「kiss up to」の意味と使い方|『モダンファミリー』S01E22で学ぶ英会話

「kiss up to」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

自分の得になる相手に、必要以上ににこやかに振る舞ってしまったことはありませんか。

そんな態度にぴったりの「kiss up to」を、『モダンファミリー』シーズン1第22話の前半、ある赤ちゃんとの関係づくりに本気を出すキャメロンと、それに呆れるミッチェルのやり取りから、一緒に見ていきましょう。

目次

「kiss up to」の意味とニュアンス

kiss up to
意味:(利益のために)〜にへつらう、〜にごまをする

kiss up toは、目上の人や自分にとって得になる相手に対して媚びへつらう行為を表す口語表現です。toの後ろには、媚びる対象の人物が置かれます。文字どおりには「〜に向けてキスをする」という形をしていますが、実際に相手にキスをするわけではなく、相手の機嫌を取ろうと近づいていく様子をたとえたものです。

この表現には、やや皮肉やからかいのニュアンスが込められています。誰かが権力者や上司にすり寄っている様子を見て、周囲が半ば呆れながら指摘するときによく使われる言い方です。自分自身の行動について「認めたくないけれど、そうしているかもしれない」という自嘲気味の文脈でも登場します。日常会話ではかなり頻繁に耳にする表現で、職場や学校といった上下関係のある場面で特に活躍します。相手の機嫌を取ろうとする行為そのものを軽く茶化す響きがあるため、面と向かって本人に使うよりも、その場にいない第三者について話すときに使われる場面の方が多く見られます。

【ここがポイント!】

  • 「kiss up to」の核は、得になる相手にすり寄っていくイメージ
  • 皮肉やからかいのニュアンスを帯びた、やや批判的な口語表現
  • toの後ろに媚びる対象の人物を置く語順を意識するのがコツ

『モダンファミリー』S01E22のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

空港へ出発する準備の合間、キャメロンはある赤ちゃんの家族との予定を優先しようとミッチェルを急かします。その理由を得意げに語るキャメロンに、ミッチェルが冷静にツッコミを入れる場面です。

Cameron: Not for an hour. And this is the only time Jasper could do it.
(あと1時間はないよ。それに、ジャスパーの都合が合うのはこの時間しかないんだ。)

Mitchell: How full is Jasper’s calendar?
(ジャスパーのスケジュールって、そんなに詰まってるの?)

Cameron: This is a coup. When you get in with Jasper, doors open. He’s a legacy at Happy Time Preschool.
(これは大金星だよ。ジャスパーに気に入られれば道が開けるんだ。あの子はハッピータイム保育園の名門家系なんだから。)

Mitchell: We’re kissing up to a 10-month-old?
(僕たち、生後10か月の子にごまをすってるの?)

Cameron: I just want him to like us.
(ただ、あの子に好かれたいだけだよ。)

Modern Family Season1 Episode22 (Airport 2010)

シーン解説と心理考察

「都合が合うのはこの時間しかない」と急かすキャメロンに、ミッチェルは「そんなに詰まってるの?」と皮肉交じりに切り返します。ひるむことなく「これは大金星だよ、気に入られれば道が開ける、あの子は名門保育園の家系なんだから」とまくしたてる姿からは、人脈作りへの本気度が伝わってきます。

呆れたミッチェルが「生後10か月の子にごまをすってるの?」と思わず言葉にすると、キャメロンは悪びれることなく「ただ好かれたいだけだよ」と返します。赤ちゃん相手に大人が真剣に取り入ろうとする滑稽さと、それを冷静に見抜くミッチェル、開き直るキャメロンという対照的な反応が、この二人らしい掛け合いの面白さを見せています。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

kiss(キスする)とup to(〜に向かって)を組み合わせて、相手ににじり寄りながら甘い言葉を投げかけていくイメージを思い浮かべてみましょう。実際に唇が触れるわけではなく、あくまで態度としての「近づき方」を表しているのがポイントです。

キャメロンが赤ちゃんに向けていた熱心な態度も、まさにこの「近づき方」そのものでした。相手が誰であれ、機嫌を取ろうとにじり寄っていく動きをそのままイメージすると、フレーズの輪郭がつかみやすくなります。相手が権力者であっても生後10か月の子であっても、近づき方の構造そのものは変わらないというところに、このフレーズのおかしみが潜んでいます。

例文で覚える「kiss up to」

日常会話からビジネスシーンまで幅広く登場するkiss up toを、3つの例文で確認していきましょう。

He’s always kissing up to the boss to get a promotion.
(彼はいつも昇進のために上司にごまをすっている。)
同僚の出世欲について語る場面です。alwaysを添えることで、一度きりではなく習慣的な態度であることが伝わります。

Some students kiss up to the teacher by offering to help after class.
(放課後の手伝いを申し出て先生に取り入る生徒もいる。)
学校でのクラスメートの態度を評する場面です。by以下に具体的な行動を続けることで、どうやって取り入っているかが分かりやすくなります。

A: Why is he being so nice to the new manager?
B: He’s just kissing up to her.
(A:なんで彼、新しいマネージャーにあんなに愛想いいの?)
(B:ただへつらってるだけだよ。)
同僚の行動を噂する会話です。justを添えることで、下心が透けて見えるニュアンスが強調されています。

あわせて覚えたい関連表現

suck up to
(〜にへつらう、ごまをする)
kiss up toとほぼ同義の口語表現ですが、こちらの方がさらにくだけていて、やや軽蔑的なニュアンスが強く出ることがあります。

brown-nose
(ゴマをする、おべっかを使う)
kiss up toが特定の行動を指すのに対し、brown-noseは人物の性質や習慣そのものを表すことが多い表現です。「あの人はいつもそう」という人物評として使われやすい違いがあります。

curry favor with
(〜の歓心を買う)
kiss up toよりもややフォーマルな言い回しで、ビジネス文書やニュース記事でも見かけることがあります。くだけた場面ではkiss up toの方が自然です。

Note|kiss up to / suck up to / brown-nose、へつらう英語表現の使い分け

「へつらう」を表す英語表現は、kiss up toのほかにもいくつか存在します。今回登場したkiss up toを起点に、似た意味を持つ表現との違いを整理してみましょう。

3つの表現は、くだけ度合いと何を指すかという2つの軸で並べてみると整理しやすくなります。友人同士の会話で「あいつ、また上司にsuck up toしてるよ」と言えば、kiss up toよりもさらに軽蔑した響きになりますし、「あの人はいつもbrown-noserだ」と言えば、特定の場面での行動というよりその人の性格そのものを評していることになります。フォーマルな文脈でcurry favor withが選ばれるのも、この軸に沿った使い分けの一例です。

こうして並べてみると、kiss up toは「くだけすぎず、それでいて皮肉のニュアンスもしっかり効いている」ちょうど中間の立ち位置にある表現だと分かります。フォーマル度と軽蔑の強さという2つの物差しで整理しておくと、実際の会話でどれを選べばよいかが判断しやすくなります。

キャメロンの赤ちゃんへの接し方を思い出すと、あの場面にはsuck up toほどの軽蔑感もbrown-noseほどの人物評価も似合いません。相手に気に入られたいという素直な下心をやわらかく指摘するkiss up toだからこそ、あの掛け合いのおかしみが生きていたとも言えます。

言葉を選ぶときのものさしが、また一つ増えたのではないでしょうか。

まとめ|自分の得になる相手への近づき方を表す一言

kiss up toは、目上の人や自分にとって得になる相手に対してへつらう様子を表す口語表現です。

toの後ろに媚びる対象を置くシンプルな形でありながら、皮肉やからかいのニュアンスをしっかり含んでいるため、職場や学校での人間関係を語る場面で幅広く活躍します。

赤ちゃん相手に本気で機嫌を取ろうとするキャメロンと、それを冷静に見抜くミッチェルのやり取りは、大げさな人脈作りの滑稽さを軽やかに描いた一場面でした。誰かのそうした態度に気づいたとき、すっと言葉が浮かんでくる表現として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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