「get the ball rolling」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E17で学ぶ英会話

「get the ball rolling」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

全員が黙ったまま、誰が最初に口を開くのかを互いに待っている。そんな沈黙が生まれる瞬間が、ドラマには時々あります。

その沈黙を破るときに使えるのが「get the ball rolling」で、物事を動かし始める、口火を切る、という意味です。『メンタリスト』シーズン1第17話の中盤、投資会社の幹部たちを集めたジェーンが、自分から先に話すと申し出る場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「get the ball rolling」の意味とニュアンス

get the ball rolling
意味:物事を動かし始める、口火を切る

止まっているボールに手を添えて、最初のひと押しを加える。転がり出したあとは、押し続けなくても勢いで進んでいきます。その最初の一手だけを切り取ったのが、この表現です。

焦点があるのは開始であって、完成ではありません。動き出したあとを誰が引き継ぐのかは、この言い方の外側にあります。会議、企画、手続きなど、複数の人が関わる物事によくなじむのはそのためです。

対象を示すときは on を伴い、get the ball rolling on the new project のように続けます。誰が動かすのかを示したいときは、Let’s get the ball rolling. や I’ll get the ball rolling. と主語を立てます。

just to get the ball rolling という前置きの形も定番です。これから言うことは完成した意見ではなく、話を動かすための一手だという断りになります。硬すぎず軽すぎず、会議でも雑談でも使える中立的な響きを持っています。

【ここがポイント!】

  • 核は「止まったボールに、最初のひと押しを加える」という動作
  • 焦点は開始だけ。転がり出したあとを引き継ぐのは別の人でよい
  • just to get the ball rolling と前置きすれば、たたき台として話し出せる

『メンタリスト』S01E17のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

有力な容疑者を釈放したジェーンは、あえて投資会社の幹部たちのところへ戻ってきます。狙いは、彼らの関係をかき回して反応を見ること。自分のことを話してほしいと切り出しても、当然ながら誰も口を開きません。そこでジェーンは、自分から先に話すと申し出ます。

Jane: Joyce, you first.
(ジョイス、あなたからどうぞ)

Joyce: Me first to do what, exactly?
(私が最初に、いったい何をするんですの)

Jane: I’ll tell you what I think, just to get the ball rolling. I think you’ve made your way in the world by concealing your true feelings under a mask of positivity and niceness, but underneath, you’re a seething mass of ugly, bitter resentment. You think Faulk is a stupid buffoon, but you’re far too clever to be brave enough to tell him so.
(では僕が思っていることを言いましょう。まずは口火を切るということで。あなたは前向きさと愛想の良さという仮面の下に本心を隠して、この世界を渡ってきた。でもその下にあるのは、煮えたぎるような醜い恨みだ。フォークのことは間抜けな道化だと思っている。でも利口すぎて、本人にそう言う勇気は出せない)

Joyce: How dare you?
(よくもそんなことを)

The Mentalist Season1 Episode17(Carnelian, Inc.)

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シーン解説と心理考察

get the ball rolling という前置きは、ここでは親切ではありません。順番を回すための一手ですよ、という顔をしながら、実際に置かれるのは相手の内面を名指しする不躾な人物評です。

この一言が挟まることで、続く発言の位置づけが変わります。個人攻撃ではなく、場を動かすための最初の発言。そう枠づけられてしまうと、怒って席を立つ側のほうが場を壊したように見えてしまいます。反論しにくい構図を先に作ってから本題へ入る手順が表れています。

もうひとつ効いているのが、I’ll tell you what I think という言い方です。事実ではなく自分の見方だと宣言しているため、外れていても嘘にはなりません。断定を避けながら、断定と同じ効き目を引き出しています。

ジョイスの How dare you? という短い返しは、内容の否定にはなっていません。言い当てられた側が礼儀の話に逃げる。その反応そのものが、次の観察材料になっていく場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

ボウリングのレーンに立って、球を手から離す瞬間を思い浮かべてみましょう。手が触れているのはほんの一瞬で、あとは球が自分で転がっていきます。押し続ける必要はなく、必要なのは最初のひと押しだけ。この構図が、そのままこの表現になります。

劇中で押されたのは、会話そのものでした。誰も話し出さない部屋で、ジェーンが自分から球を離す。彼が触れたのはその一投だけで、あとは幹部たちが動揺し、互いに反応し合って勝手に転がっていきました。転がった先まで責任を負わないところまで含めて覚えておくと、この表現の使いどころを外しません。

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例文で覚える「get the ball rolling」

会議の口火にも、手続きの着手にも、背中を押す一言にも使えます。三つの例文で、その広さを見ていきましょう。

I’ll share my numbers first, just to get the ball rolling.
(まず私の数字から共有しますね。口火を切るということで)
会議で誰も話し出さないときに、自分から始める場面です。just to を添えると、完成品ではなくたたき台だという控えめさが伝わります。

Once we get the ball rolling, the rest should be easier.
(いったん動き出してしまえば、あとは楽になるはずだよ)
着手をためらっている相手を後押しする場面です。Once と組むことで、最初のひと押しこそが山場だという励ましになります。

A: Who’s going to bring it up with the client?
B: I will. Someone has to get the ball rolling.
(A:誰がクライアントに切り出す?)
(B:私が。誰かが口火を切らないとね)
言い出しにくい話題を誰が持ち出すか決める場面です。Someone has to と組むと、気は進まないが必要だという含みが出ます。

あわせて覚えたい関連表現

kick off
(開始する、始動する)
イベントや企画の正式なスタートを指すことが多く、開始の合図という色が濃い言い方です。今回の表現は非公式な最初のひと押し寄りで、会議のひと言にも使えます。

set the wheels in motion
(物事を動かし始める)
仕組みや手続きといった大きな装置を動かす含みがあり、ややかたい響きになります。個人が会話を切り出す場面には、今回の表現のほうがなじみます。

break the ice
(場の緊張をほぐす、話のきっかけを作る)
目的が空気をやわらげることにあります。今回の表現は物事の進行そのものを動かすことが目的で、劇中のように両方を兼ねる場面もあります。

Note|選挙戦を転がった巨大な球

この表現に出てくるボールは、頭の中で考え出された比喩ではなく、実際に転がされた球だったという話が残っています。

よく語られるのが、1840年のアメリカ大統領選です。ホイッグ党のウィリアム・ヘンリー・ハリソン陣営の支持者たちが、直径3メートルほどの巨大な球を作り、スローガンを書きつけて州から州へ転がして練り歩いたとされます。このとき掲げられた掛け声が Keep the ball rolling で、意味は「勢いを止めるな」。選挙運動の熱気そのものを転がる球で表した見立てが評判を呼び、政治の語彙から日常語へ広がっていったと説明されることが多くなっています。ただし、球技に由来するとする指摘や、この選挙より前の用例を挙げる説もあり、由来はひとつに絞りきれません。

興味深いのは、日常語として広く残ったのが keep ではなく get のほうだという点です。keep the ball rolling も今なお「勢いを保つ」という意味で使われますが、会議や雑談でより多く耳にするのは get the ball rolling、つまり止まっている球を動かし始めるほうになります。動き続けさせることよりも、最初に動かすことのほうが難しい。どちらの言い方が生き残ったかが、そのことを物語っているようにも見えます。

劇中のジェーンが必要としていたのも、まさにその最初のひと押しでした。誰も話し出さない部屋で、球はまだ止まっている。転がり始めさえすれば、あとは勝手に進んでいくと分かっていたのでしょう。

止まっているものを動かす一押しには、いつの時代も名前が付けられてきたようです。

まとめ|最初のひと押しを引き受ける言葉

get the ball rolling が引き受けているのは、物事の全部ではなく、最初のひと押しだけです。完成させる責任も、最後まで押し続ける義務もない。だからこそ、言い出しにくい場面でも軽く口にできる表現になっています。

会話に入れておくと、沈黙が続く場面での身の振り方がひとつ増えます。会議の口火にも、後回しにしてきた手続きにも、迷っている相手の背中を押すときにも使えて、どこまで本気かは前後の言葉が決めてくれます。

劇中のジェーンは、この一言を挟むことで、不躾な人物評を場の進行として通してしまいました。まずは動かす、という構えを示す言葉として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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