「in for a penny」の意味と使い方|『メンタリスト』S03E13で学ぶ英会話

「in for a penny」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

ひとつの嘘をつくと次の嘘が必要になり、気づけば引き返せない場所まで来ている。そんな連鎖が描かれる瞬間が、ドラマには時々あります。

その連鎖をたった一言で片づける「in for a penny」を、『メンタリスト』シーズン3第13話から、追い詰められた人物がすべてを認めていくシーンを通して、一緒に見ていきましょう。

目次

「in for a penny」の意味とニュアンス

in for a penny
意味:乗りかかった船だ / ここまで来たら最後までやる

もとは in for a penny, in for a pound という一続きの言い回しです。1ペニー分だけ関わったのなら、1ポンド分関わったのと変わらない。少しでも踏み込んだ以上は、行き着くところまで行くしかない、という開き直りを表します。

前半だけのin for a pennyも使われますが、全文のin for a penny, in for a poundも現在使われています。「前半だけが一般形」と限定せず、省略形として扱います。この言い回しは主にBritish/UKの表現として辞書に記載されています。

使われる場面は二方向あります。ひとつは前向きな踏み込みで、思い切った出費や挑戦を後押しするとき。もうひとつが後ろ向きの連鎖で、隠しごとや不正が止まらなくなった状況を自嘲的に語るときです。どちらの向きで使われているかは、直前に何が語られたかで判断します。

【ここがポイント!】

  • 少額でも大金でも同じこと、という開き直りから来た言い回し
  • 主にBritish/UKの表現で、全文と前半だけの省略形の両方が使われる
  • 前向きな踏み込みか、止まらなくなった連鎖かを文脈で読み分けるのがコツ

『メンタリスト』S03E13のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

事件の終盤、追い詰められた人物がジェーンの前で経緯を認めていく、物語の核心に当たる場面です。以下の引用は話者名と自供内容から犯人を特定できるため、公開には明示的なネタバレ判断が必要です。

Jane: And you took her cameras, and you planted one at Crosswhite’s.
(それでカメラを持ち去り、一台をクロスホワイトの家に置いた)

Nail: In for a penny. I thought that… when I confessed, I would feel the weight lift. I don’t feel anything.
(乗りかかった船だ。白状すれば……肩の荷が下りると思っていた。何も感じない)

The Mentalist Season3 Episode13(Red Alert)

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シーン解説と心理考察

四語で済ませてしまうところに、この人物の輪郭が表れています。ひとつの隠しごとが次を呼び、気づけば引き返せない場所まで来ていた。その連鎖を説明しようとせず、慣用句をひとつ置いて終わりにする。自分の行いを長年どう処理してきたかが、言葉数の少なさに出ています。

慣用句が選ばれたことにも意味があります。決まり文句は、話し手が自分の言葉で説明する手間を省いてくれるものです。誰もが知っている型に流し込めば、その行いはよくある話の一例に見える。責任の重さを薄める働きを、この一言が担っていると言えます。

続く「白状すれば肩の荷が下りると思っていた」「何も感じない」との並びが、その効果を裏返します。言葉で軽くしようとしても、実際には何も軽くならなかった。慣用句で済ませた人物が、そのすぐあとに空洞を認める。この落差が、場面の後味を決めています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

天秤の左に1ペニー、右に1ポンドを載せた場面を思い浮かべてみてください。金額はまるで違うのに、傾いた先で待っている結末は同じです。だったら小さいほうで止まる意味がない、というのがこの言い回しの理屈になります。

覚えるときは、この「どちらでも同じ」という天秤の絵と、後半を言わずに済ませる省略の形をひと組にしておくと定着します。言わなくても伝わるくらい、続きは決まっているわけです。

劇中でも、この人物は四語だけを口にして黙ります。言葉を省く動作そのものが、行いを省略してきた生き方と重なる。声に出さない部分にこそ中身がある表現として押さえておくと忘れにくくなります。

例文で覚える「in for a penny」

前向きな踏み込みと、止まらなくなった連鎖。両方の向きを3つの例文で見ていきましょう。

We’ve already booked the flights. In for a penny, in for a pound.
(もう航空券は取った。乗りかかった船だ)
旅行の予算が膨らんでいく場面です。金銭が絡むときは全文で使われることも多く、由来の感覚がそのまま生きます。

She lied once to cover for him, then again, and again. In for a penny.
(彼をかばって一度嘘をつき、また嘘を重ねた。引き返せなくなったのだ)
第三者の行動を描写する場面です。劇中の使い方にもっとも近く、連鎖の結果を短く締めくくれます。

A: If we’re rebranding, shouldn’t we redo the website too?
B: In for a penny. Let’s do the whole thing properly.
(A:ブランドを一新するなら、サイトも作り直すべきでは)
(B:乗りかかった船だ。どうせなら全部きちんとやろう)
企画の範囲を広げるか迷う場面です。提案を後押しする決まり文句として、会議でも自然に置けます。

あわせて覚えたい関連表現

might as well go all the way
(どうせなら最後までやろう)
同じ「やりきる」でも、こちらは前向きな決断に寄ります。in for a penny には、すでに引き返せないという既成事実の色が濃く出ます。

cross the Rubicon
(後戻りできない一線を越える)
後戻りできない一線を越える、その瞬間を指す言い方です。in for a penny は越えたあとの覚悟を語るため、時間軸が半歩うしろにあります。

be in too deep
(深入りしすぎている)
抜け出せない状態そのものを表し、開き直りの響きはありません。in for a penny には「ならば徹底的に」という前へ出る勢いが含まれます。

Note|後半が消えた慣用句たち

in for a penny, in for a pound は、前半だけを口にする形で定着しました。劇中の人物も四語しか言いません。それでも意味は通じます。

英語には、when in Rome(…do as the Romans do)やyou can lead a horse to water(…but you can’t make him drink)のように、前半だけで使われることがある句があります。ただし、curiosity killed the catにbut satisfaction brought it backが続く形は、元の後半が省略されたのではなく、後世に加わったrejoinderです。同じ省略過程の例に数えないよう区別します。

省略には、話し手にとっての利点もあります。全文を言えば教訓を垂れる響きになりますが、前半で止めれば軽く投げるだけで済む。in for a penny の乾いた手触りは、この省略から生まれています。

劇中の告白が短く冷たく響くのも、そのためです。省いた部分に、言うまでもないという態度が宿ります。

言わない半分にこそ、この表現の重さがあります。

まとめ|引き返せなくなるということ

in for a penny の中心にあるのは、1ペニーでも1ポンドでも結末は変わらないという開き直りです。踏み込んだ時点で最後まで行くしかない。その理屈が、四語のなかに畳み込まれています。

前向きな決断を後押しする場面でも、止まらなくなった連鎖を語る場面でも使えます。直前に何が語られたかを見れば、どちらの向きかはすぐに判断できるはずです。

言わない半分まで含めて届く一言として、表現の幅を広げてみてください。

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