wrong tree」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

誰かを疑って詰め寄ったものの、実はまったく別の相手が原因だったと後で判明して、気まずい思いをした経験はありませんか。

そんな見当違いの疑いを表す「bark up the wrong tree」を、『ホワイトカラー』シーズン2第2話の序盤、汚職議員を追い詰める作戦を練るニールとピーターの会話から、一緒に見ていきましょう。

目次

「bark up the wrong tree」の意味とニュアンス

bark up the wrong tree
意味:見当違いの方向を追う、的外れなことをする

bark up the wrong tree は、直訳すると「間違った木に向かって吠える」という口語表現です。猟犬が獲物を追い詰めたはずの木を取り違えて、実際には獲物のいない木に向かって吠え続けてしまう様子に由来するとされています。

転じて、誰かが間違った対象を疑ったり、間違った方向で努力や推測を重ねたりしている状況を指す表現として定着しました。皮肉や忠告のニュアンスを込めて、相手の勘違いをやんわり指摘する場面で使われることが多い言い回しです。

on the wrong track のように方向性の誤りを表す表現は他にもありますが、bark up the wrong tree は対象そのものを取り違えているニュアンスがより強く出るのが特徴です。

【ここがポイント!】

  • 「bark up the wrong tree」の核は、獲物のいない木に向かって吠え続ける犬のイメージ
  • 疑う相手や取り組む方向そのものを間違えているというニュアンスが強い表現
  • 皮肉や忠告を込めて相手の勘違いを指摘するときに使うのがコツ

『ホワイトカラー』S02E02のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

州上院議員ジェニングスの不正献金を追うFBI捜査班は、ニールを使って相手の側近に食い込む作戦を練っています。悪徳刑事と好人物の犯罪者を演じ分ける計画で、刑事役をピーターに、解決策を出す役を自分に割り振るとニールが持ちかけた直後、FBIの動きを気取られる懸念が持ち上がり、それをどう払拭するかという話し合いの中でこのフレーズが飛び出します。

Peter: That’s you?
(善玉が、君なのか?)

Neal: Right. I provide the solution.
(そうだよ。僕が解決策を提供する。)

Peter: Listen, if I make Jennings think that the FBI’s onto him, it’ll spook him. He’ll burn his books.
(いいか、ジェニングスにFBIが目をつけていると思わせたら、奴を怯えさせることになる。帳簿を燃やすだろうな。)

Neal: Not if he thinks the bureau’s barking up the wrong tree. Here’s an old loan scandal he was wrapped up in.
(捜査局が見当違いの方向を追っていると思わせればそうはならない。奴が昔関わった融資スキャンダルがあるんだ。)

Peter: Yeah, he walked away clean from that years ago.
(ああ、あの件は何年も前に無傷で切り抜けてる。)

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シーン解説と心理考察

FBI捜査班は、州上院議員ジェニングスが二重帳簿を使った不正献金に関わっている疑いを掴み、ニールを側近に食い込ませる計画を練っています。悪徳刑事と好人物の犯罪者という取り調べ芝居さながらの役割分担を、ニールが持って回った言い方で告げる呼吸に、詐欺師らしい間の取り方が表れています。

役割が決まった直後、今度はピーターの側から計画のリスクが指摘されます。FBIの動きを気取られれば証拠を焼却されてしまうという懸念に対して、ニールが間髪入れずに古い融資スキャンダルという具体的な材料を持ち出し、疑いの矛先をそらす算段を示します。捜査官としての慎重さと、それを軽やかに超えていく詐欺師の機転がかみ合う様子が、短いやり取りに凝縮されています。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

猟犬が獲物を追いかけて木の下まで来たものの、実は隣の木に逃げられているのに気づかず、間違った木に向かって吠え続けている光景を思い浮かべてみましょう。bark(吠える)と wrong tree(間違った木)という組み合わせそのものが、努力の方向がずれている状態を映し出しています。

このシーンでも、捜査対象に別の手がかりをつかませて本来の疑いをそらすという駆け引きの中でこの表現が使われていました。本当の獲物から目をそらさせるイメージと結びつけておくと、記憶に残りやすくなります。

例文で覚える「bark up the wrong tree」

日常会話からビジネスの場面まで、bark up the wrong treeを、3つの例文で確認していきましょう。

If you think I broke the vase, you’re barking up the wrong tree.
(僕が花瓶を割ったと思っているなら、それは見当違いだよ。)
身に覚えのない疑いをやんわり否定する場面です。you’re の後に直接フレーズを続けることで、相手の勘違いを軽く指摘する響きになります。

Blaming the sales team for the drop in revenue is barking up the wrong tree.
(売上減少を営業チームのせいにするのは的外れだ。)
社内で原因分析をするビジネスの場面です。動名詞句を主語にすることで、特定の行動そのものが見当違いだと述べる形になります。

A: I bet the new intern deleted the file.
B: Actually, you’re barking up the wrong tree. It was a server error.
(A:新しいインターンがファイルを消したに違いないよ。)
(B:実はそれ、見当違いなんだ。サーバーのエラーだったんだよ。)
同僚同士の会話で、思い込みを訂正するときに使えます。Actually で切り出すことで、やんわりと訂正する響きが加わります。

あわせて覚えたい関連表現

on the wrong track
(間違った方向に進んでいる)
bark up the wrong tree よりも比喩性が薄く、ビジネスの場でも使いやすい表現です。対象そのものを取り違えるニュアンスは薄く、進め方や方向性のずれを指す場合に向いています。

miss the point
(要点を見誤る)
bark up the wrong tree が対象や方向を間違えることを指すのに対し、miss the point は議論や説明の要点を理解し損ねることを指します。疑いの対象ではなく、理解の的外れさを表す場面で使われます。

chase the wrong lead
(間違った手がかりを追う)
捜査や調査の文脈に限定して使われることが多く、bark up the wrong tree よりも文脈が狭い代わりに具体的です。手がかりそのものが誤っている状況を表します。

Note|猟犬とアライグマ猟に由来する「見当違い」の表現

bark up the wrong tree という表現は、19世紀のアメリカ開拓期に盛んだったアライグマ猟(coon hunting)の文化に由来するとされています。

アライグマ猟では、猟犬が獲物のにおいを追いかけ、アライグマが逃げ込んだ木の下で吠えて猟師に居場所を知らせる役割を担っていたといわれます。ところがアライグマは身軽に木々を飛び移って逃げることがあり、猟犬がその動きを見失うと、実際には獲物のいない別の木に向かって延々と吠え続けてしまうことがあったようです。この「間違った木に向かって吠える犬」の姿が、比喩表現としてそのまま定着したと考えられています。

この語は19世紀半ばのアメリカの文献にすでに用例が見られるとされ、日常会話に浸透した口語表現として現在まで使われ続けています。捜査や推理の場面で見当違いの相手を疑っていることを指摘する言い回しとして特に相性がよく、劇中のFBI捜査官と詐欺師のやり取りのような文脈にもぴったり当てはまります。

猟犬が的を外して吠え続ける姿を思い浮かべると、bark up the wrong tree が持つ、努力の方向そのものがずれているというニュアンスが、より鮮明に感じられます。

まとめ|見当違いの疑いをやわらかく正す

bark up the wrong tree は、対象や方向を取り違えている状態を表す表現です。猟犬が的外れな木に向かって吠え続ける姿を思い浮かべておけば、疑いの矛先がずれている状況を的確に言い表せます。

身に覚えのない疑いをかけられたときも、誰かの思い込みをやんわり正したいときも、この一言があれば角を立てずに指摘できます。

作戦の穴を突かれかけた場面で、疑いの矛先を別の材料へとそらしてみせたニールの機転には、詰めの一手を静かに繰り出す詐欺師らしい鮮やかさが表れていました。見当違いを指摘する側にも、それをうまく利用する側にも使える、奥行きのある表現と言えます。

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