海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン4 第1話から、ピーターとエリザベスの張り込み中の会話と、ピーターとニールの電話のやり取りを取り上げます。どちらの場面でも、野球の打順や勝ち負けの数え方が、今の自分の立場を言い表す道具として使われています。
スポーツの言葉は、試合の外の日常英語にも入り込んでいます。二つの場面を並べて、その使われ方を順に見ていきます。
「on deck」と「up to bat」で、自分の番を言い直す
ピーターとエリザベスは車の中から、ピーターがニールの行方の鍵と見ている女性パーカーの様子をうかがっています。先に話しかけたコリンズが断られたのを見届けたあと、次に話しに行くのはピーターです。エリザベスが送り出すと、ピーターは細かく言い直します。
Elizabeth: Man on deck.
(次の打者、待機よ。)
Peter: Actually, I was on deck. Now I’m up to bat, technically.
(いや、次の打者だったのはさっきまでだ。厳密に言えば、今は打席の番だな。)
Elizabeth: Ah. Right. The best wife ever would have known that, wouldn’t she?
(ああ、そうね。最高の妻なら、それくらい知っていたはずよね?)
Peter: She would.
(知ってただろうな。)White Collar Season4 Episode1 (Wanted)
野球の on deck は、打席の次に控えている打者の状態を指します。これに対して up to bat は、実際に打席に立つ番が来たことを表します。ピーターは Actually で相手の言い方を正し、過去形の I was on deck と現在の Now I’m up to bat を並べて、待機の段階はもう終わったと区別します。文末の technically(厳密に言えば)が、細かすぎる訂正だと本人も分かっている響きを添えています。
エリザベスの返しは、少し前にピーターが彼女に言った「You’re the best wife ever.」を引き取ったものです。would have known は「(本当に最高の妻なら)知っていたはず」という過去の事実に反する想定を表す形で、付加疑問の wouldn’t she? で同意を求めています。ピーターの She would. は、その想定にそのまま乗った短い返事です。
on deck は野球以外の場面でも「次の順番に控えている」の意味で使われ、会議で次の発表者を指すような言い方にも応用できます。
「3 and 0」「2 and 1」で、勝ち負けを数え直す
パーカー(名はエレン)から受け取ったポケベルの番号をきっかけに、ピーターとニールは電話でつながります。通話の冒頭、二人は追う側と追われる側の成績を数字で言い合います。
Neal: Guess this makes you 3 and 0.
(これで君の3勝0敗ってところかな。)
Peter: 2 and 1. Haven’t found you yet.
(2勝1敗だ。まだお前を見つけてない。)White Collar Season4 Episode1 (Wanted)
3 and 0 は「3勝0敗」の意味で、勝ち数と負け数を and でつないで読む言い方です。勝ち数を先に置くのが基本の並びで、書き言葉では 3-0 のようにハイフンでつなぐ表記もよく見られます。ニールの Guess this makes you ~ は、文頭の I が省かれた I guess に、make + 人 + 状態(人を〜の状態にする)が続いた形で、「これで君は〜ということになるかな」という軽い見立てになっています。連絡がついた以上、今回もピーターの勝ちだと認めてみせる言い方と読み取れます。
ピーターはその数字を受け入れず、2 and 1 と数え直します。続く Haven’t found you yet. も主語の I が省かれた形で、現在完了の否定に yet(まだ)が付き、居場所を突き止めたわけではないという理由を短く示す形です。声が届いただけでは勝ちに数えない、という線引きが数字一つに表れています。
車内の場面が打順で「自分の番」を示していたのに対し、こちらは勝敗の数字で「これまでの成績」を表しています。同じスポーツの言葉でも、順番を言うのか結果を言うのかで、使う語がはっきり分かれるのが面白いところです。
まとめ|打順と勝敗の数字で立場を伝える
on deck と up to bat で自分の番を、3 and 0 や 2 and 1 で成績を言い表すやり取りを見てきました。スポーツの言葉を知っていると、短い一言に込められた立場の違いが聞き取りやすくなります。
次回も『ホワイトカラー』のやり取りを観ながら、英語のたとえを味わっていきましょう。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、島とニューヨークそれぞれの会話を扱っています。


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