海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第8話では、男性陣が打ち上げを見に出かけたあと、母メアリー、祖母ミーモー、妹ミッシーの留守番組の3人も週末を楽しもうとします。メアリーとミーモーは母と娘の間柄で、軽口の応酬が続きます。
冗談で言ったことをすぐに取り消したり、冗談めかして本音を明かしたり。からかいと本音を行き来する英語を、2人のやり取りから拾っていきます。
「Excuse me, I’m fun.」軽口に言い返す
美容院の話から髪の色が話題になり、メアリーはミッシーに、髪の色は変えないと言い渡します。そこへミーモーが口を挟みました。
Meemaw: Your mom is no fun.
(あんたのママはつまんないねえ。)Mary: Excuse me, I’m fun.
(ちょっと、私は楽しい人よ。)Missy: So I can color my hair?
(じゃあ、髪を染めていいの?)Mary: Not a chance. But I’m very much fun.
(絶対だめ。でも、私はとっても楽しい人よ。)Meemaw: Whatever you need to believe.
(あんたがそう思いたいなら、それでいいさ。)Young Sheldon Season1 Episode8(Cape Canaveral, Schrodinger’s Cat, and Cyndi Lauper’s Hair)
no fun は「つまらない人」という意味で、fun を名詞のまま使い、no で打ち消しています。メアリーの Excuse me は「すみません」ではなく、「ちょっと、聞き捨てならない」という心外な気持ちを示す言い返しです。
ミッシーがその言葉に乗って髪を染める話に戻すと、メアリーは Not a chance. と即座に断りました。「可能性はゼロ」という意味で、きっぱりした拒否になります。そのうえで very much fun と言い直し、断りながらも「楽しい人」という主張は引っ込めていません。
ミーモーの Whatever you need to believe. は、直訳すると「信じる必要のあることなら何でも」です。相手の主張を否定はせず、「そう思いたいならどうぞ」と受け流す皮肉で、軽口の締めくくりとして使われています。
「A little bit.」から「I’m teasing, come on.」へ
別の場面で、ミーモーは途中になっていた話の続きをメアリーに持ちかけます。
Meemaw: You ready to finish our conversation?
(話の続き、する気になった?)Mary: There’s nothing to finish. I raised myself like a jungle child. End of story.
(続きなんてないわ。私はジャングルの子みたいに、自分で自分を育てたの。話はおしまい。)Meemaw: Oh, stop being so dramatic. You think I didn’t feel bad not being around more than I wanted to be?
(もう、大げさだねえ。思うようにそばにいてやれなくて、私が平気だったとでも思ってるのかい?)Young Sheldon Season1 Episode8(Cape Canaveral, Schrodinger’s Cat, and Cyndi Lauper’s Hair)
You ready to ~? は Are you を省いたくだけた形で、「〜する気になった?」と相手の気持ちを確かめます。メアリーの End of story. は「話はおしまい」と会話を打ち切る一言です。ミーモーの stop being so dramatic は「大げさに言わないで」という意味で、同じ回のフレーズ記事でくわしく扱っています。
Mary: Did you?
(平気じゃなかったの?)Meemaw: A little bit. I’m teasing, come on. Of course I did. Why else would I have begged you and George to move back to Medford?
(ちょっとはね。からかっただけだよ、ほら。もちろん平気じゃなかったさ。でなきゃ、あんたとジョージにメドフォードへ戻ってきてって頼み込んだりするもんかい。)Mary: So you could be with your grandchildren.
(孫たちと一緒にいたかったからでしょ。)Meemaw: And you.
(あんたともね。)Mary: Really?
(本当に?)Meemaw: Yeah.
(ああ。)Young Sheldon Season1 Episode8(Cape Canaveral, Schrodinger’s Cat, and Cyndi Lauper’s Hair)
メアリーの Did you? は、直前の問いかけを受けて「本当にそう思っていたの?」と確かめる短い問い返しです。ミーモーはまず A little bit. と冗談で答え、すぐに I’m teasing, come on. と取り消しました。tease は「からかう」、come on は「ほら」と相手をなだめる合図です。続く Of course I did. の did は、feel bad の繰り返しを避ける代わりの動詞です。
Why else would I have ~? は「ほかにどんな理由で〜したと思う?」という形で、答えは一つしかないと示す言い方になります。孫のためでしょうと返すメアリーに、ミーモーは And you. と短く付け足しました。メアリーの Really? に Yeah. と答えるところまで、冗談を挟まない短い言葉が続いています。
- A: Did you miss me while I was away?
(留守の間、さみしかった?) - B: A little bit. I’m teasing. Of course I did.
(ちょっとだけね。冗談だよ。もちろんさみしかった。)
「it would help my cause」冗談めかして本音を明かす
やり取りの最後に、ミーモーは娘をほめる一言を口にします。
Meemaw: Besides, you raised yourself better than I ever could.
(それに、あんたは私が育てるよりずっと立派に、自分で自分を育てたじゃないか。)Mary: You actually believe that?
(本気でそう思ってるの?)Meemaw: No, but it would help my cause if you did.
(いいや。でも、あんたがそう信じてくれたら、こっちの話が通りやすくなるからね。)Young Sheldon Season1 Episode8(Cape Canaveral, Schrodinger’s Cat, and Cyndi Lauper’s Hair)
Besides は「それに」と理由を付け加える語で、ここではメアリーが最初に口にした raised myself を raised yourself と言い換え、ほめ言葉に変えています。メアリーの You actually believe that? は、actually を入れることで「本気で?」と相手の本心を確かめる問いになります。
ミーモーの it would help my cause if you did の cause は「主張、目的」で、help one’s cause は「自分の言い分に有利に働く」という意味です。ほめ言葉は説得のためだったと自分で明かしてしまう、冗談めかした返しが印象的です。
直前のブロックでは、冗談を先に言ってから I’m teasing で本音に戻しました。ここでは逆に、ほめ言葉を先に言い、問い返されてから No と認めています。順番は反対でも、冗談と本音を並べて見せる点は同じで、2人の会話の調子が表れた場面です。
- A: You did a great job on the report.
(報告書、よくできてたね。) - B: You actually believe that?
(本気でそう思ってる?) - A: No, but it would help my cause if you did.
(いや。でも、そう信じてくれたら頼みごとがしやすくなるからね。)
まとめ|からかいと本音の英語
Excuse me, I’m fun. と言い返し、Whatever you need to believe. で受け流す。I’m teasing, come on. で冗談を取り消し、it would help my cause で本音をおどけて明かす。母と娘の軽口から、英語の冗談と本気の切り替え方が見えてきます。
次回も『ヤングシェルドン』の会話を観ながら、英語表現を一緒に拾っていきましょう。


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