「every man and his dog」の意味と使い方|『メンタリスト』S04E17で学ぶ英会話

「every man and his dog」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

同じことを何度も何度も聞かれて、「またその質問か」とうんざりした経験はありませんか。自分では答え慣れているのに、相手にとっては初めての質問。そのすれ違いが、地味に疲れるものです。

そんなときに前置きとして使えるのが「every man and his dog」です。『メンタリスト』シーズン4第17話の中盤、ジェーンがある男の取り調べに同席する場面で、この表現が切り出しに使われます。誇張の効かせ方を、一緒に見ていきましょう。

目次

「every man and his dog」の意味とニュアンス

every man and his dog
意味:猫も杓子も、誰も彼も

直訳すると「あらゆる人と、その犬」。人を数えるだけでは足りず、連れている犬まで数に入れないと収まらない、という誇張から生まれた言い方です。要するに「その辺の全員」を指します。

伴うのは、多さへの軽い呆れやうんざり感です。混雑にげんなりしたとき、話題が広まりすぎたとき、同じ質問を何度も受けたとき。称賛や歓迎の文脈では使いません。

文法上は単数扱いになる点に注意が必要です。every で始まるため、Every man and his dog was there. のように動詞は単数形を取ります。was と were を取り違えやすいところです。

くだけた口語表現なので、雑談や軽い愚痴には合いますが、社内資料や報道文には向きません。同じ内容を硬く言うなら everyone や all parties concerned に置き換わります。

【ここがポイント!】

  • 人だけでは足りず犬まで数える、という誇張が多さを表す仕掛け
  • 呆れやうんざり感が伴うので、称賛の場面では使わない一言
  • every 始まりなので動詞は単数。was と were の取り違えに注意するのがコツ

『メンタリスト』S04E17のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

別の事件の捜査で、すでに自分の犯行だと話している男の取り調べに、ジェーンが同席します。相手は元兵士で、記憶が飛ぶことがあると語っています。ジェーンは事件そのものからは入りません。誰もが興味本位で口にするであろう不躾な質問を、あえて最初に置きます。その前置きに、この表現が使われています。

Jane: Every man and his dog asks you this question, I bet– how many people did you kill when you were a soldier?
(きっと誰も彼もが同じことを聞くんだろうね。兵士だった頃、何人殺したんだい)

Barca: Eight.
(8人)

Jane: So Kati makes nine?
(じゃあケイティで9人目?)

Barca: No. Yes. No.
(いや。はい。いや)

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シーン解説と心理考察

ジェーンがこの前置きを置いた理由は、質問の陳腐さを先に認めてしまうところにあります。「どうせ誰もが聞くことだけれど」と言われた側は、身構える必要が減ります。答えを用意してある質問なら、警戒せずに口が動く。その隙間を作るための一言です。

狙いは次の問いにあります。用意された答えがすらすら出たすぐあとに、その延長線上の質問を差し込む。準備のない問いには、準備のない反応が出ます。相手の答えが揺れていく様子が、そのまま自白の危うさとして表れています。

会話の温度も見どころです。取り調べの場でありながら、ジェーンは詰め寄らず、雑談のような入り方をします。every man and his dog というくだけた誇張表現が、その場違いなほど軽い調子を支えている。硬い場面にやわらかい語を置くという配置が、この人物の手口をよく見せています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

長い行列の写真を思い浮かべて、その足元にリードを引かれた犬まで並んでいる絵にしてみてください。人数を数えるだけでは足りず、犬まで数に入れないと収まらないほど多い。この過剰さが、そのまま表現の骨格です。

人だけを挙げるより一段大げさになるからこそ、称賛には向きません。「多すぎてうんざり」という気分と犬の姿がセットになる、と押さえておけば使いどころを外しません。

劇中では、ジェーンが「その質問なら誰も彼もがするだろう」と前置きに使っています。犬まで引っぱり出す大げささが、そのまま「またそれか」という気分に直結する。あの取り調べの入り方ごと覚えてしまうのが、いちばん早い道です。

例文で覚える「every man and his dog」

混雑にも、話題の広がりにも、繰り返しの質問にも使えます。三つの場面で見ていきましょう。

Every man and his dog was at the beach on Sunday.
(日曜のビーチは、それはもう人だらけだった)
混雑への呆れを伝える、いちばん基本的な形です。動詞が was になっている点も一緒に覚えておくと安心です。

These days, every man and his dog is launching an online course.
(最近は誰も彼もがオンライン講座を始めている)
参入者が増えすぎた市場を雑談でぼやく場面です。同じ内容でも、社内資料では中立な言い方に置き換わります。

A: Have you told them about the new job yet?
B: I haven’t said a word, but every man and his dog seems to know already.
(A:新しい仕事のこと、もうみんなに話したの?)
(B:ひとことも言ってないのに、なぜかもう誰も彼もが知ってるみたいでね)
話が勝手に広まっていたと気づく会話です。呆れと諦めが混じる場面によく合います。

あわせて覚えたい関連表現

everyone and their mother
(誰も彼も)
アメリカ英語で好まれる同じ型の表現です。犬ではなく母親を足すだけで、意味も大げささもほぼ同じ。米語圏の相手にはこちらのほうが通りがよくなります。

every Tom, Dick and Harry
(その辺の誰も彼も)
ありふれた男性名を三つ並べる型で、「大した相手ではない不特定多数」という見下しの色がはっきり出ます。every man and his dog は数の多さが主で、相手の格を落とす含みは弱めです。

all and sundry
(誰も彼も、全員)
硬めで書き言葉寄りの表現です。呆れの感情は薄く、対象を漏れなく含めることを事務的に示すときに使われます。

Note|「誰も彼も」を作る言い方の家族

every man and his dog は、ひとつだけ孤立した言い回しではありません。英語には「本来なら数えないものまで足す」という同じ設計の表現が、いくつも並んでいます。

古くから知られているのが every Tom, Dick and Harry です。特別さのない男性名を三つ並べることで、「どこにでもいる連中」を指します。並べる名前が入れ替わった変種も各地に残っており、枠だけが固定されて中身が差し替えられてきたことがうかがえます。より硬い言い方では all and sundry があり、こちらは中世英語の時代から使われてきた古い表現です。

そこへ、比較的新しい世代として everyone and their mother が加わりました。アメリカ英語で広まったこの形は、母親という「普通なら数に入らない身内」を足すことで大げささを出しています。every man and his dog も同じ設計で、こちらは犬という「そもそも人ではないもの」を足す点が違います。

面白いのは、足すものによって色が変わることです。男性名を並べれば見下しが出て、母親を足せば身内びいきの滑稽さが出て、犬を足せば数の多さへの呆れが前に出る。枠は同じでも、中身の選び方で感情の向きが決まります。

この見取り図を持っておくと、劇中のジェーンの一言も別の見え方をします。彼は「大した連中ではない」と侮辱したいわけではありません。ただ「その質問をする人が多すぎる」と言いたい。だから犬の入る言い方を選んでいる、と読めます。

枠を一つ覚えておけば、あとは中身を差し替えて理解できます。

まとめ|「またその質問か」を、犬まで数えて言う

every man and his dog は、人だけでは足りず犬まで数に入れることで「その辺の全員」を表す誇張表現です。多さそのものより、多すぎることへの呆れが乗っている。ここが使い分けの分かれ目になります。

混雑への愚痴、広まりすぎた話題、繰り返される質問。うんざりした気分を軽く伝えたい場面で力を発揮します。every で始まるため動詞は単数、という一点さえ外さなければ、口に出しやすい言い回しです。

うんざりした気分を、角を立てずに笑いに変えて伝えられる、そんな一言です。

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