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根拠や保証があるわけではないのに、それでも思い切って誰かを信じてみる、という決断を迫られたことはありませんか。信じたい気持ちと、外れたときの不安がせめぎ合う瞬間です。その一歩を踏み出せるかどうかで、相手との関わり方が大きく変わることもあります。
そんな場面にぴったりのtake a leap of faithを、『ホワイトカラー』シーズン1第3話、部下ニールの危うい賭けを信じるべきか迷うピーターが、妻エリザベスに胸の内を明かす場面から、一緒に見ていきましょう。
「take a leap of faith」の意味とニュアンス
take a leap of faith
意味:確証がないまま、思い切って何かを信じて行動する
take a leap of faithは、確証や保証がないまま、それでも思い切って行動に踏み切ることを表す表現です。leapは「跳躍」、faithは「信頼・信仰」を意味し、直訳すると「信頼の跳躍を取る」となります。崖の下がどうなっているか分からないまま、それでも思い切って飛び降りるようなイメージを持つ言い回しで、根拠を積み上げてから動くのではなく、根拠が揃わない段階でまず一歩を踏み出す姿勢を表します。ビジネスの新規事業への投資や、キャリアの転身、人間関係で相手を信じ切る場面など、結果が保証されていない選択をするときに広く使われます。単に「賭けてみる」というギャンブル的な響きよりも、理屈や証拠を超えたところで「信じる」という気持ちが強く込められているのが特徴です。
【ここがポイント!】
- take a leap of faithの核は、崖の下が見えないまま思い切って飛び込むイメージ
- 証拠や保証がそろう前に、理屈を超えて「信じて動く」姿勢を表す表現
- ギャンブル的な賭けというより、信頼・信仰に近い響きを持つ言い回し
『ホワイトカラー』S01E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
贋作の書物「Book of Hours」を巡る捜査で、ニールは発信器を自ら切り、FBIを裏切ったふりをして盗品を扱う女性マリアの信頼を得ようとする、危うい賭けに出ます。証拠もないまま部下の芝居を信じるしかない状況に、ピーターは落ち着かない様子を見せ、妻エリザベスに胸の内を明かします。
Peter: Let’s just say that’s not his first instinct.
(あいつの最初の反応がそれじゃない、とだけ言っておくよ。)Elizabeth: And trust isn’t yours.
(そして、信じることはあなたの得意分野でもないものね。)Peter: Occupational hazard. I like to know I can count on something.
(職業病だな。何かを頼れるって分かってないと落ち着かないんだ。)Elizabeth: I know you do. Sometimes you just have to take a leap of faith.
(分かってるわ。でも時には、思い切って信じて飛び込むしかないこともあるのよ。)White Collar Season1 Episode3 (Book of Hours)
シーン解説と心理考察
信頼が「得意技」ではないと軽口を叩き合う夫婦の会話には、ピーターの職業柄染みついた慎重さがにじみます。「何かを頼れるって分かってないと落ち着かない」という一言には、証拠と手続きを積み重ねて動く捜査官としての性分がそのまま表れています。それでもエリザベスは咎めるでもなく、静かにtake a leap of faithという言葉で夫の背中を押します。このやり取りのあと、ピーターは発信器を切ったニールの動きを、証拠のないまま信じて見守ることを選んでいきます。夫婦の何気ない会話が、相棒との信頼関係を決める判断の支えになっている場面です。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
take a leap of faithを覚えるときは、崖の縁に立ち、下がどうなっているか見えないまま、それでも思い切って飛び降りる場面を思い浮かべてみましょう。安全な着地点が用意されているかどうかは分かりません。それでも足を踏み出す、その一瞬の勇気がこの表現の中心にあります。証拠を積み上げてから動くタイプのピーターが、エリザベスの一言をきっかけに、ニールへの信頼だけを頼りに一歩を踏み出したように、確信が持てないまま前へ進む決断を表したいときに、この言葉が自然と浮かんでくるはずです。
例文で覚える「take a leap of faith」
take a leap of faithは、仕事の決断から人間関係まで、結果が保証されていない選択をする場面で幅広く使える表現です。3つの例文で、その使われ方を見ていきましょう。
I decided to take a leap of faith and quit my job to start my own business.
(思い切って会社を辞めて、自分のビジネスを始めることにしたんだ。)
安定した仕事を手放し、不確かな道へ踏み出すキャリアの決断を表す言い方です。
After months of long-distance texting, she took a leap of faith and moved to be with him.
(何ヶ月もメッセージだけでやり取りした末、彼女は思い切って彼のもとへ引っ越すことにした。)
確証のない相手との将来に賭ける、人間関係での決断を表す場面です。
A: Are you sure about this investment? There’s no guarantee it’ll work out.
B: Not really, but I’m going to take a leap of faith on this one.
(A:この投資、本当に大丈夫なの?うまくいく保証なんてないのに。)
(B:正直分からない。でも今回は思い切って賭けてみるよ。)
リスクを承知の上で決断を下す場面での、率直なやり取りです。
あわせて覚えたい関連表現
give it a shot
(とにかくやってみる)
take a leap of faithが証拠のないまま「信じて踏み出す」重さを持つのに対し、こちらはもっと気軽に「とりあえず試してみる」というカジュアルな響きの表現です。
trust your gut
(直感を信じる)
take a leap of faithが踏み出す「行動」そのものに焦点を当てるのに対し、こちらは決断の根拠となる「直感」に焦点があり、判断の拠りどころを表す言葉です。
jump in with both feet
(思い切って飛び込む、全力で取り組む)
どちらも跳躍のイメージを共有しますが、take a leap of faithが不確かさへの信頼を強調するのに対し、こちらは迷いなく全力で関わる姿勢そのものを強調する表現です。
Note|「leap of faith」に息づく、哲学者キェルケゴールの跳躍
何気なく使われるtake a leap of faithという言葉の背景には、19世紀の哲学者の思想が息づいているとされています。
デンマークの哲学者セーレン・キェルケゴールは、理屈や証拠を積み重ねた先に信仰へたどり着くのではなく、理性だけでは埋められない隔たりを、みずからの意志で飛び越える「跳躍」によって信仰に至ると考えたと伝えられています。もとは宗教的な文脈で語られていたこの発想が、時代を経るにつれて、証拠がそろわないまま重大な決断を下す、という日常的な場面にも当てはめられるようになったと考えられています。仕事の決断でも、人間関係の選択でも、すべての根拠が揃うのを待っていては、いつまでも一歩を踏み出せないことがあります。take a leap of faithという言葉には、そうした「待ちきれない瞬間」に、あえて踏み出す勇気を選び取るという発想が重なっています。
証拠のないまま部下を信じたピーターの一歩も、理屈を超えたところで踏み出す、この言葉本来の跳躍に近いものだったのかもしれません。
言葉の奥にある哲学を知ると、何気ない一言の重みが少し変わって見えてきます。
まとめ|証拠のない一歩を支えた、妻の一言
take a leap of faithは、確証や保証がないまま、それでも思い切って行動に踏み切ることを表す表現です。崖の下が見えないまま飛び降りるようなその感覚は、キャリアの決断にも、人間関係にも、そして今回のピーターのように相棒を信じる場面にも重なります。妻エリザベスのさりげない一言が、証拠を積み重ねて動く捜査官の背中を静かに押した今回のシーンは、この表現が持つ温度をよく表していました。理屈だけでは踏み出せない場面に出会ったときには、表現の引き出しに加えてみてください。


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