海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
あとから事実が違うと分かったときに、「てっきりそうだと思い込んでいた」と釈明したくなる場面、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな思い込みを表す「under the impression」を、『フレンズ』シーズン6第1話、結婚生活のちょっとした変化についてロスに軽くあしらわれたレイチェルが、皮肉交じりに切り返す場面から、一緒に見ていきましょう。
「under the impression」の意味とニュアンス
under the impression
意味:〜だと思い込んでいる、〜という印象を持っていた
under the impression は、be under the impression that ~ の形で使われ、実際は違うかもしれないが自分はそう思っていた、そう聞かされていたという思い込みや誤解を婉曲に述べる表現です。直訳すると「(ある)印象の下に」となり、自分の理解や記憶がひとつの印象の中に留まっていた、というイメージがそのまま意味に表れています。
多くの場合、あとになって事実が異なっていたと判明した場面で使われ、勘違いしていたと一方的に決めつけるより柔らかく、遠回しなニュアンスを持ちます。ビジネスの場でも、誤解を指摘するときや、行き違いを説明するときによく使われる表現です。
【ここがポイント!】
- 「ある印象の下にいる」が直訳、思い込みを婉曲に述べる表現が核
- be under the impression that ~ の形でひとまとまりに使う
- 誤解が判明した場面で、柔らかく釈明するのに向いているのがコツ
『フレンズ』S06E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
annulment(婚姻取り消し)をせずこのまま結婚生活を続けたいという意向を示したのは、ロスの方でした。乗り気なロスの気持ちを確かめるように、レイチェルは「本当にこのままでいいのか」と尋ねます。ロスが「書類の記入欄が変わるだけだ」と軽く受け流すと、レイチェルは皮肉たっぷりにこう切り返します。
Rachel: What? Well, wh-what… So… So, what, we just stay married forever?
(え? いや、な、何それ…つまり、このままずっと結婚したままってこと?)Ross: How-how is this going to affect you, really? I mean, you fill some form out once in a while. Instead of checking the box that says “Miss” you check the box that says “Mrs.” It’s right next to it.
(で、でも実際、これでお前に何か影響あるか? だってさ、たまに書類に記入するときに、「独身(Miss)」の欄じゃなくて「既婚(Mrs.)」の欄にチェックするだけだろ。すぐ隣にあるんだし。)Rachel: Oh, okay, I’m sorry, you’re right. You know what? We absolutely can stay married because I was under the impression that the boxes were far away from each other.
(ああ、そうね、ごめんなさい、あなたの言う通りだわ。分かった、私たち絶対に結婚したままでいられるわ。だって私は、その欄同士がすごく離れてるんだと思い込んでたから。)Friends Season6 Episode1(The One After Vegas)
シーン解説と心理考察
結婚生活を続けることに一度は前向きな姿勢を見せたロスに対し、レイチェルは「本当にこのままでいいのか」と念を押します。ロスが持ち出した「書類の記入欄が隣同士だから大した違いはない」という理屈に、レイチェルは一旦「あなたの言う通りね」と譲歩したように見せかけます。
ところがその直後、「その欄同士がすごく離れてると思い込んでいたから」と、ロスの軽い理屈をそっくりそのまま逆手に取って切り返す様子が伝わってきます。書類の欄の物理的な距離という、ロス自身が持ち出したたとえをそのまま皮肉の材料に変える機転の良さと、結婚継続という重い決断を茶化さずにはいられない気まずさの両方がこの一言に表れています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
under the impression を覚えるコツは、頭の中に薄い膜のような「印象」を思い浮かべることです。事実そのものではなく、その周りを覆う印象の中に自分がいる、というイメージを持つと、under という前置詞の「下に・中に包まれて」という感覚がそのまま意味とつながります。
レイチェルが「欄同士が離れてると思い込んでいた」と言ったとき、彼女は事実(欄はすぐ隣)ではなく、自分が抱いていた印象の中に留まっていたことを認めています。この事実と印象のズレごとイメージで覚えておくと、あとから誤解が判明した場面で、この表現がすっと口から出てくるようになります。
例文で覚える「under the impression」
思い込みや誤解を説明する場面で使える under the impression を、3つの例文で感覚をつかんでいきましょう。
I was under the impression that the meeting started at 10, not 9.
(会議は9時ではなく10時に始まるものだと思い込んでいました)
勘違いを丁寧に説明するビジネスの場面です。be動詞の過去形とセットで使われることが多い表現です。
She was under the impression that the tickets were free.
(彼女はチケットが無料だと思い込んでいた)
第三者の誤解を説明する場面です。事実と異なっていたことが前提にある使い方です。
A: You told everyone we’re getting married next month?
B: Well, I was under the impression that we’d already decided.
(A:来月結婚するって、みんなに言っちゃったの?)
(B:え、てっきりもう決まってるものだと思ってたんだけど。)
行き違いが発覚した場面での往復会話です。柔らかく釈明するトーンが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
assume that
(〜だと思い込む、当然だと決めてかかる)
under the impression よりもやや直接的に「勝手にそう決めつけた」というニュアンスを持つ表現です。under the impression の婉曲さに比べ、assume は自分の思い込みの責任をはっきり認める響きがあります。
get the wrong idea
(誤解する、勘違いする)
思い違いをしていたことをカジュアルに表す言い方です。under the impression がやや丁寧・婉曲な響きなのに対し、こちらは日常会話でより気軽に使われます。
as far as I knew
(私が知っている限りでは)
自分の理解の範囲を示す前置きの表現です。under the impression が思い込んでいた内容そのものを述べるのに対し、こちらはその時点での自分の認識を前置きとして添える働きをします。
Note|”I thought so” とは違う、ワンクッション置く言い方
under the impression は、単に「そう思った」と言う I thought so とは違い、ワンクッション置いた婉曲な響きを持つ表現です。この違いは、特にビジネスの場面で誤解を説明するときに意味を持ちます。
I thought that ~ は、自分の考えをストレートに述べる言い方で、責任の所在をあまり意識させません。一方 I was under the impression that ~ は、誰かにそう説明された、あるいはそう見えたことからそういう印象を持つに至ったという経緯を含みながら、断定を避けるニュアンスを持ちます。会議の日程を勘違いしていたことを謝るとき、「I thought the meeting was at 9」よりも「I was under the impression that the meeting was at 9」の方が、事務的で角の立たない言い方に聞こえます。
カジュアルな会話では I thought so で十分なことが多いですが、誰かに誤解の責任を押し付けたくない場面、あるいは丁寧に釈明したい場面では under the impression が重宝されます。レイチェルが皮肉交じりに使ったこの表現も、字面としては丁寧な言い回しだからこそ、皮肉の効き目が増しているとも言えます。
丁寧な言葉づかいほど、皮肉の刃が鋭くなることもあるものです。
まとめ|思い込みをやわらかく言い表す一言
under the impression は、実際とは違う思い込みや誤解を、遠回しに、そして丁寧に述べる表現です。be under the impression that ~ の形でひとまとまりに使い、事実と自分の認識のズレを穏やかに言い表せます。
行き違いを説明したいとき、あるいは誤解の責任を強く押し付けたくないとき、この一言があれば角を立てずに釈明できます。ロスの理屈をそのまま逆手に取ったレイチェルの切り返しには、深刻な話題を茶化さずにはいられない、あの朝の気まずい空気がそのまま残っていました。


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