海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン4 第1話から、偽名で島に暮らすニールと、彼の素性を知りたがるマヤの会話を取り上げます。「隠し事のない人」を本にたとえる open book が、三つの場面をまたいで何度も顔を出すのがこの回の面白いところです。
全部は話せない人が、どこまでなら話せるのか。その線の引き方を、比喩の受け渡しと英語の組み立てから順に見ていきます。
「Open book」と言い切る側と、それを「作り話」と返す側
マヤが営む店で、ニールはマヤから「隠すことのない正直な人なのか」と探りを入れられます。ニールの答えはたった二語です。
Maya: So you’re an honest man who has nothing to hide.
(じゃあ、隠すことなんて何もない正直な人なのね。)
Neal: Open book.
(開いた本だよ。)
Maya: You’re from New York. That’s all you’ve told me.
(ニューヨーク出身。私に話してくれたのはそれだけよ。)White Collar Season4 Episode1 (Wanted)
an open book は「開いたままの本」から、考えや過去を誰でも読める人、つまり隠し事のない人を指す言い回しです。ニールは主語も動詞も省き、名詞だけで自分を言い表しています。ところがマヤは、聞いた中身が出身地だけだと数え上げ、その答えの薄さを突きます。
ニューヨークを離れた理由を尋ねられたニールが「ここで暮らすため」とかわすと、マヤは同じ本の比喩で切り返します。
Neal: To live here. In paradise.
(ここで暮らすためさ。楽園でね。)
Maya: I’m sorry, New York. Your open book is a work of fiction.
(悪いけど、ニューヨークさん。あなたの開いた本は作り話よ。)White Collar Season4 Episode1 (Wanted)
work of fiction は小説などの「創作物」を指す語で、ここでは「あなたの言う open book は中身が作り話」という意味になります。相手が持ち出した比喩をそのまま受け取り、本の種類だけを差し替えて返すのがこの切り返しの要です。work of fiction の意味と例文は、フレーズ記事「work of fiction」で詳しく扱っています。
「never ~, but …」で線を引き、話せる範囲を先に決める
その後、ニールはかつて住んでいた建物からの眺めを砂で再現してマヤに見せ、今度は自分から比喩を持ち出します。
Neal: I’ll never be an open book, but New York was a pretty big chapter.
(僕は開いた本にはなれない。でも、ニューヨークはかなり大きな一章だったんだ。)
Maya: Are you going to be honest about it?
(それについては正直に話してくれるの?)
Neal: You asked me for a moment of honesty. I’m gonna give you 20.
(君は正直な瞬間を求めたよね。20個あげるよ。)White Collar Season4 Episode1 (Wanted)
前半の I’ll never be ~ で「全部をさらけ出すことはない」と先に断り、but の後ろで「ニューヨークの話なら」と開示する範囲を示す二段構えです。chapter(章)は open book の比喩を引き継いだ語で、人生の一部分だけを差し出すという線引きが本のたとえのまま伝わります。
ニールはこのあと 20 questions と言い直し、ニューヨークでの暮らしについてなら何でも聞いてほしいと持ちかけます。マヤがニューヨークに来る前の出身地を尋ねると、ニールは答えたうえで that’s not a New York question と付け加え、自分で決めた範囲の外だと念を押します。
島で素性が知れ渡った後、マヤは最初の比喩をもう一度持ち出します。
Maya: Thank you for being an open book, New York. It was a fun read.
(開いた本でいてくれてありがとう、ニューヨークさん。楽しく読ませてもらったわ。)
Neal: Actually, it’s Neal. Neal Caffrey.
(実は、ニールなんだ。ニール・キャフリー。)
Maya: Be safe, Neal Caffrey.
(気をつけてね、ニール・キャフリー。)White Collar Season4 Episode1 (Wanted)
a fun read は「読んで楽しい本」を表す名詞句です。ニールは Actually で呼び名を正し、本名を自分の口で明かしています。
まとめ|open book の比喩で「どこまで話すか」を示す
an open book、work of fiction、I’ll never be ~, but …、chapter と、本のたとえを軸に打ち明け方の線引きを見てきました。全部は話せなくても、範囲を先に決めれば正直さは伝えられることが分かります。
次回も『ホワイトカラー』の会話から、言葉の選び方を一緒に見ていきましょう。
同じ回のフレーズ記事やほかのコラムもあわせて読むと、島での会話の流れがつかめます。


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