海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
もめごとが起きた後になって、「あの時すでに予兆はあったのかもしれない」と振り返った経験はありませんか。
賑やかなプリンセスパーティーの最中に突然始まった母娘の口論から漏れる、ディーディーの「should’ve seen this coming」を、『モダンファミリー』シーズン2第15話の終盤のシーンから、一緒に見ていきましょう。
「see something coming」の意味とニュアンス
see something coming
意味:前もって予想する、予見する
see something comingは、これから起こることをあらかじめ察知するという意味の表現です。特にshould have seen it/this comingの形で使われると、「予想できたはずなのに、それを怠っていた」という後悔のニュアンスが加わります。
トラブルが起きた後で「実は予兆があった」と振り返る時や、人間関係のもつれが表面化した時、予想外に見えて実は予測可能だった出来事について話す時などに使われます。単に「知らなかった」と述べるのではなく、「気づけるはずだったのに気づかなかった」という後知恵の響きが加わる点が特徴です。
thisやitを対象に置くことが多く、直前に起きた具体的な出来事を指して使われるのが一般的です。過去形のshouldとseenを組み合わせることで、時間をさかのぼって振り返る視点がそのまま文の形に表れています。
【ここがポイント!】
- should have seen it comingの形で「予想できたはずなのに」という後悔がにじむ
- トラブルの後で振り返って使われることが多い、後知恵寄りの表現
- 単なる無知ではなく、見逃していた予兆への気づきを表す言い方
『モダンファミリー』S02E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
賑やかなプリンセスパーティーの最中、ディーディーがクレアとロビーの口論に割って入ります。ロビーが放った一言をきっかけに、母娘の間でどんな応酬が続くのかに注目です。
Dede: Oh, what’s going on here, you two?
(あら、二人とも、どうしたの?)Claire: You are. You’re insane.
(あなたよ。あなたがおかしいのよ。)Robbie: Claire still wants me.
(クレアはまだ僕に気があるんだ。)Claire: No. Don’t.
(違う。やめて。)Dede: Oh, I should’ve seen this coming.
(ああ、こうなるって分かっておくべきだったわね。)Claire: Oh, really?
(あら、そう?)Dede: One minute she sees I’m happy, and she swoops in
(私が幸せになった途端、あの子が割り込んでくるんだから……)Modern Family Season2 Episode15 (Princess Party)
シーン解説と心理考察
「あら、二人とも、どうしたの?」と割って入ったディーディーに、クレアは間髪入れずに「あなたよ。あなたがおかしいのよ」と矛先を向けます。ロビーが「クレアはまだ僕に気があるんだ」と口を挟むと、クレアは「違う。やめて」ときっぱり否定しますが、これはあくまでロビー側の言い分であり、クレアはその場で即座に打ち消しています。
ディーディーは「こうなるって分かっておくべきだったわね」と漏らし、クレアが「あら、そう?」と返すと、「私が幸せになった途端、あの子が割り込んでくるんだから……」と、自分が悪者にされていると言わんばかりの言い分を続けます。クレアが語るところでは、前夜にディーディーがクレアの元恋人と親しくしていたという経緯があり、それを踏まえると、ディーディーの「幸せ」という一言の背景がうっすらと見えてきます。誰が何を望んでいるのかが一致しないまま、母娘の積年のすれ違いが賑やかなパーティーの場で一気に噴き出しているところに、この一件の気まずさが表れています。
ロビーの一言をきっかけに始まった応酬が、いつの間にかディーディーとクレアの母娘関係そのものを巡る話にすり替わっていくのも興味深いところです。発端になった当人がやり取りの外に置かれたまま、話の中心が移っていく様子に、この一家の込み入った関係性が垣間見えます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
遠くから近づいてくる何かを、あらかじめ視界に捉えるイメージを思い浮かべてみましょう。本来なら早めに気づけたはずのものを見逃していた、という「後から気づく」感覚です。
ディーディーが漏らした「こうなるって分かっておくべきだったわね」という一言も、目の前で繰り広げられる口論を見て、もっと早く気づけたはずだったと振り返る言葉でした。見えていたはずの予兆を、後になって拾い上げる動作のイメージが、should have seen this comingという言い方の芯にあります。
例文で覚える「see something coming」
トラブルの後で予兆を振り返る場面で使われるsee something comingを、3つの例文で確認していきましょう。話の主語を人から組織まで広げられる点にも注目です。
Honestly, I should’ve seen this coming– he’d been unhappy at work for months.
(正直、予想できたはずだった――彼はもう何カ月も仕事に不満を抱えていたから)
退職や転職の知らせに驚いた後で振り返る日常会話の場面です。理由を添えて振り返ると、後悔の具体性が増します。
The company should have seen the market shift coming.
(その会社は、市場の変化を予見しておくべきだった)
企業の対応の遅れを振り返るビジネスの場面です。主語を会社にすると、組織としての後知恵の反省として響きます。
A: Did you know they were going to break up?
B: I saw it coming for a while, honestly.
(A:二人が別れるって知ってた?)
(B:正直、しばらく前から予想はしてたよ。)
友人カップルの別れについて話す会話です。for a whileを添えると、予兆に気づいていた期間の長さが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
see it coming a mile away
(はるか手前から予想できる)
see it coming a mile awayは「あまりにも明白で誰でも予想できた」という強調表現であるのに対し、see something comingは単に予見するという中立的な言い方です。
read the writing on the wall
((悪いことが起こる)兆候を読み取る)
read the writing on the wallははっきりした前兆・警告サインから未来を察知するニュアンスが強いのに対し、see something comingはより広く予想する全般を指します。
know something is coming
(何かが起こると分かっている)
knowは単に知っているという事実に焦点があるのに対し、see something comingは予兆を読み取って予見するという観察・洞察のプロセスに焦点があります。
Note|反省の場でもおしゃべりでも顔を出すshould’ve seen this coming
should have seen this comingという言い回しは、深刻な反省の場から気軽な世間話まで、驚くほど幅広い場所で顔を出します。
ビジネスの現場では、プロジェクトの失敗や市場の変化を振り返る報告の場で、「予兆はあったのに見逃していた」という反省を伝える定番の一言として使われます。フォーマルな会議の場でも違和感なく使える、落ち着いたトーンの表現です。一方で友人同士の会話では、カップルの別れや誰かの転職のニュースを聞いた後、「あー、それ実は予想してたんだよね」という軽いノリの相づちとしても頻繁に登場します。同じ一言が、深刻な反省の場面でも、気軽な世間話の場面でも自然に馴染む懐の広さが、この表現の使い勝手の良さにつながっています。
ディーディーが漏らした一言も、目の前の騒動を前にした反応であり、深刻な反省というよりは、この家族らしい軽さを含んだ振り返りでした。フォーマルな場でもカジュアルな場でも通用するからこそ、こうした場面にもすんなり溶け込んでいたと言えます。あらたまった反省の場だけの堅い言葉ではなく、日常のちょっとしたぼやきにも自然に溶け込む表現だと分かると、使う場面の見え方も広がります。
場を選ばない言い回しほど、使いこなせると心強いものです。
まとめ|見逃していた予兆に、後から気づく
see something comingは、これから起こることをあらかじめ察知するという意味の表現です。
should have seen it comingの形で使われると、予想できたはずなのに気づかなかったという後悔のにじむ一言になります。フォーマルな反省の場でも、友人とのちょっとした立ち話でも、同じ形のまま使い回せる懐の深さも魅力です。
賑やかなパーティーの最中に噴き出した母娘の口論を前に、ディーディーがふとこぼした一言には、積み重なってきたすれ違いを今さらながらに振り返る実感がこもっていました。


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