「lost track of time」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S01E01で学ぶ英会話

「lost track of time」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

目の前の仕事に没頭していて、気づいたらもうこんな時間になっていた、と驚いた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

そんな場面にぴったりの「lost track of time」を、知能犯罪ドラマ『ホワイトカラー』シーズン1第1話、元詐欺師ニールとの初めての捜査に没頭するあまり帰宅が遅れたFBI捜査官ピーターが、電話口で妻エリザベスから軽くからかわれるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「lost track of time」の意味とニュアンス

lost track of time
意味:時間が経つのを忘れる、時間の感覚を失う

直訳すると「時間の跡(track)を見失う」となる表現で、何かに気を取られているうちに、時計や時刻の流れを追いかけそこねてしまう様子を表します。lose track of は「track(跡・経過)」を見失うという構造を持つ言い回しで、lost track of time はその中でも「時間」を対象にした最も日常的な使い方です。

集中していたのか、夢中になっていたのか、退屈していたのか、理由は問いません。結果として時計を見て「もうこんな時間か」と驚く、その瞬間の感覚をまとめて表せる便利な一言です。過去形 lost で使われることが多く、”I lost track of time” の形で「時間を忘れてた」という報告・言い訳として日常会話に頻出します。

【ここがポイント!】

  • 「lost track of time」の核は、時間という跡を見失う感覚のイメージ
  • 集中していても退屈していても使える、理由を問わない懐の深い表現
  • 遅刻や返信の遅れの言い訳にもなる、日常会話で重宝する一言

『ホワイトカラー』S01E01のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

FBI特別捜査官ピーターは、元詐欺師ニールを協力者として迎えた初めての事件で、偽造された古い証券をめぐる謎の手がかりをつかみかけていました。捜査に没頭するあまり帰宅の時間はとうに過ぎ、オフィスにかかってきた妻エリザベスからの電話に出ると、開口一番からかわれてしまいます。

Peter: Hey. Would you believe me if I said I was pulling up right in front of the house now?
(やあ。今ちょうど家の前に車を停めたって言ったら、信じてくれるか?)

Elizabeth: You lost track of time. It happens.
(時間を忘れて没頭してたのね。よくあることよ。)

Peter: I hope you didn’t make dinner.
(夕食は作ってないといいけど。)

Elizabeth: Did you forget who you married? I am smarter than that.
(誰と結婚したか忘れたの?そんなに甘くないわよ。)

White Collar Season1 Episode1 (Pilot)

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シーン解説と心理考察

ピーターの電話口の声には、家に着く前から言い訳を組み立てるような焦りがにじみます。対するエリザベスは、責めるでもなく笑い飛ばすでもなく、「よくあることよ」と一言で受け流してみせます。長年連れ添った夫婦だからこその、余裕のある切り返しが伝わってきます。

続く「誰と結婚したか忘れたの?」という一言には、ピーターの仕事熱心さをとうに理解し、織り込み済みにしている態度が表れています。夕食を心配するピーターの気遣いと、それを軽くいなすエリザベスの落ち着きの対比が、この短いやり取りの見どころです。捜査官としての集中力が、家庭に持ち帰られると「lost track of time」という形で顔を出す瞬間だと言えます。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

電話越しにピーターが浮かべたであろう、少し気まずそうな表情を思い浮かべてみましょう。時計の針が、本人の意識の外側でどんどん進んでいく感覚が、lost track of time のイメージです。

自分の足元にあったはずの時計の存在をすっかり見失い、ふと顔を上げたときには針が大きく進んでいた、という一枚の絵を思い描くと、track(跡)を「見失う(lost)」という言葉の組み合わせが自然に頭に残ります。時計そのものではなく、時間の流れという見えない跡を追いかけそこねるイメージです。

例文で覚える「lost track of time」

lost track of time は、読書や趣味に没頭したときの感覚から、待ち合わせへの遅刻を詫びる言い訳、旅先でのゆったりとした感想まで、フォーマル・カジュアルを問わず幅広い場面で使える表現です。3つの例文で、その使われ方の幅を見ていきましょう。

I lost track of time while reading and missed my train.
(読書に夢中で時間を忘れて、電車を逃してしまった。)
本のページをめくっているうちに予定を見失う、誰にでも起こりうる日常的な場面での使い方です。

Sorry I’m late, I completely lost track of time during the meeting.
(遅れてごめん、会議中にすっかり時間を忘れてたんだ。)
ビジネスの遅刻を、責任逃れに聞こえすぎない自然な形で相手に伝えられる言い回しです。

A: You’ve been staring at the ocean for an hour.
B: Really? I guess I lost track of time out here.
(A:1時間もずっと海を見てたよ。)
(B:本当に?ここにいると時間を忘れちゃうな。)
旅先でゆったり流れる時間の感覚を、友人同士の軽い会話の中でそのまま振り返るときの使い方です。

あわせて覚えたい関連表現

keep track of time
(時間を管理する、時間を把握しておく)
lost track of time が「見失ってしまった」結果を表すのに対し、keep track of time は見失わないよう「管理し続ける」意識を表す反対の動きです。

time flies
(時間があっという間に過ぎる)
lost track of time と近い場面で使えますが、こちらは時間の経過そのもののスピード感に焦点があり、見失う感覚とは少しニュアンスが異なります。

get absorbed in
(何かに夢中になる、没頭する)
lost track of time の原因側を表す表現で、「没頭した結果、時間を見失った」という一連の流れをこの2つでセットにして覚えられます。

Note|没頭が時間を消す――「フロー」という心理学の視点

ピーターが妻との電話でつい漏らした「lost track of time」という感覚は、心理学の世界でも研究の対象になっている現象です。

心理学者ミハイ・チクセントミハイは、何かに深く没頭し、周囲の物音や時間の経過が意識の外に消えていく状態を「フロー(flow)」と名付けました。目の前の課題への集中度が高く、結果がすぐに手応えとして返ってくるような状況ほど、このフロー状態には入りやすいとされています。スポーツ選手が試合の緊張の中で「時間がゆっくり流れた」と振り返ったり、職人や研究者が作業にのめり込み、気づけば日が暮れていたりする経験談は、フロー研究でもたびたび引き合いに出される典型例です。FBI捜査官として証券偽造の謎に没頭し、帰宅の時間をすっかり忘れてしまったピーターの様子も、まさにこのフロー状態に近い集中の一場面として読み取れます。

lost track of time は、こうした「没頭のあまり、時間という物差しそのものを見失う」感覚を、専門用語を使わずに日常会話のレベルでそのまま言い当てている表現だと言えます。フロー理論という難しい枠組みを知らなくても、時計を忘れるほど何かに夢中になった経験は、多くの人がすでに肌で知っているものです。

没頭のご褒美は、時計を忘れるほどの充実感なのかもしれません。

まとめ|時間という跡を見失う瞬間

lost track of time は、時間という見えない跡を、気づかないうちに見失ってしまう感覚を、シンプルな一言で言い当てる表現です。

仕事に没頭したときの言い訳にも、趣味に夢中になったときの実感にも、旅先で過ごしたゆったりとした時間を振り返るときにも、そのまま使える柔軟さを備えています。ピーターとエリザベスのやり取りのように、責めるでも咎めるでもなく、軽やかに受け流す一言としても機能します。

気づけば時計の針が大きく進んでいた、というあの感覚を伝えたい場面があれば、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。

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