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今回は『ホワイトカラー』シーズン4 第9話から、ボクシングにまつわる言い回しを取り上げます。投資家ダンハムに近づくニールの会話には ring という語が何度も出てきますが、この回ではその比喩が、本物のリングの話へと変わっていきます。
同じ ring が比喩として使われる場面と、文字どおりの意味で使われる場面を順に並べて、言葉の意味の重なり方を見ていきます。
「get back in the ring」と「throw your hat in the ring」
本話の前半、ニールはかつての偽名ニック・ハルデンとして、ダンハムに久しぶりに声をかけます。その売り込みの中に出てくるのが ring です。
Neal: We made a lot of money together, Eric. We can do it again. I’m ready to get back in the ring.
(僕らは一緒にずいぶん稼いだじゃないか、エリック。またできるよ。リングに戻る準備はできてる。)
Dunham: You got two minutes to convince me.
(説得に2分やる。)White Collar Season4 Episode9 (Gloves Off)
get back in the ring は「リングに戻る」、つまり競争や勝負の世界に復帰するという比喩です。ここでのリングは、二人がかつて組んでいた取引の世界を指していると読み取れます。ダンハムの You got two minutes to convince me. は、時間を区切って「その間に納得させてみろ」と促す言い方で、got は have got の have が落ちた口語の形です。
中盤、ニールはダンハムが主催するホワイトカラー・ボクシングの会場を訪れます。対戦の組み方を尋ねるニールに、ダンハムはこう答えます。
Neal: Do you pick the opponents?
(対戦相手はあなたが選ぶのか?)
Dunham: Yep. Five fights a night. If you throw your hat in the ring, I make sure you get an even match.
(ああ。一晩に5試合だ。リングに名乗りを上げれば、互角の相手を組んでやる。)White Collar Season4 Episode9 (Gloves Off)
throw one’s hat in the ring は「名乗りを上げる・立候補する」という比喩で、選挙や役職への立候補を伝えるニュースなどでも使われます。ボクシングの会場で口にすると、比喩と文字どおりの「リングに上がる」が重なって聞こえるのが面白いところです。
「I have to get in the ring?」から、本物のリングへ
ダンハムは、入会金だけでは取引に使える情報は渡さないと言い、自分のリングに上がれば公平な勝負ができると続けます。ニールはその条件を確かめます。
Neal: So, to get the tip, I have to get in the ring?
(つまり、情報をもらうにはリングに上がらないといけないのか?)
Dunham: No. You have to win. And until then, you’re outside.
(違う。勝たなきゃならない。それまでは、君は外だ。)White Collar Season4 Episode9 (Gloves Off)
tip は「(株などの)耳寄りな情報」です。ニールの問いは平叙文の語順のまま語尾を上げる確認の形で、ダンハムは No で否定してから You have to win. と条件を一段引き上げています。outside は情報の輪の外にいるという意味で使われています。
その後、ニールはダンハムを呼び止め、同じ get in the ring を使って、自分もリングに上がりたいと伝えます。ダンハムは記者会見でも開こうかと皮肉で返しますが、この時点の get in the ring は、もう比喩ではなく文字どおりの意味です。
後半の練習場面では、最初から攻める役を割り振られたニールが、こう言って動きを確かめます。
Neal: If I’m coming out swinging, I’m just gonna start throwing some light jabs, light hooks, just knock it down.
(最初から打って出るなら、軽いジャブとフックから始めて、とにかく倒しにいくよ。)White Collar Season4 Episode9 (Gloves Off)
come out swinging は「最初から攻撃的に出る」で、議論や交渉で初めから強気に出る比喩としても使われます。ここではジャブやフックと並び、ボクシングそのものの動きとして使われていることが分かります。
まとめ|ring と swing の二つの顔
get back in the ring、throw one’s hat in the ring、get in the ring、come out swinging を見てきました。比喩として覚えた表現が、ボクシングの場面では文字どおりの意味にも聞こえる点が、この回の会話の面白さです。
次回も『ホワイトカラー』を観ながら、言葉の重なりを味わいましょう。
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