「get off to a bad start」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S05E06で学ぶ英会話

「get off to a bad start」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

警戒されかけた相手に、あえて軽い調子で声をかけ、空気を和らげようとする瞬間が、ドラマには時々あります。深刻に構えるよりも、あえて軽く出ることで相手の身構えを解こうとする場面です。

そんな場面で使われる「get off to a bad start」を、『ホワイトカラー』シーズン5第6話の終盤、婚約パーティー会場で退出しようとする相手にニールが持ちかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「get off to a bad start」の意味とニュアンス

get off to a bad start
意味:出だしが悪くなる

get off to a bad start は、物事の始まり方がうまくいかなかったことを表す口語表現です。get off to a good/bad start のように、goodとbadを入れ替えて幸先の良し悪しを表現する定型構文の一部で、その後の展開次第で挽回できる余地を残したニュアンスがあります。始まりの失敗を認めつつも、それで終わりだとは決めつけない、前向きな響きを持つ表現です。

初対面で誤解が生じた場面や、新しい仕事やプロジェクトの立ち上がりがうまくいかなかった場面など、関係や物事の始まりがぎこちなかったことを認めて挽回を図る場面で使われます。相手を責めるための表現ではなく、あくまで自分たちの側から関係を立て直そうとする姿勢を示す言い回しです。

【ここがポイント!】

  • 「get off to a bad start」の核は、始まり方の悪さを認めつつ挽回の余地を残す姿勢
  • good/badを入れ替えるだけで幸先の良し悪しを表せる定型的な構文
  • 関係修復を持ちかける前置きの一言としても機能する

『ホワイトカラー』S05E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

セルゲイとカーチャの婚約パーティー会場で、偽の身分ピーター・ネビンスとして乾杯の挨拶を続けるピーターと、偽の身分ニール・ミカーリとして退出しようとする相手を引き止めるニールの、二つの潜入行動が同時に進む場面です。会場を離れかけた相手にニールがかける一言に注目です。

Peter: Stall him. I want him to be here for her engagement present.
(足止めしろ。婚約祝いの間は、彼にはここにいてほしいんだ。)

Neal: But I’ll miss your speech.
(でも、それだと君のスピーチを聞き逃してしまうよ。)

Peter: I’ll make sure somebody records it.
(誰かに録画させておく。)

Neal: You better.
(そうしてくれよ。)

Peter: And I just want to congratulate my new friend Sergei and his lovely, talented fiance Katya.
(そして、新しい友人であるセルゲイと、彼の素晴らしく才能あふれる婚約者カーチャに、お祝いを申し上げたい。)

Guests: Aww. Oh ho!
(おお。いいぞ!)

Neal: Where’s the fire, my man? Hey, I feel like we got off to a bad start.
(そんなに急いでどこへ行くんだ、兄弟? ねえ、僕たちはどうも出だしを間違えたみたいだ。)

White Collar Season5 Episode6 (Ice Breaker)

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シーン解説と心理考察

会場から抜け出そうとする相手に気づいたピーターは、とっさにニールへ「足止めしろ」と指示を出します。「君のスピーチを聞き逃してしまうよ」とからかうニールに、「誰かに録画させておく」と軽く受け流すピーターのやり取りには、緊迫した潜入作戦の最中にも軽口を忘れない二人らしい呼吸の合わせ方がにじみます。

一方でピーターは偽の身分ピーター・ネビンスとして堂々と乾杯の挨拶を続け、場を持たせます。同じ頃、ニールは偽の身分ニール・ミカーリとして相手に歩み寄り、「そんなに急いでどこへ行くんだ、兄弟? ねえ、僕たちはどうも出だしを間違えたみたいだ」と持ちかけます。この一言には、相手の警戒心を解きながら時間を稼ごうとする詐欺師らしい駆け引きの巧みさが凝縮されており、緊張感とユーモアが同居する場面として響きます。

ピーターがスピーチで会場全体の注意を引きつけている隙に、ニールが個別に相手へ接近するという役割分担にも、二人の潜入作戦の連携ぶりが表れています。深刻ぶらずに軽い調子で切り出すニールの態度は、警戒を解かせるための計算された振る舞いとも読み取れます。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

get off to a bad start を覚えるコツは、競走のスタートラインでつまずいてしまう場面をイメージすることです。get off(出発する)がbad start(悪いスタート)につながることで、最初でつまずいたけれど、そこから立て直せるかもしれないという前向きな余地を含んだ表現になります。

劇中でも、警戒されかけた相手との関係を挽回しようとする場面で使われていました。つまずいた最初と、そこからの立て直しをセットでイメージしておくと、関係修復を持ちかける場面でとっさに口から出てくる表現になります。転んだままではなく、すぐに立ち上がって走り出す姿までイメージしておくと、前向きなニュアンスがより自然に身につきます。

例文で覚える「get off to a bad start」

初対面の誤解からプロジェクトの立ち上がりまで、get off to a bad start を、3つの例文で確認していきましょう。

I feel like we got off to a bad start—can we try again?
(どうも出だしを間違えたみたいだ。もう一度やり直せないかな?)
初対面での誤解を解こうとする日常会話の場面です。can we try again?と続けることで、挽回への前向きな姿勢が加わります。

The project got off to a bad start due to a miscommunication.
(そのプロジェクトは、伝達ミスのせいで幸先の悪いスタートになった。)
プロジェクトの立ち上がりを振り返るビジネスの場面です。due toで原因を明示することで、状況が整理されます。

A: You seem upset with me already.
B: Yeah, I think we got off to a bad start.
(A:もう俺に対して怒ってるみたいだけど。)
(B:うん、出だしが悪かったと思う。)
関係のこじれに気づく日常会話の場面です。Yeahで軽く認めることで、深刻になりすぎない響きになります。

あわせて覚えたい関連表現

start off on the wrong foot
(最初から間違った方向に踏み出す)
get off to a bad start が始まり方の悪さを客観的に述べるのに対し、start off on the wrong foot は特に人間関係の第一印象の悪さを指すことが多い表現です。初対面のちょっとした失言をきっかけに関係がぎくしゃくする場面などで使われます。

hit the ground running
(最初から勢いよく始める)
get off to a bad start とは対義的な意味合いを持ち、好調な滑り出しを表す表現です。準備が整った状態で一気に走り出す新プロジェクトなどを語るときに使われます。

get back on track
(軌道に戻す、立て直す)
get off to a bad start が始まりの悪さそのものを指すのに対し、get back on track はそこからの立て直しの行動に焦点があります。すでに動き出した計画や関係を、もとの正しい方向に戻す場面で使われます。

Note|get off to a bad start / start off on the wrong foot / get back on track の使い分け

始まりの悪さとその後の展開に関連する英語表現には、焦点の違いがいくつか存在します。

get off to a bad start は、物事や関係の始まり方そのものがうまくいかなかったことを、比較的中立的に述べる表現です。一方start off on the wrong foot は、特に人間関係における第一印象の悪さに焦点を絞った表現で、初対面での誤解やぎこちなさを表す場面でよく使われます。さらにget back on track は、始まりの悪さそのものではなく、そこからどう立て直すかという行動に焦点が移った表現です。3つの表現は、始まりの悪さの一般性・人間関係への限定性・立て直しへの焦点という軸で整理すると、使い分けがつかみやすくなります。

ニールが選んだのがget off to a bad start だったのは、警戒されかけた相手との関係を、深刻にしすぎずに立て直そうとする軽やかな駆け引きの一環だったためです。get back on trackでは、まだ立て直す前のこの段階のニュアンスは伝わりませんし、start off on the wrong footでは、初対面の第一印象という限定的な場面に寄りすぎてしまいます。

始まりの悪さの捉え方と立て直しへの焦点を軸にすると、3つの違いが整理しやすくなります。

まとめ|つまずきを軽く言葉にして、次へつなげる

get off to a bad start は、物事の始まり方がうまくいかなかったことを認めつつ、その後の展開次第で挽回できる余地を残す表現です。深刻になりすぎず、関係や物事を立て直すきっかけとして使えます。

初対面での誤解を解きたいときも、プロジェクトの立ち上がりを振り返るときも、この一言があれば気負わずに次の一歩へ話を進められます。

警戒されかけた相手に軽い調子で持ちかけたニールの様子には、緊張感のある潜入作戦の最中でも駆け引きを楽しむ余裕が表れています。

深刻な顔をせず、あえて軽い調子で切り出す判断こそが、警戒心を解くための最も効果的な一手になっている場面だと言えます。

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