海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かと交渉していた相手が、思いのほか早くこちらの要求を受け入れてくれて、「え、そんなに簡単に?」と驚いた経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「give in」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン11第17話の後半、結婚式場として希望していたクラブ「アセニーアム」の確保に成功したシェルドンの報告を聞いたエイミーが、交渉相手の呆気ない様子に驚くシーンから、一緒に見ていきましょう。
「give in」の意味とニュアンス
give in
意味:抵抗をやめて要求を受け入れる、折れる
give inは、それまで抵抗していた相手が、最終的に要求や圧力に屈することを表す句動詞です。抵抗する時間が一度でもあったことが前提になる言い方なので、最初から無抵抗だった場合には使いません。似た形のgive upとの違いは重要で、give inが他者の要求に応じて折れることを指すのに対し、give upは目標や行為そのものを諦めることを指します。
交渉や口論の場面で、押し続けていた側がついに望む結果を得たときによく使われる表現です。自分から折れる場合にも、相手が折れたことを説明する場合にも使える、やりとりの結末を簡潔に示す言い方です。give in toの形で「何に屈したのか」を具体的に示すこともできれば、目的語を省いてgive inだけで結末だけを伝えることもできます。
【ここがポイント!】
- 「give in」の核は、抵抗をやめて相手の要求に応じること
- give up(諦める)とは対象が異なる、似て非なる句動詞
- 交渉・口論の結末を一言でまとめるときに便利で、give in toの形で何に屈したのかも示せる
『ビッグバン★セオリー』S11E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
結婚式場として希望していたクラブ「アセニーアム」を確保できたというシェルドンの報告を受け、エイミーは詳しい経緯を尋ねます。同じ日にアセニーアムを先に予約していたクリプキとの交渉にあたったレナードが、その苦労話を語ると、交渉相手の態度の変化にエイミーが思わず声を上げる場面です。
Leonard: Well, we scrubbed out some barrels of irradiated grease, rinsed off in a safety shower and then told Barry Kripke what is what.
(まあ、放射線を浴びた油の入ったドラム缶を洗浄して、安全シャワーで体を洗い流してから、バリー・クリプキに言うべきことをはっきり言ってやったんだ。)Amy: And he just gave in?
(それで、彼はあっさり折れたの?)Sheldon: Well, we agreed to invite him to the wedding.
(ああ、結婚式に彼を招待することに同意したんだ。)Amy: Okay. No problem.
(わかったわ。問題ないわね。)Leonard: And he gets to bring a date.
(それと、彼はデート相手を連れて来られることになったよ。)The Big Bang Theory Season11 Episode17 (The Athenaeum Allocation)
シーン解説と心理考察
会場を確保するまでの経緯を尋ねられたレナードは、「放射線を浴びた油の入ったドラム缶を洗浄して、安全シャワーで体を洗い流してから、バリー・クリプキに言うべきことをはっきり言ってやったんだ」と、苦労の具体的な内容を淡々と語ります。交渉相手がその後あっさり要求を受け入れたと知ったエイミーが、「それで、彼はあっさり折れたの?」と驚く反応には、交渉の難しさを知っているからこその意外感がにじみます。
シェルドンが「結婚式に彼を招待することに同意したんだ」と付け加える場面からは、会場を確保するために友人たちが一定の譲歩を払ったことが読み取れます。エイミーの「わかったわ。問題ないわね」という返答には、結婚式の準備が一歩ずつ前進していることへの安堵が表れています。
この直前で、シェルドンは「レナードなしでは成し得なかった」と率直に認め、2人の働きを「バットマンとロビンのようだった」と誇らしげに表現しています。レナードが「なぜ自分がロビン役なんだ」と軽くぼやく一幕からは、結婚式の準備という共同作業を通して、友人同士の軽妙な掛け合いが絶えず続いている様子が伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
押し合いを続けていた相手が、最後に力尽きてこちら側へ体を預けてしまう、そんなイメージを持つと記憶に残りやすいはずです。inという前置詞には「中へ入り込む」感覚があり、相手の要求の中へ自分が入っていく、つまり譲歩してしまうという方向性が込められていると考えると整理しやすくなります。頑として予約を譲らなかったクリプキが、レナードの直談判の末に結婚式への招待という条件で折れた場面を思い出せば、「give in」が持つ屈服の感覚が自然につかめます。
例文で覚える「give in」
家族間のやりとりから労使交渉まで、give inを3つの例文で確認していきましょう。
He kept asking until she finally gave in and agreed to go.
(彼がずっと頼み続けたので、彼女は最終的に折れて行くことに同意した。)
誰かの説得に最後には応じる場面です。finallyを添えることで、粘り強い説得の末に折れた経緯が伝わり、すぐには応じなかったことも暗に示せます。
The company gave in to the workers’ demands after the strike.
(ストライキの後、会社は労働者の要求に屈した。)
労使交渉の結果を説明する場面です。give in toの形で、誰の要求に屈したのかを明確に示せ、企業や組織が主語になる場合にもそのまま使えます。
A: Did your boss approve the new schedule?
B: Yeah, he gave in after we explained the reasons.
(A:上司は新しいスケジュールを承認した?)
(B:うん、理由を説明したら折れてくれたよ。)
職場での交渉結果を報告する場面です。afterの後に理由を添えると、折れた経緯まで一文で説明できます。
あわせて覚えたい関連表現
give up
(諦める)
give inは他者の要求に折れることを指しますが、give upは行為や目標そのものを放棄することを指す点が異なります。スペルも意味も似ているため、混同しやすい組み合わせです。He gave up negotiatingは、交渉自体をやめたという意味です。
back down
((主張・要求を)引き下げる)
give inより、自分の立場を完全に撤回するニュアンスが強い言い方です。They refused to back downは、要求に応じなかったという意味です。
cave in
((圧力に)あっさり屈する)
give inよりカジュアルな響きで、予想より早く、あっさり屈したという含みがあります。He caved in immediatelyは、ほとんど抵抗せず屈したという意味です。
Note|give in / back down / cave in の使い分け
エイミーが驚いた「gave in」という一言には、似た「屈する」を表す表現がいくつもあります。back downやcave inも、同じような場面で使われる言葉です。
give inは、抵抗を続けていた側が最終的に相手の要求を受け入れる、という結末を淡々と伝える言い方です。これに対してback downは、自分が主張していた立場や要求そのものを引き下げる・撤回するという、より具体的な行動に焦点が当たります。口論の最中に I’m not backing down (引くつもりはない)のように、抵抗する側の意志を示す場面でも使われる点が特徴です。一方cave inは、もともと洞窟や建物が崩れ落ちる様子を指す言葉から転じた表現で、予想よりもあっさり、脆く屈してしまったという皮肉めいたニュアンスを含みます。三つとも「屈する」という結果は同じでも、焦点の当たる部分が少しずつ違っています。
クリプキが結婚式への招待という条件だけで要求を受け入れたという流れには、cave inに近い「あっさりした屈服」の印象も重なりますが、台本で使われているのはより中立的なgive inです。エイミーが驚きとともに口にしたのも、相手の態度が予想以上に早く変わったという実感があったからこそでしょう。
どの言葉を選ぶかで、屈した側への印象まで変わってくるのです。
まとめ|押し続けた末に訪れる、折れる瞬間
give inは、抵抗をやめて相手の要求を受け入れる、折れるという意味の句動詞です。give inとgive upの違いを押さえておけば、「要求に応じる」のか「目標を諦める」のか取り違えずに使い分けられます。
交渉や口論で相手がついに要求を受け入れたと知ったときも、自分自身が折れざるを得なかったときも、この一言があれば結末を簡潔に伝えられます。誰が折れたのかを一言で示せるからこそ、長い経緯を説明せずに結末だけを先に伝えたいときにも便利です。結婚式場の確保という一つの目標に向けて、友人たちが互いに少しずつ譲り合っていた様子が、このやり取りには重なっていました。


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