海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
すぐには変えられない不快な状況を、文句を言わずにやり過ごした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな場面にぴったりの「put up with」を、『モダンファミリー』シーズン1第12話の中盤、寝室の枕の山と犬の執事像をめぐってグロリアとジェイが我慢比べをする場面から、一緒に見ていきましょう。
「put up with」の意味とニュアンス
put up with
意味:(不快なものを)我慢する
put up withは、put(置く)・up(上に)・with(一緒に)という3つの語が組み合わさった口語表現で、好ましくない状況や人・物事を、文句を言わずに受け入れて耐えることを表します。不快なものを自分の上に乗せたまま、それでも一緒に持ち続けているようなイメージが根底にあります。
苦手な同僚との仕事、うるさい隣人、家族の困った習慣など、すぐには変えられない不快な状況を我慢する場面で広く使われる表現です。感情を爆発させず、静かに受け流している様子がこの一言に表れます。
我慢の対象は物や状況だけでなく、身近な人の困った癖や態度にまで及びます。相手を変えようとするのではなく、自分の中で折り合いをつけるという姿勢が、この表現全体に流れている感覚です。
【ここがポイント!】
- 「put up with」の核は、不快なものをそのまま抱え続けて耐える感覚
- 感情的に反発せず、静かに受け入れているニュアンスを帯びる表現
- 具体的に何を我慢しているのかをすぐ後ろに続けると使いこなしやすい
『モダンファミリー』S01E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
寝室に積まれた大量の枕をめぐって言い合いになっていたグロリアとジェイが、話の矛先を犬の執事像へと移していく場面です。互いに相手の好みを我慢し合うことで、決着をつけようとする駆け引きの流れに注目です。
Gloria: They’re pretty.
(あれは可愛いじゃない。)Jay: They’re a damn nuisance.
(あんなの邪魔なだけだ。)Gloria: Okay, forgive me for trying to make our home beautiful.
(はいはい、家を素敵にしようとしたのが悪かったわね。)Jay: You know, if I can put up with those, you can put up with a piece of art.
(いいか、俺があれを我慢できるなら、お前も芸術作品くらい我慢できるだろ。)Gloria: This is not art.
(これは芸術なんかじゃないわ。)Modern Family Season1 Episode12 (Not in My House)
シーン解説と心理考察
グロリアが「あれは可愛いじゃない」と枕を擁護すると、ジェイは「あんなの邪魔なだけだ」とにべもなく切り返します。執事像をめぐる言い合いから枕へ話が広がった直後の場面です。
グロリアが「はいはい、家を素敵にしようとしたのが悪かったわね」と皮肉混じりに返すと、ジェイは「俺があれを我慢できるなら、お前も芸術作品くらい我慢できるだろ」と交換条件を持ち出します。するとグロリアは「これは芸術なんかじゃないわ」ときっぱり否定し、互いの好みを我慢し合うことでバランスを取ろうとする、この夫婦らしい駆け引きがよく表れています。
どちらも相手の趣味を全面的に否定するのではなく、「我慢できるかどうか」という物差しで張り合っている点が興味深いところです。好みの違いを解消するのではなく、お互いに少しずつ我慢し合うことで折り合いをつけようとする関係性が、このやり取り全体から見えてきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
不快なものを自分の上(up)に置いて(put)、一緒に(with)持ち続けるイメージを思い浮かべてみましょう。重荷を下ろさずに、そのまま抱え続けている様子が、「我慢する」という意味につながります。
ジェイが枕の山を我慢する代わりに芸術作品も我慢しろと持ちかけた場面も、まさにお互いが不快なものを抱え続けている構図でした。荷物を下ろさずに持ち続ける感覚を思い浮かべておくと、我慢する対象が変わっても言葉がすっと出てくるはずです。
重荷を投げ出さずに持ち続けるという姿勢は、時に不器用にも見えますが、その分だけ関係を壊さずに済ませる知恵でもあります。無理に手放そうとせず、抱えたまま歩いていくイメージが、このフレーズ全体の温度感を支えています。
例文で覚える「put up with」
不快な状況を我慢する場面で使えるput up withを、3つの例文で確認していきましょう。
I don’t know how she puts up with her noisy neighbors.
(彼女がどうやってうるさい隣人を我慢しているのか分からない。)
近所付き合いの悩みを話す日常会話の場面です。howで始めることで、相手の忍耐強さへの驚きがにじみます。
We had to put up with the delayed flight for six hours.
(私たちは6時間、フライトの遅延に耐えなければならなかった。)
旅行中のトラブルを振り返る場面です。for six hoursのように具体的な時間を添えると、我慢の長さが伝わりやすくなります。
A: Why do you still work there?
B: I put up with the long hours because the pay is good.
(A:どうしてまだそこで働いてるの?)
(B:給料がいいから、長時間労働も我慢してるんだ。)
仕事の不満と割り切りを話す会話です。becauseで理由を添えることで、我慢の裏にある納得感が伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
tolerate
(我慢する、容認する)
put up withは口語的でカジュアルな響きを持つのに対し、tolerateはよりフォーマルで、公的な文書や説明的な場面でも使われます。
bear with
((一時的に)我慢する、辛抱する)
bear withは「もう少しの間我慢して」という一時的な依頼のニュアンスが強いのに対し、put up withは継続的な我慢を表すことが多い表現です。
deal with
(対処する、扱う)
deal withは問題への対応・処理全般を指すのに対し、put up withは特に「不快なものを我慢して受け入れる」ことに限定して使われます。
Note|put up with / tolerate / bear with、カジュアルとフォーマルで変わる「我慢する」の言い方
同じ「我慢する」という意味でも、英語には場面によって選び分ける表現がいくつかあります。
put up withは友人同士の会話や家庭内のやり取りでよく使われる、カジュアルな響きの表現です。うるさい隣人や家族の困った習慣など、身近な不快さを軽い調子で語る時にぴったりです。一方でtoleranceの動詞形であるtolerateは、報告書や説明文、あるいは職場での会議など、ややフォーマルな文脈で好まれます。会社が「多少の遅延は許容する」と説明する場面ではput up withよりtolerateの方が座りが良く、逆に友人同士の愚痴にtolerateを使うと、少し硬すぎる印象を与えてしまいます。bear withはさらに別の顔を持ち、「もう少しだけ我慢してください」と相手にお願いする時に使われる、一時的な忍耐を求める表現です。
ジェイとグロリアが枕や芸術作品をめぐって我慢比べをする場面は、まさに家庭内のくだけたやり取りそのものなので、put up withという口語表現がしっくりくる典型例だと言えます。
同じ我慢する場面でも、相手や場の空気に合わせて言葉を選べると、表現の幅がぐっと広がります。友人との雑談ではput up with、報告や説明の場ではtolerateというように、場面ごとに使い分ける習慣をつけておくと安心です。
まとめ|不快なものを抱えたまま、静かに受け入れる姿勢
put up withは、好ましくない状況や人・物事を、文句を言わずに受け入れて耐えることを表す口語表現です。
苦手な同僚やうるさい隣人、家族の困った習慣など、すぐには変えられない不快な状況を語る場面で、会話に自然に馴染みます。
枕の山と犬の執事像をめぐって我慢比べをするグロリアとジェイのやり取りには、お互いの好みを我慢し合うことでバランスを取ろうとする、この夫婦らしい距離感が表れています。表現の幅を広げてみてください。


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