海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン3 第2話の冒頭と、その少しあとの場面から、遺言書の鑑定を任されたピーターが「俺たち」を「俺」に言い直し、ニールが自分の出番を主張するやり取りを取り上げます。相手を話の外に置く冗談と、それを軽く取り返す返しが、短い往復の中にまとまっています。
言い直しと聞き返しの形から、手柄をさりげなく主張する一言まで、場面の順に見ていきます。
「we」を「I」に言い直す冗談と、「You’re saying ~?」の聞き返し
本話の冒頭には、大富豪ローランドの遺産をめぐり、息子の一人が遺言書を偽造したのではないかという疑いをピーターとニールが話す場面があります。そんなことをするほど愚かだろうかという問いに、ピーターは確かめるのはこれからだと答えかけ、すぐに言葉を直します。
Peter: That’s what we’re gonna find out. Well, what I’m gonna find out.
(それをこれから確かめるんだ。いや、俺が確かめるんだ。)
Neal: You’re saying I’m irrelevant in this case?
(この件に僕は関係ないってこと?)
Peter: The Bureau requested that I authenticate the will. I don’t remember you being mentioned.
(局が頼んできたのは、俺が遺言書を鑑定することだ。君の名前が出た覚えはないな。)
Neal: Not me?
(僕じゃないの?)
Peter: Not you.
(君じゃない。)White Collar Season3 Episode2 (Where There’s a Will)
ピーターの冗談は、主語の we を I に置き換えるだけで成り立っています。Well, は「いや、正確に言うと」と、直前の発言を訂正するときの前置きです。一語の差し替えで、隣にいる相手を話の外へ押し出す形になっています。
ニールの You’re saying ~? は、平叙文の語順のまま語尾を上げ、相手の発言の含みを「つまり〜ということ?」と確かめる聞き返しです。疑問文の語順に直さない分、「本気でそう言っているの?」という軽い抗議の響きが加わります。irrelevant は「関係のない」「お呼びでない」という意味の形容詞です。
ピーターの I don’t remember you being mentioned. は、remember の後ろに動名詞 being mentioned を置き、その前の you が「誰が言及されたのか」を示す形です。動名詞の意味上の主語を目的格で置く口語的な型で、「君が名前を挙げられた覚えはない」という意味になります。
最後の Not me? / Not you. は、代名詞だけを残し、残りを省いた応酬です。省略が効いているからこそ、二人のテンポのよさが伝わってきます。
「I become relevant」と「Told you ~」で出番と手柄を取り戻す
ところが、ローランドの息子ジョシュに会う段になると、ピーターは自分の名前を告げたうえで、鑑定をニールに任せます。
Peter: Agent Peter Burke. My associate Neal will take a look at it.
(ピーター・バーク捜査官です。仲間のニールが拝見します。)
Neal: I become relevant in a little bit.
(ほら、もうすぐ僕の出番だ。)White Collar Season3 Episode2 (Where There’s a Will)
associate は「仕事上の仲間」を指す名詞です。ニールの I become relevant in a little bit. は、さっき言われた irrelevant を裏返して relevant で返す一言で、in a little bit は「もう少ししたら」という意味です。未来のことを will を使わず現在形で言い切ると、既に決まった予定のような響きになり、「出番は間違いなく来る」という得意げな含みが出ます。
この「言ったとおりでしょう」という主張は、少しあと、兄弟に地図を見せる場面でもう一度顔を出します。重ねた二通の遺言書が一つの図を描き出し、宝探しの話が出たところで、先にこれは地図だと見抜いていたニールがピーターに向けて言います。
Neal: Told you it was a map.
(地図だって言ったよね。)
Peter: I didn’t say it wasn’t.
(違うとは言ってない。)White Collar Season3 Episode2 (Where There’s a Will)
Told you ~ は、I told you の主語 I が落ちた会話の形で、「だから言ったのに」の軽い自慢に使われます。対するピーターの I didn’t say it wasn’t. は、否定を二つ重ねた返しです。「地図ではない」と言った覚えはないと答えることで、ニールの正しさは認めつつ、自分が間違っていたとも認めない、簡単には引き下がらない受け流しになっています。
まとめ|言い直しと省略で交わす、出番をめぐる軽口
we を I に直す冗談、含みを確かめる You’re saying ~?、代名詞だけの Not me? / Not you.、そして Told you ~ と I didn’t say it wasn’t. を見てきました。短い言葉の差し替えで立場が入れ替わる様子が分かります。
次回も『ホワイトカラー』の二人の軽口から、会話の組み立てを見ていきましょう。
同じ回の別のコラムやフレーズ記事では、宝探しや事件の場面の英語も扱っています。

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