「have blood on one’s hands」の意味と使い方|『メンタリスト』S03E13で学ぶ英会話

「have blood on one's hands」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

一人の男が銃を抜いた瞬間、その場の全員の運命が結び直されてしまう。そんな数秒が、ドラマには時々あります。

その場面で投げられる「have blood on one’s hands」を、『メンタリスト』シーズン3第13話から、市庁舎に立てこもった男が職員に扉の施錠を命じるシーンを通して、一緒に見ていきましょう。

目次

「have blood on one’s hands」の意味とニュアンス

have blood on one’s hands
意味:人の死や負傷に責任がある / 手が血に染まっている

自分の手で殺めたかどうかを問わないところに、この表現の要があります。判断を誤った、見て見ぬふりをした、その場から逃げた。そうした間接的な関わりでも使われるため、法的な有罪とは別の次元で相手を告発する言葉になります。

英語は blood を感情や関係を語る材料として日常的に使います。bad blood(確執)、be out for blood(血眼になる)、blue blood(高貴な家柄)。そのなかでも blood on one’s hands は、もっとも重い部類に入ります。

責任の所在を示すだけの中立な言い方ではなく、強い非難を込めて使われます。ただし、「血は洗っても消えない」「辞任や謝罪でも終わらない」という文学的な連想が、すべての用例に必須の語義として入るわけではありません。

【ここがポイント!】

  • 実行犯でなくても使える、道義的な責任を指す一言
  • 判断ミスや黙認といった間接的な関わりまで射程に入るのが特徴
  • 中立な責任説明ではなく、強い非難を込める表現だと心得る

『メンタリスト』S03E13のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

市庁舎の窓口。ジェーンがスピード違反の切符を渋々払おうとしていたところへ、二年前に妻殺しの容疑をかけられた男ロナルド・クロスホワイトが銃を持って現れます。窓口の職員に正面玄関の施錠を命じるとき、彼が付け加えた条件が今回のフレーズです。逃げれば他の人質が死ぬ、という重さが一言で突きつけられます。

Jane: Well, I would like to pay this ticket… but under protest.
(この切符、払いますよ。ただし不本意ながら、ということで)

Clerk: Nobody pays any other way.
(みなさんそうおっしゃいます)

Crosswhite: Everybody stay where they are!
(全員、その場を動くな!)

Crosswhite: Now everybody stay right where they are.
(全員、今いる場所から動くな)

Crosswhite: Now, you… you get out there and lock those front doors. Try running, you’ll have blood on your hands. Go.
(おまえだ。行って正面の扉に鍵をかけろ。逃げようとしてみろ、おまえの手が血で汚れることになる。行け)

Clerk: Okay. Okay, ev– everybody over there.
(わかった。わかったから。み、みんな、あっちへ)

The Mentalist Season3 Episode13(Red Alert)

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シーン解説と心理考察

注目したいのは、この時点でクロスホワイトが誰も撃っていないことです。それにもかかわらず、彼は「血で手が汚れる」という重い言い回しを他人に向けます。責任を負わされるのは、鍵をかけに行かされる職員のほうです。

命令の構造も独特です。逃げるなと言えば済むところを、逃げた場合に何が起きるかを先に見せてから行かせる。実際に手を動かすのは職員であり、その手が汚れるという因果を、命じる側が組み立てています。銃を持っている本人ではなく、命じられた側に結果の重さを預ける形が表れています。

彼が二年間置かれてきた状況を思うと、この言い回しの選択には別の色も見えてきます。町中から犯人扱いされ、身に覚えのない血を手につけられたまま生きてきた男が、初めて他人にそれを負わせる側へ回る瞬間です。押しつけられ続けたものを、そのまま人へ渡している。その入れ替わりがこの一言に重なっています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

自分の両手を、明かりにかざして見る場面を思い浮かべてみてください。実際に手を下していなくても、人の死や負傷につながる判断・黙認・命令の責任が、血という像で可視化されます。

法的な有罪を示す専門用語ではなく、話し手が道義的責任を強く帰す表現です。辞任や謝罪で責任が解消されるかどうかは、句そのものではなく議論の内容で決まります。

反対に、水道の前で手をこすり合わせる動作は wash one’s hands of(関わりを断つ)につながります。汚れた手と、洗う手。二つの動作を並べて覚えておくと、責任を負う側と免れる側の表現がひと組で頭に入ります。

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例文で覚える「have blood on one’s hands」

告発として使う場合、保身として使う場合。立場の違いを3つの例文で見ていきましょう。

If they cut the safety budget again, they’ll have blood on their hands.
(また安全対策の予算を削れば、彼らは人の死に責任を負うことになる)
労働組合の申し入れや社内向けの警告で使われる型です。未来形にすると「このままでは」という予告になり、決定を止める圧として働きます。

He resigned, but that doesn’t wash the blood off his hands.
(彼は辞任したが、それで手についた血が落ちるわけではない)
社説やコラムで見かける書き方です。wash off と組み合わせると、落ちないという含みを一段はっきり示せます。

A: I told them the bridge was unsafe. Nobody listened.
B: Then the blood is on their hands, not yours.
(A:あの橋は危険だと伝えたんだ。誰も聞かなかった)
(B:なら責任は向こうにある。あなたじゃない)
責任の所在を確かめ合う場面です。The blood が主語、is が動詞、on their hands が補語となる通常の主語―動詞―補語の語順です。

あわせて覚えたい関連表現

be responsible for someone’s death
(誰かの死に責任がある)
事実関係を述べる中立な言い方で、報道や法的文書で使われます。blood on one’s hands には告発の感情が乗るため、報告書には置き換えられません。

wash one’s hands of something
(〜から手を引く、関わりを断つ)
同じ「手」を使いながら方向が反対で、責任を負わないと宣言する表現です。二つを並べると、手が責任の所在を示す器官として働いていることが見えてきます。

someone’s death is on you
(あの人の死はおまえのせいだ)
より口語的で直接的な言い方です。blood on one’s hands が比喩を一段はさむのに対し、こちらは相手に真正面からぶつけます。

Note|血と手が表す責任

血のついた手と責任の結びつきは、英語圏の文学や宗教的物語にも見られます。よく知られた関連例の一つが、シェイクスピア『マクベス』で手についた血が罪の意識と結びつく場面です。

『マクベス』では、王殺しのあとに血を洗い流せないという像が繰り返されます。また、新約聖書マタイ27章24節には、ピラトが群衆の前で手を洗い、自分には責任がないと示そうとする記述があります。どちらも「手」と責任を結びつける文化的な関連例として確認できます。

ただし、これらの作品がhave blood on one’s handsやwash one’s hands of somethingを直接生み、二つの慣用句を英語に残したとする因果関係は、別の語史資料なしには断定できません。語源ではなく、同じ文化的イメージを共有する例として位置づけます。

劇中でクロスホワイトが職員に告げた一言も、この系譜の上にあります。まだ何も起きていないのに、これから汚れると先に宣言する。落ちないものだからこそ、脅しとして成立するわけです。

強い非難を表す句として理解し、文学的な連想を必須語義と混同しないことが大切です。

まとめ|手が汚れる、という言い方

have blood on one’s hands は、自分の手で殺めたかどうかを問いません。判断を誤った、黙っていた、その場を離れた。間接的な関わりまで射程に入れるからこそ、法的な有罪とは別のところで人を告発できる言葉になっています。

ニュースや議論の場で耳にしたときは、話し手が誰を名指ししているのかを追ってみると、この表現の射程の広さが実感できます。使う側に回るなら、口にした時点で告発になると心得ておくのが安全です。

洗っても落ちないものを指す一言として、表現の幅を広げてみてください。

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