海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
聞かれてもいないことまできっちり説明するほど、仕事に熱が入っている人がいます。頼もしく見えることもあれば、張り切りすぎに見えることもあります。
そんな様子を一言で表す「gung ho」を、『メンタリスト』シーズン3第20話の序盤、留置場の見張りに立つ看守へジェーンが声をかけるシーンから見ていきます。
「gung ho」の意味とニュアンス
gung ho
意味:やる気満々の、張り切っている
熱意にあふれ、勢いよく取り組んでいる様子を表す形容詞です。be gung ho about ~ なら「〜にとても熱心だ」、a gung-ho attitude のように名詞の前へ置けば「非常に熱心な態度」を表せます。
この語は前向きな評価にもなりますが、辞書によっては語そのものに「熱心すぎる」「向こう見ず」という不承認の含みも示されています。否定的な読みは too や声色がある場合だけに限りません。
否定形で使うことも多く、not gung ho about は「あまり乗り気ではない」を表します。積極性の有無を語るときの、便利な物差しになる語です。
つづりが英語らしく見えないのは、もともと英語の語ではないためです。外から入ってきた語が、そのまま形容詞として定着した珍しい例にあたります。
【ここがポイント!】
- 自分の熱意にも、外から見た人の熱心な態度にも使える一言
- 褒め言葉にも軽い茶化しにもなる、話し手の距離感が出る表現
- 文脈によっては語自体が「熱心すぎる」という不承認を帯びる
『メンタリスト』S03E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
CBI庁舎の留置場の前。見慣れない顔の看守が立っているのを見つけたジェーンが、さりげなく話しかけます。You’re new to me は「ジェーンにとって見慣れない」という意味であり、着任初日だとは台本から確定できません。
Jane: Hey. You’re new to me. Uh, who–who are you now?
(やあ。見ない顔だね。えっと、君は誰だい)O’Donnell: Detention Enforcement Officer O’Donnell. Guarding the prisoner up to and until transport.
(留置管理官のオドネルです。護送までのあいだ、被疑者の監視を担当します)Jane: Gung ho. Good to see. Well, welcome, O’Donnell. I’m Patrick Jane. I work with the CBI.
(張り切ってるね。結構なことだ。ようこそ、オドネル。私はパトリック・ジェーン。CBIで働いている)O’Donnell: Okay.
(はあ)The Mentalist Season3 Episode20(Redacted)
シーン解説と心理考察
ジェーンは名前と役職を尋ね、短い評価を挟みます。このやり取りから、相手の反応を観察していることは読み取れますが、gung ho が純粋な褒め言葉か軽い牽制かは文脈に委ねられています。
オドネルは、名前だけでなく役職名と任務の範囲まで正確に述べます。ここから職務に忠実な答え方は観察できますが、着任初日の緊張と断定はできません。
gung ho という一言は、この律儀さをそのまま言い当てています。褒め言葉とも軽い牽制とも取れる短い評価であり、発話だけからどちらか一方に確定することはできません。
最後のそっけない返事が、ジェーンの目論見が思うようには運ばないことを先に告げています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
音で覚えられる、めずらしく手のかからない表現です。ガンホーという響き自体に前のめりの勢いがあり、意味とずれません。
姿勢の絵と結びつけるなら、職務の範囲まで一息に述べる看守の様子です。熱心さが頼もしさにも、張り切りすぎにも見える点を一緒に覚えます。
ho の部分が掛け声のように見えるのも手がかりになります。号令に合わせて一斉に動き出す集団の絵を重ねておくと、あとで語の来歴に触れたときに、すべてがつながります。
例文で覚える「gung ho」
肯定にも茶化しにも振れる語です。三つの例文で、その振れ幅を見ていきましょう。
He’s really gung ho about the new project.
(彼は新しい企画にすっかり張り切っている)
同僚の様子を第三者に伝える場面です。about のあとに対象を置くのが基本の形で、素直に前向きな評価として届きます。
I wasn’t gung ho about the idea at first, but it grew on me.
(最初はその案に乗り気じゃなかったが、だんだん良く思えてきた)
自分の考えが変わった経緯を説明する場面です。否定形にすると、乗り気ではないという控えめな言い方になります。
A: She’s already booked the venue and printed the flyers.
B: Wow. Someone’s a little too gung ho.
(A:彼女、もう会場を押さえてチラシまで刷ったって)
(B:へえ。ちょっと張り切りすぎじゃない)
同僚と軽口を交わす場面です。too を添えると、感心よりも呆れが前に出る言い方に変わります。
あわせて覚えたい関連表現
eager beaver
(張り切り屋)
人そのものを指す名詞です。gung ho は形容詞で、be動詞のあとにも名詞の前にも置ける点が違います。
be raring to go
(今すぐにでも始めたい)
始まる直前の勢いに限った言い方です。gung ho が取り組む姿勢そのものを指すのに対し、こちらは出発の合図を待っている一瞬を切り取ります。
be all in
(全力で取り組む、腹をくくる)
投じる覚悟の量を語る言い方です。gung ho が外から見える熱意の話なのに対し、こちらは本人の決意の深さを示します。
Note|中国語の略称が海兵隊の標語になるまで
gung ho の成立史では、中国語と米海兵隊をつなぐ具体的な経路が確認されています。単に「中国語で力を合わせるという言葉」とするだけでは情報が足りません。
Evans Carlsonは中国で、中国工業合作社の略称 gōnghé に触れました。その音を英語で gung ho と表し、第2海兵襲撃大隊の標語として採用したことが、辞書・語源資料で説明されています。
この標語は部隊の協力精神や熱意と結びつき、やがて英語で非常に熱心な様子を表す形容詞として広がりました。中国語の略称そのものと、現代英語の評価的な意味は同一ではありません。
現代の gung ho は前向きな熱意を表す一方、辞書によっては「熱心すぎる」「向こう見ず」という不承認の含みも示します。この両義性を、軍隊由来語すべてに共通する性質として一般化することはできません。
bite the bullet など別の表現の軍事起源には不確かな説もあるため、同じ一覧に並べて確定事項として扱うのも避けます。この記事では gung ho 自体の確認できる経路に絞ります。
劇中の一語も、熱意を認める読みと、熱心すぎると見る読みの両方を残しています。
まとめ|張り切りぶりを、ひとことで
gung ho は、熱意にあふれて勢いよく取り組んでいる様子を表す形容詞です。自分の姿勢にも他者への評価にも使え、文脈によって前向きな熱意にも、熱心すぎるという不承認にもなります。
覚えておくと、人の様子を一言で言い表せるようになります。積極的だ、意欲があるといった硬い言い方に頼らず、短い二語で温度まで含めて伝えられる。否定形にすれば、乗り気でないことを角を立てずに言えます。
新しい環境に飛び込んだ人を見かけたときの一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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