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なぜかまだ手放せずにいるもの、片付けたはずなのにどこか心に引っかかったままの出来事が、誰にでも一つや二つあるのではないでしょうか。
そんな心境にぴったりの「unfinished business」を、『ホワイトカラー』シーズン2第11話の後半、ある品を今も手元に置き続けている理由を、ニールに問われたピーターが静かに口にする場面から、一緒に見ていきましょう。
「unfinished business」の意味とニュアンス
unfinished business
意味:やり残したこと、未解決の問題
unfinished businessは、文字通りには「片付いていない仕事・用件」を意味しますが、転じて感情的なわだかまりや、決着のついていない人間関係、心残りになっている出来事全般を指す表現として広く使われます。businessという語が持つ「案件・用件」という意味が、感情面にまで拡張された形です。
過去の因縁に決着をつけたいときや、やり残した課題・心残りに触れるときによく使われ、have unfinished businessやleave unfinished businessといった形で用いられます。ビジネス文書のような硬い響きの言葉が、日常会話や物語の中で感情的な重みを帯びて使われる点が印象的です。
複数形にならず単数のまま使われる点も見逃せません。businessが持つ「案件全体をひとまとめにする」という集合的な語感のおかげで、いくつもの心残りが積み重なっていても、unfinished businessesとは言わず、あくまでunfinished businessという単数形でまとめて表現できます。
似たような「未解決」を表す表現の中でも、unfinished businessは案件や関係全体を指す、ある程度大きな単位の心残りを表す点が特徴です。次の【ここがポイント!】で、要点を確認していきましょう。
【ここがポイント!】
- 「unfinished business」の核は、片付いていない用件が心残りとして残るイメージ
- ビジネス由来の硬い語感が、感情的な重みを帯びて使われるのが面白いところ
- 過去の因縁やわだかまりを一言で表したいときに便利な表現
『ホワイトカラー』S02E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
現在パートでの一コマです。ニールがピーターの手元にある何かの品に気づき、それが去年の一件にまつわるものではないかとからかい混じりに尋ねる場面に注目です。
Neal: That’s not the same sucker you got from James Bonds last year, is it? People talk.
(それ、去年ジェームズ・ボンズから手に入れたのと同じキャンディーじゃないだろうな? 噂になってるぞ。)Peter: Yeah. Well, nobody gets why I’m still holding on to this. Unfinished business.
(ああ、そうだよ。まあ、なんで俺がまだこれを手放さずにいるのか、誰にも分かっちゃもらえないんだけどな。やり残したことがあるんだよ。)Neal: I get it. So, Adler disappeared, but what about his account?
(分かる気がするよ。それで、アドラーは姿を消したわけだが、奴の口座はどうなったんだ?)Peter: There was only a dollar left in it. The password was an anagram for “nice try Neal.”
(口座には1ドルしか残っていなかったよ。パスワードは”nice try Neal”のアナグラムだった。)White Collar Season2 Episode11 (Forging Bonds)
シーン解説と心理考察
「People talk.」というニールの一言どおり、この逸話はすでに周囲でちょっとした噂の種になっている様子です。ピーターは特に隠すことなくそれを認めつつ、「誰にも理由を分かってもらえない」と周囲の理解を得られていないことを前置きしたうえで、それでも手放さずにいる自分の心境を静かに口にします。
「やり残したこと」という一言には、単なる思い出の品への執着以上に、過去の事件や因縁に対してピーター自身が抱えている、割り切れない感情がにじんでいます。誰にも理解されないと分かっていながらそれでも手放さない、という言い方そのものに、本人にもうまく説明のつかない未練の深さが表れています。ニールが「分かる気がするよ」とだけ静かに返し、すぐに話題をアドラーの口座へと切り替えていく流れからは、二人の間に積み重なってきた信頼と理解の深さが感じられます。深追いせずに軽く受け止めて次の話題へ移る呼吸の合わせ方に、長年の相棒としての距離感が表れている場面です。理由を問い詰めるでもなく、ただ受け止めて話題を前に進めるニールの態度そのものが、この二人の関係の成熟ぶりを静かに物語っています。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
机の上に置きっぱなしになった、まだ判子を押していない書類のイメージを持つと、このフレーズの感覚がつかみやすくなります。
劇中でピーターが「まだ手放せずにいる」と語ったある品への未練にも、このイメージがそのまま重なります。物理的には片付けられるはずなのに、気持ちの整理がついていないから手元に残してしまう、そんな書類と感情の共通点ごと覚えておくと、過去の心残りについて語りたい場面で自然に口から出てくるはずです。
例文で覚える「unfinished business」
過去の因縁からビジネスの場面まで、unfinished businessが使われる幅広い場面を、3つの例文で確認していきましょう。
I still have some unfinished business with my old rival.
(昔のライバルとの間には、まだやり残したことがある。)
過去の因縁について語る場面です。stillを添えることで、決着がついていない状態が今も続いていることが強調されます。
Before I retire, I want to take care of some unfinished business at work.
(引退する前に、仕事でやり残したことを片付けておきたい。)
退職や異動の前に区切りをつけようとするビジネスの場面です。take care ofと組み合わせることで、片付けるべき用件という本来の意味合いも自然に生きています。
A: You seem distracted today. Is something wrong?
B: Not really. I just have some unfinished business from my last relationship.
(A:今日はどこか上の空だね。何かあった?)
(B:そういうわけじゃないんだ。ただ、前の関係でやり残したことがあってね。)
心配する相手に、心残りを打ち明けるカジュアルな会話です。fromを添えることで、心残りの出どころがはっきりと示されます。
あわせて覚えたい関連表現
loose ends
(未解決の細部、やり残した細かい点)
unfinished businessが案件や関係全体を指すのに対し、loose endsはより細かい未処理事項を指すことが多く、tie up loose endsで「細部を片付ける」という形でよく使われます。
leave something hanging
(何かを宙ぶらりんのままにする)
意図的・非意図的を問わず、物事が中途半端な状態で放置されていることを指す動詞的な表現で、unfinished businessよりも「状態」そのものに焦点があります。
settle a score
(因縁に決着をつける、仕返しをする)
unfinished businessよりも対立や復讐のニュアンスが強い表現で、単なる心残りというより、決着をつける行動そのものに重心が置かれます。
Note|”unfinished business”がドラマや映画で繰り返し使われる理由
unfinished businessという言葉は、アメリカのドラマや映画の中で、過去の因縁や心残りを描く際の常套句として繰り返し登場します。キャラクターが過去と向き合う瞬間に、この一言が添えられる場面は数多く見受けられます。
物語の中でこの表現が好まれる理由の一つは、businessという硬いビジネス用語が、感情的な重みを持つ言葉へと転じるギャップにあります。「片付いていない用件」という即物的な響きが、実際には割り切れない感情や過去の傷を指しているという二重性が、セリフとしての含みを生み出しています。ピーターのように、多くを語らずこの一言だけで心情を伝えるキャラクターの描写には、説明的な台詞を避けつつ内面をにじませる、脚本上の工夫が表れていると言えます。直接的な感情表現を避ける会話劇において、この表現は便利な語彙として機能しています。
劇中のピーターも、多くを語らずこの一言だけで自分の心情を伝えていました。理由を長々と説明する台詞よりも、この短い一言のほうがかえって過去の重みを感じさせる、という逆説がそこにはあります。物語がこの表現を選ぶとき、そこには必ず何かしらの過去との結びつきが隠れています。
一言に込められた含みを読み取る、それもドラマを見る楽しみの一つです。
まとめ|多くを語らない一言に滲む、割り切れなさ
unfinished businessは、片付いていない用件から転じて、心残りや過去のわだかまりを表す表現です。過去の因縁に触れたいときに、多くを説明せずとも心情を伝えられる便利な言い回しと言えます。
昔のライバルとの因縁を語るときも、仕事の区切りをつけたいときも、この一言があれば状況を簡潔に共有できます。
ある品への未練を「やり残したこと」の一言で片付けたピーターの様子には、多くを語らずとも積み重ねてきた時間の重みがそのまま表れていました。


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