海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
家族の会話の中で、昔の恋人の話がふいに飛び出してくる瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな場面に登場する「get a rise out of someone」を、『モダンファミリー』シーズン4第12話の中盤、クレアとミッチェルが、クレアの昔の交際相手の話をする場面から、一緒に見ていきましょう。
「get a rise out of someone」の意味とニュアンス
get a rise out of someone
意味:(わざと挑発して)相手の反応を引き出す、相手を怒らせる・動揺させる
get a rise out of someone は、からかったり挑発したりして、相手から怒りや驚きといった反応を引き出すことを表す表現です。get は「得る」、a rise は「高まり」、out of は「〜の中から」という向きを示す語です。相手の中から、感情の高まりをひとつ引き出す動きが、そのまま意味になっています。
この表現の目当ては、相手を本気で傷つけることではなく、反応そのものです。怒らせたい、驚かせたい、慌てさせたいなど、相手が何かしら動くことを見たいときに使います。日本語の「怒らせる」だけでは、反応を見たいという狙いが出ないので、「反応を引き出す」「動揺させる」「からかって反応を見る」と訳し分けると、意味が近づきます。
今回のシーンでは、to get a rise out of dad と、目的を表す to 不定詞とセットで使われています。「父さんの反応を引き出したくて」という動機を言い表す形で、do it の理由を後ろに添えるときに使いやすい型です。さらに just が添えられていて、just は「ただ〜のためだけに」という限定の意味を加えます。You just did it to get a rise out of dad は、「それをした理由は、父さんの反応を見るためだけだった」という決めつけの響きになります。
きょうだいや友人同士のからかい、ネット上の挑発的な書き込み、親に反抗するための行動などが、この表現がぴったり合う場面です。
【ここがポイント!】
- 「get a rise out of someone」の核は、相手の中から感情の高まりを引き出すイメージ
- 目当ては傷つけることではなく、相手の反応そのもの
- to 不定詞とセットにすると、「反応を見たくて〜した」という動機を言い表せる
『モダンファミリー』S04E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアがヘイリーの新しい恋人について話したのを受けて、ミッチェルが、クレアがかつて付き合った男性の話を持ち出す場面です。ミッチェルの一言でフレーズが使われ、そのあとクレアが皮肉まじりに返す、姉弟の受け答えの流れに注目です。
Mitchell: Yeah, reminds me of a certain manager at the Cheesecake Factory that you dated.
(ああ、君が昔付き合ってた、チーズケーキ・ファクトリーのマネージャーを思い出すよ。)Claire: Oh. Todd. Mm. He had a Camaro and power.
(ああ。トッドね。うーん。あの人はカマロを持ってて、力もあったのよ。)Mitchell: Ugh! He was nasty. You just did it to get a rise out of dad.
(うえっ! 最悪なやつだったよ。君はただ父さんの反応を引き出したくて、そうしたんだろ。)Claire: Yeah, well, look how well that worked out. It didn’t bother dad at all, and then I was stuck with a guy who smelled like potato skins and said “supposably.
(ええ、まあ、それがどれだけうまくいったか見てよね。父さんは全然気にしなかったし、結局私は、ポテトスキンのにおいがして「supposably」と言う男と離れられなくなったのよ。)Modern Family Season4 Episode12 (Party Crasher)
シーン解説と心理考察
ミッチェルは、クレアが昔付き合っていたチーズケーキ・ファクトリーのマネージャーを思い出す、と切り出します。クレアは「ああ」と受けて、「トッドね」と名前を挙げ、カマロを持っていて力もあった、と当時の相手の印象を返します。
ミッチェルは「うえっ! 最悪なやつだったよ」と続け、「君はただ父さんの反応を引き出したくて、そうしたんだろ」と言い切ります。ここでの get a rise out of dad は、交際そのものが目的ではなく、父にどんな反応をさせるかが狙いだった、というミッチェルの見立てを表しています。二人の父であるジェイの反応が、話の中心に置かれています。
クレアは「それがどれだけうまくいったか見てよね」と、皮肉で返します。父は全然気にしなかったのに、自分はポテトスキンのにおいがして「supposably」と言う男と離れられなくなった、という結末です。狙いが空振りに終わったことを、自分の側の損として語る口ぶりがにじみます。
挑発する側の狙いと、それが届かなかった結果が、姉弟の短いやりとりの中に並んでいます。相手の反応を引き出すつもりの行動が、かえって自分に返ってくる展開が、この表現の意味をそのまま見せる場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
静かな水面を指先でちょんとつついて、下からぽこっと泡が浮かび上がってくる様子を思い浮かべてみましょう。つつかれた相手の中から、反応が浮かび上がってくる動きです。a rise の「高まり、浮かび上がり」と、out of の「〜の中から」が組み合わさって、相手の中から反応を引き出すイメージです。
ミッチェルの「父さんの反応を引き出したくて、そうしたんだろ」は、父さんをつついて反応を見たかった、という一言でした。ところが、クレアの答えは「父さんは全然気にしなかった」です。つついても浮かび上がってこなかった反応を、その場面と重ねて思い出すと、get a rise out of の「引き出す」動きが、結果まで含めて頭に残ります。
例文で覚える「get a rise out of someone」
職場、きょうだい、悪ふざけと、相手を変えながら、3つの例文で確認していきましょう。
Don’t take the bait. He’s only trying to get a rise out of you.
(挑発に乗らないで。彼はこっちの反応を引き出したいだけだから)
同僚の挑発を受け流すよう助言する場面です。only trying to と添えると、相手の狙いが反応を見ることだけにある、という含みが出ます。
A: Why did you tell him that?
B: I just wanted to get a rise out of him.
(A:どうして彼にあんなことを言ったの?)
(B:ただ、彼の反応が見たかったんだ)
きょうだいや友人の悪ふざけを問いただす往復会話です。I just wanted to と動機の形にすると、理由を打ち明ける一言になります。
My brother loves to get a rise out of me by moving my things around.
(兄は私の物の置き場所を変えて、私を怒らせるのが好きなの)
きょうだいのいたずらを話す場面です。by moving my things around と、反応を引き出す手段を添えると、何をされたのかが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
wind someone up
((からかって)相手をいらだたせる、かつぐ)
wind someone up は、相手を興奮させたり、いらだたせたりする行為そのものを表します。get a rise out of は、その結果として反応を引き出すことに焦点がある点が違います。
push someone’s buttons
(相手の急所をつく、相手を怒らせるツボを押す)
push someone’s buttons は、相手が嫌がるツボを知っていて刺激する言い方です。get a rise out of は、狙いが反応を見ることにある点が中心です。
take the bait
(挑発に乗る)
take the bait は、挑発された側の行動を表します。get a rise out of は、挑発する側から見た表現です。
Note|get a rise out of の後ろに置く人と、動機を示す to 不定詞
get a rise out of は、後ろに人を置いて、誰の反応を引き出すのかを示す表現です。ここでは、その形と、動機を添える形を整理します。
ひとつめは、out of の後ろに人を置く基本の形です。get a rise out of him、get a rise out of people online のように、反応を引き出される相手が out of の後ろに入ります。ふたつめは、to 不定詞とセットにして動機を示す形です。He said it to get a rise out of her. のように、何のためにそうしたのかを言い添えられます。今回のシーンの to get a rise out of dad も、この形にあたります。
つまり、out of の後ろは「誰の反応か」、to の前は「何をしたか」という役割分担です。ミッチェルの一言は、「そうした(付き合った)」の理由が「父さんの反応を引き出すこと」だった、という組み立てになっています。
反応を引き出せなかった場合は、クレアの It didn’t bother dad at all のように、相手が動じなかった側から言い表せます。訳すときは、後ろの人と to の前の行動を先に確認して、「〜の反応を引き出したくて、〜した」という順で組み立てると、日本語が自然に収まります。
まとめ|狙いは怒りではなく、反応そのもの
get a rise out of someone は、からかったり挑発したりして、相手の反応を引き出す表現です。目当ては傷つけることではなく、反応そのものにあります。
to 不定詞とセットにすれば、「反応を見たくて〜した」という動機を言い表せます。きょうだいや友人の悪ふざけを語るときにも、同僚の挑発を受け流すよう助言するときにも使えます。
ミッチェルが「父さんの反応を引き出したくて」と言い、クレアが「全然気にしなかった」と皮肉で返す二人のやりとりには、狙いが空振りに終わったあとの、姉弟ならではの距離感が表れていました。反応を引き出そうとした側の思惑は、相手が動じなかったときにこそ、はっきり見えてくるものです。


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