「to begin with」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S12E16で学ぶ英会話

「to begin with」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

議論を続けているうちに、そもそも最初の前提自体が間違っていたのではないかと気づいた経験はありませんか。

そんなときに使える「to begin with」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン12第16話の前半、プロトン教授の番組収録でシェルドンが対称性の説明をどこまでも発展させていく場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「to begin with」の意味とニュアンス

to begin with
意味:そもそも、まず第一に

to begin withは、begin(始める)にwith(伴って)がついた表現で、「始まりに際して」という文字どおりの意味から発展し、話の出発点を示す言い回しとして使われます。文の前方に置かれると「まず第一に」という列挙の導入として働き、後方や独立した一文として置かれると「そもそも〜ない」のように、それまでの前提そのものを問い直す働きに変わります。

同じフレーズでありながら、置かれる位置によって役割が変わる点がこの表現の面白さです。理由を並べる場面ではfirst of allに近い働きをし、議論をひっくり返す場面ではin the first placeに近い働きをします。文脈と位置の両方を見て、どちらの顔が出ているかを見極める必要がある表現だと言えます。文字数の少ない単純な語の組み合わせでありながら、これほど幅のある役割を担う表現は、英語の口語表現の中でも珍しい部類に入ります。

【ここがポイント!】

  • 「to begin with」の核は、話を始まりの地点まで巻き戻すイメージ
  • 文の前方では列挙の「まず」、後方や単独では前提を覆す「そもそも」に変わる、二面性のある表現
  • 位置によって働きが変わるため、前後の文脈まで見て判断するのがコツ

『ビッグバン★セオリー』S12E16のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

プロトン教授の番組収録で、エイミーが対称性の概念を鏡のたとえで説明しようとしたところ、シェルドンがその説明を独自の理論へとどこまでも発展させていきます。子ども向け番組であることを気にせず、話をどこまで突き詰めていくのかに注目です。

Amy: We have.
(ええ、しました。)

Wheaton: Now, before you explain it, keep in mind that our average viewer is this many.
(それを説明する前に、うちの平均視聴者はこのくらいの年齢だってことを覚えておいてね。)

Amy: Okay, imagine you’re looking in a mirror. The image you see looks just like you. That’s called symmetrical.
(いいですか、鏡を見ていると想像してみてください。そこに映る像はあなたとそっくりです。それを対称と呼びます。)

Sheldon: Now imagine you have a billion mirrors, and each of them reflects one thing about you correctly and a billion things about you incorrectly. And imagine the set of incorrect things are floating in an abstract n-dimensional hyperspace. Now imagine there was never a mirror to begin with.
(次に、鏡が10億枚あって、そのそれぞれが君について1つは正しく映し出し、10億個は間違って映し出していると想像してほしい。そして、その間違った要素の集合が、抽象的なn次元の超空間に浮かんでいると想像してほしい。では、そもそも鏡が存在しなかったと想像してみてほしい。)

The Big Bang Theory Season12 Episode16 (The D&D Vortex)

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シーン解説と心理考察

ウィル・ウィートンから視聴者の年齢層を念押しされたにもかかわらず、エイミーは鏡に映る像がそっくりであることを対称と呼ぶ、という身近なたとえから説明を始めます。難解な理論を噛み砕こうとする配慮が、この短い一言に表れています。

その説明を引き継いだシェルドンは、10億枚の鏡、n次元の超空間へと話をどんどん飛躍させ、最後には「そもそも鏡が存在しなかったと想像してほしい」と、積み重ねてきた前提そのものを取り払う思考実験に行き着きます。相手が子ども向け番組の視聴者であることを気にせず、自分の理論をどこまでも突き詰めていく姿勢がにじみ出ている場面です。視聴者の年齢を念押しされた直後だからこそ、その配慮をあっさり置き去りにしてしまう落差が、この場面の面白さを一段と際立たせています。議論の出発点そのものまで疑ってかかる態度は、この人物に一貫して見られる特徴と言えます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

議論を巻き戻して、一番最初の地点まで戻ってから話し始めるイメージで覚えておくと、to begin withの働きがつかみやすくなります。

シェルドンが「そもそも鏡が存在しなかったと想像してほしい」と言ったのも、積み上げてきた議論の土台そのものを取り払う一言でした。何かを列挙する「まず」なのか、前提をひっくり返す「そもそも」なのか、文の位置を手がかりに読み分ける習慣をつけておくと、実際の会話でも迷わず使えるようになります。文の頭に置かれているか、それとも文の終わりや単独の一文として置かれているかを一度確認するだけで、どちらの顔なのかがぐっと見分けやすくなります。

例文で覚える「to begin with」

前提を問い直す「そもそも」の用法を中心に、3つの例文でto begin withの使い方を確認していきましょう。

There was no evidence to begin with.
(そもそも証拠なんてなかった。)
議論の前提そのものを覆す場面です。文末に置くことで「そもそも〜ない」という否定のニュアンスが強調されます。

To begin with, the budget was too small for this project.
(そもそも、この予算はこのプロジェクトには小さすぎました。)
プロジェクトの失敗理由を振り返るビジネスの場面です。文頭に置くことで、最初に指摘すべき根本的な問題として提示されています。

A: Why are you upset about the plan changing?
B: To begin with, nobody told me about it.
(A:計画が変わったことで、どうしてそんなに怒っているの?)
(B:そもそも、誰も私に教えてくれなかったから。)
不満の理由を説明する会話です。相手の質問に対して、根本的な原因から答え始める使い方がよく分かります。

あわせて覚えたい関連表現

in the first place
(そもそも、最初から)
to begin withとほぼ同じ意味で言い換え可能ですが、in the first placeは最初の判断そのものを強調するニュアンスがやや強めです。

from the start
(最初から)
to begin withが前提を問い直す談話標識として機能するのに対し、from the startは単純に時間的な起点を示す表現です。

first of all
(まず第一に)
first of allは理由や項目を列挙する際の1番目を示す用法が中心で、to begin withが持つ前提を覆す用法は薄めです。

Note|「to begin with」に潜む2つの顔、列挙の入り口と前提のちゃぶ台返し

to begin withは、文中のどこに置かれるかによって印象が大きく変わる表現です。

文の前方、特にリストの最初に置かれるときは、first of allと同じように「まず第一に」という項目列挙の導入として働きます。会議で理由を3つ挙げるとき、「To begin with, …」と切り出せば、これから複数の根拠を順番に述べていくことが相手に伝わります。一方で、文の後方や単独の一文として使われるときは、それまで積み上げてきた話の前提そのものを問い直す働きに変わります。「There was no evidence to begin with.」のように文末に置かれると、「そもそも証拠なんてなかった」と、議論の土台自体をひっくり返す強いニュアンスが生まれます。同じ単語の並びでも、位置ひとつで役割がここまで変わる表現は、英語の中でもそう多くありません。

シェルドンが持ち出した「そもそも鏡が存在しなかったと想像してほしい」という一言も、まさにこの後方型の用法にあたります。10億枚の鏡やn次元の超空間という積み重ねてきた前提を、最後の一撃でまるごと覆してしまう構造になっているわけです。

位置による意味の違いを意識しておくと、to begin withに出会ったときにどちらの顔で読めばいいかが、すっと判断できるようになります。ニュース記事やビジネスメールで見かけたときも、まずは前後にどんな文が続いているかを確認してから意味を確定させる、という手順を習慣にしておくと安心です。

まとめ|「そもそも」で前提をひっくり返す一言

to begin withは、話の出発点そのものに立ち返って指摘するときに使われる表現です。

文の前方では項目を並べる「まず」として、後方や単独の一文では積み上げた前提を覆す「そもそも」として、置かれる位置によって表情を変えます。

子ども向け番組の収録で、鏡のたとえをどこまでも発展させたあとに前提ごと覆してしまうシェルドンの姿には、議論の出発点まで疑ってかかる、この人物ならではの思考の癖が透けて見える場面でした。難解な理論を平然と積み重ねていくその流れに、思わず引き込まれてしまう視聴者も多いはずです。

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