海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン2 第12話から、FBI捜査官のピーターが、捜査に協力しようとしない大使と向き合う二つの場面を取り上げます。大使の言葉はどれも丁寧ですが、中身は拒絶や牽制です。ピーターもまた、礼儀を崩さないまま言い返します。
はっきり「ノー」と言わない断りをどう読み取り、改まった言葉でどう切り返すのか、二人のやり取りを順に追って確かめます。
遠回しな拒絶を I take it ~ で確かめる
外交官ナンバーの車が事件のあった建物の前に出入りしていたと分かり、ピーターとニールは大使館を訪ねます。車を調べていると大使が現れ、ピーターは外交用の袋を調べたいと持ちかけます。
Peter: I have evidence linking this vehicle to a crime I’m investigating. So far, your staff’s been very cooperative. A search of that pouch would completely exonerate any of them from connection to this crime.
(私が捜査中の犯罪とこの車を結びつける証拠があります。これまで職員の方々は大変協力的でした。あの袋を調べれば、どなたもこの犯罪と無関係だと証明できるのですが。)
Ambassador: International law states that the pouch is part of Burmese soil.
(国際法では、この袋はビルマの領土の一部とされております。)
Peter: I take it that’s a no?
(つまり、お断りということですね?)
Ambassador: We’re unable to assist you further. You can take it up with the State Department, of course.
(これ以上はお力になれません。もちろん、国務省に申し立てていただいて構いませんよ。)White Collar Season2 Episode12 (What Happens in Burma…)
ピーターはまず So far, your staff’s been very cooperative. と、So far と現在完了で相手側の協力ぶりを認め、角を立てずに前置きします。exonerate は「潔白を証明する」という硬い動詞で、would を添えて袋の確認を相手側の得になる話として差し出しています。
大使の答えには No という語がなく、state(法律などが定める)で規則を持ち出して断っています。そこでピーターは I take it (that) ~(〜ということですね)で、遠回しな言葉から結論を読み取って確かめます。
be unable to ~ は can’t より改まった言い方で、take it up with ~ は「〜に申し立てる」の意味です。末尾の of course が、丁寧なまま相手を突き放しています。
相手の論拠を認めてから however で覆す
終盤、再び姿を見せたピーターに、大使が先に釘を刺します。
Ambassador: I trust you and your companion aren’t here interfering with the official business of Myanmar.
(まさか、あなたとお連れの方は、ミャンマーの公務の邪魔をしに来たのではありませんね。)
Peter: Wouldn’t think of it. Just happened to notice you’re parked near a hydrant with a ticket.
(とんでもない。消火栓の近くに停めて違反切符を切られているのに、たまたま気づいただけです。)White Collar Season2 Episode12 (What Happens in Burma…)
I trust (that) ~ は直訳すると「〜だと信じています」ですが、ここでは「まさか〜ではないでしょうね」と念を押す響きです。ピーターの Wouldn’t think of it. は主語 I を省いた形で、「そんなことは考えもしない」と否定しています。
このあと未払いの駐車違反切符の束が出てきますが、返ってくるのは外交特権(diplomatic immunity)を理由にした答えです。ピーターはそれを認めたうえで切り返します。
Peter: Immunity, yeah. Means that you can’t be held accountable for these violations. You are, however… required to help me close out my investigation of said parking violations.
(特権ね、ええ。つまり、これらの違反について責任を問われることはない、と。しかしながら……上記の駐車違反に関する私の捜査を締めくくるのには、ご協力いただく必要があります。)White Collar Season2 Episode12 (What Happens in Burma…)
Means that ~ は It を省いた形で、相手の論拠を「つまり〜ということ」と言い直しています。そのうえで挟み込む however が、「特権は認めるが、それでも」と話の向きを切り替える合図になっています。
said は「上記の、前述の」という形容詞で、契約書や公文書で使われる硬い語です。close out は「(案件などを)締めくくる、完了させる」を表します。わざと改まった語を選び、手続き上の義務のように言い立てているのが面白いところです。
まとめ|丁寧な言葉の裏を読み、丁寧な言葉で返す
I take it that’s a no? で拒絶を確かめ、I trust ~ の牽制を Wouldn’t think of it. でかわし、however と said で改まって切り返すやり取りを見てきました。言葉づかいが丁寧なほど、その裏を読む力が問われます。
大使とピーターの礼儀正しい応酬は、語の選び方に注目すると、また違った面白さが見えてきます。
同じ回のフレーズ記事では、大使館を訪ねる場面の表現も扱っています。


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