海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
楽しいはずの行事なのに、自分にとってはただ耐えて終わらせるしかない一日だと感じてしまう、ということはありませんか。
そんな気持ちにぴったりの「get through」を、『モダンファミリー』シーズン2第6話の序盤、新しい職場のハロウィーンの空気になじもうとするミッチェルと、その日をつらく感じているキャメロンのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「get through」の意味とニュアンス
get through
意味:(つらい期間・一日を)乗り切る、耐え抜く
get throughは、直訳すると「通り抜ける」という意味ですが、日常会話ではつらい期間や出来事を「なんとか終わらせる、耐えて通過する」という意味で使われる口語表現です。throughという前置詞には「一方の端からもう一方の端まで突き抜ける」というイメージがあり、そこに「至る」を表すgetが組み合わさることで、「苦しい状況を抜け出して向こう側にたどり着く」という感覚が生まれます。
get through a day / a week / a difficult timeのように、乗り越える対象となる「期間」を目的語に置くのが典型的な使い方です。体調不良の療養期間や、忙しさが続く一週間、あるいは思い出したくない記念日など、我慢しながら過ぎるのを待つしかない時間について話すときに広く使われます。前向きに「達成する」というより、「なんとか耐えてやり過ごす」という消極的なニュアンスを含んでいる点も特徴です。
【ここがポイント!】
- 「get through」の核は、つらい期間の一方の端からもう一方の端まで耐えて突き抜けるイメージ
- 「達成する」というより「なんとか耐えてやり過ごす」という消極的なニュアンスを含む表現
- get through a day/weekのように、乗り越える「期間」を目的語に置くのが典型的な形
『モダンファミリー』S02E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
新しい職場でのハロウィーンの過ごし方をめぐって、ミッチェルは新入りとして浮いた存在になりたくないという本音をこぼします。それを聞いたキャメロンが自分の立場を明言し、続けて自分にとってこの日がどんな一日なのかを打ち明けていく流れに注目です。
Mitchell: I’m already the new guy. I don’t want to be the non-participation guy too.
(ただでさえ新入りなんだ。参加しない奴ってレッテルまで貼られたくないんだよ。)Cameron: Not on my watch.
(僕が見てる限りそうはさせないよ。)Cameron: Unfortunately, Halloween was marred for me personally by an incident long ago. Now it’s just a day I have to get through.
(残念ながら、ハロウィーンは昔のある出来事のせいで僕個人にとってはつらいものになってしまったんだ。今ではただ乗り切らなきゃいけない一日、ってだけなんだよね。)Mitchell: So you said.
(その話、前にも聞いたよ。)Modern Family Season2 Episode6 (Halloween)
シーン解説と心理考察
ミッチェルが「参加しない奴とレッテルを貼られたくない」と漏らすと、キャメロンは「僕が見てる限りそうはさせないよ」と返し、頼れる相棒としての立場をはっきりさせます。ところがその直後、キャメロン自身がハロウィーンという行事に対してかなり複雑な感情を抱えていることが明かされます。「昔のある出来事のせいで」とだけ語り、具体的な中身には触れないまま「ただ乗り切らなきゃいけない一日」と言い切る言い方には、詳しく話したくないほどの出来事だったことがにじみます。
ミッチェルの「その話、前にも聞いたよ」という返しも見逃せません。突き放すような素っ気なさではなく、キャメロンの同じ話を以前にも聞かされていたことを示す一言で、聞き役に徹してきたミッチェルの姿勢から二人の付き合いの長さが伝わってきます。話の重さにあっさり順応して受け流すミッチェルの呼吸にも、パートナー同士ならではの間合いが表れています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
長いトンネルを一方の端からもう一方の端まで「通り抜ける(get through)」ように、つらい期間をじっと我慢して進んでいくイメージを思い浮かべてみましょう。トンネルの中にいる間は先が見えず心細くても、出口に向かって進み続ければいつか抜け出せる、という感覚が、この表現の「乗り切る」というニュアンスにつながっています。
キャメロンが口にした「ただ乗り切らなきゃいけない一日」という一言も、まさにこのイメージ通りです。理由を詳しく語らなくても、「なんとか耐えて終わらせる」という姿勢そのものがget throughという言葉に凝縮されている場面でした。
例文で覚える「get through」
つらい期間や出来事を耐えて乗り切る場面で使われるget throughを、3つの例文で確認していきましょう。
I don’t know how I’ll get through this week without any sleep.
(今週、全然眠れずにどう乗り切ればいいのかわからない。)
睡眠不足のまま迎える忙しい一週間を嘆く場面です。this weekのように具体的な期間を添えると、耐えなければならない時間の長さが伝わりやすくなります。
She got through the surgery without any complications.
(彼女は合併症もなく手術を乗り切った。)
医療関連のニュースなどで、深刻な状況を無事に乗り越えたことを伝える場面です。without any complicationsを添えることで、結果が良好だったことが強調されます。
A: How did you get through your finals?
B: Honestly, just coffee and willpower.
(A:期末試験、どうやって乗り切ったの?)
(B:正直、コーヒーと根性だけだよ。)
試験期間を振り返る友人同士の会話です。具体的な支えになったものを添えて答えると、カジュアルな会話らしい返し方になります。
あわせて覚えたい関連表現
get over something
(失恋・病気などを乗り越える)
get throughが「耐えて終わらせる」ことに重点があるのに対し、get overはその後の心理的な回復に重点を置いた表現です。
push through
(苦しい状況でも無理にでも進み続ける)
get throughよりも「意志の強さ・粘り強さ」のニュアンスが強く、自分から前へ進もうとする姿勢が前面に出る表現です。
muddle through
(なんとかどうにか乗り切る)
get throughよりも「不格好さ・行き当たりばったり感」を伴うニュアンスがあり、計画性のなさを含んで使われることが多い表現です。
Note|get through / get over / push through の使い分け
キャメロンが口にした「乗り切らなきゃいけない一日」という感覚は、英語ではget through以外にもいくつかの言い方で表現できます。似ているようで、実は視点が少しずつ違う3つの表現を整理してみましょう。
get throughは、期間の一方の端からもう一方の端まで「通り抜ける」ことに重点があります。つらい状態の最中にいる間、どう感じているかよりも、とにかく終わりまでたどり着くことそのものが焦点になる表現です。一方でget overは、乗り越えた後の心理的な回復に重点があります。失恋や病気のように、出来事そのものが終わったあとも心や体に影響が残るものに対して使われることが多く、「その後どう立ち直るか」がポイントになります。
push throughはさらに意志の強さが加わった表現です。ただ耐えるだけでなく、自分の力で前へ進もうとする能動的な姿勢が伝わるため、困難に立ち向かう決意を語る場面でよく使われます。キャメロンのように「ただ耐えて終わらせる」という受け身の姿勢を表したいならget through、その後の心の整理まで含めたいならget over、自分から奮い立たせる強さを込めたいならpush throughと、伝えたいニュアンスによって選ぶ表現が変わってきます。
3つとも「乗り越える」という日本語に訳されがちですが、どの段階に注目しているかを意識すると、使い分けがぐっとクリアになります。
まとめ|キャメロンにとってのハロウィーンという一日
get throughは、つらい期間や出来事を一方の端からもう一方の端まで耐えて通り抜ける、というイメージを持つ口語表現です。
達成感よりも「なんとか終わらせる」という消極的なニュアンスを含むからこそ、詳しく語りたくない出来事について触れるときにもしっくりくる言い方になります。
理由を詳しく語らないまま「ただ乗り切らなきゃいけない一日」とだけ口にしたキャメロンと、その話を以前にも聞いていたミッチェルとのやり取りには、深く踏み込まなくても寄り添える関係の心地よさがにじんでいました。get throughという表現を通して、そんな二人の距離感も一緒に味わってみてください。


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