海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
すぐそばから漂ってくる強いにおいや、途切れない物音に、思わず「もう勘弁して」と言いたくなった経験はありませんか。
そんな気持ちを一言で伝える「driving me crazy」を、『モダンファミリー』シーズン6第4話の前半、ホテルでのアレックス、ルーク、ヘイリーのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「driving me crazy」の意味とニュアンス
driving me crazy
意味:(私を)気が変になりそうなほどいらだたせる
drive someone crazyは、人をcrazyな状態に追いやる、という形の表現です。driveは「(ある状態に)追いやる」、crazyは「気が変な」を表し、文字どおりには「人を気が変な状態へ運んでいく」という意味になります。実際に気が変になるという話ではなく、我慢の限界に近いいらだちを誇張して伝える口語表現です。
形の特徴は、いらだちの原因が主語に来て、いらだたされる人が目的語に来る点です。日本語では「私が〜にいらいらする」と自分を主語にして言うところを、英語では「〜が私を気が変にさせている」と原因を主語にして言います。今回のようにis drivingと進行形にすると、いま目の前で続いている不快さを訴える言い方になります。
対象になるのは、騒音やにおいのような不快な刺激、しつこい癖、待たされる状況などです。me以外にも、him、her、us、youと目的語を入れ替えられます。crazyの部分をmadやnuts、insaneに替える言い方もあり、後ろに置く語で誇張の度合いを調整できます。
【ここがポイント!】
- 「driving me crazy」の核は、原因を主語にして「気が変になりそう」と誇張するいらだち
- me / him / herなど目的語を入れ替えられ、進行形なら今起きている不快さを表す形
- crazyをmad / nuts / insaneに替える言い方もあるのがコツ
『モダンファミリー』S06E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
アレックスが「それ、何?」と尋ね、ルークが答える場面です。そのやり取りにヘイリーが加わり、においについて率直な感想を述べます。ヘイリーの訴えにルークがどう返すかまで、会話の流れに注目です。
Alex: What’s that?
(それ、何?)Luke: It’s a body spray called sex grenade. One of the divorced dads in the hotel recommended it.
(「sex grenade」っていうボディスプレーだよ。ホテルにいる離婚したお父さんのひとりがおすすめしてくれたんだ。)Haley: That smell is driving me crazy.
(そのにおい、マジで頭おかしくなりそう。)Luke: Then it’s working.
(じゃあ、ちゃんと効いてるってことだね。)Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)
シーン解説と心理考察
アレックスの「それ、何?」という問いかけに対して、ルークは商品名を挙げてボディスプレーだと説明し、ホテルにいるお父さんのひとりに勧められたのだと続けます。聞かれたことに対して、名前、種類、勧められた経緯の順に答える流れです。
そこへヘイリーが「そのにおい、マジで頭おかしくなりそう」と割って入ります。においが主語に置かれているため、原因が何なのかが一言でわかります。ヘイリーは「頭おかしくなりそう」という大げさな言い方で、においの強さに対する我慢の限界を伝えています。
ルークの返事は「じゃあ、ちゃんと効いてるってことだね」です。ヘイリーは不快さを訴えているのに、ルークはそれを効き目の証拠として受け取っています。同じにおいについて、いらだちの表明と、成果の確認という正反対の反応が並ぶため、二人の受け取り方のずれが会話の温度を変えています。driving me crazyという誇張表現が、ルークの前向きな返事を引き出す形になっているのも見どころです。
なお、ここでのcrazyは「気が変な」という程度の意味で、本当に精神的な問題を指しているわけではありません。日常のいらだちを大きく言うための言葉として使われています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
crazyという場所へ「運転(drive)して連れていかれる」場面を思い浮かべてみましょう。運転手はにおいや音のような原因で、乗せられているのは自分です。自分の意思とは関係なく、気が変になりそうな場所へ運ばれていく、という絵を描くと、原因が主語で自分が目的語になる語順が定着します。
ヘイリーの場合、運転手はルークが話題にしたスプレーのにおいです。においという原因に運ばれていく自分の様子が、driving me crazyの一言に詰まっています。
覚えるときは、「主語はいらだちの原因、目的語は自分」という形をセットで口に出してみてください。The noise is driving me crazy.のように、原因の名詞を入れ替えるだけで、身の回りのいらだちがそのまま英語になります。
例文で覚える「driving me crazy」
日常のいらだちを伝えるdriving me crazyを、3つの例文で確認していきましょう。
The noise from the construction site is driving me crazy.
(工事現場の音で頭がおかしくなりそうです。)
騒音への不満を話す場面です。原因を主語に置く基本の形で、いま続いている音のいらだちを訴えています。
A: Why do you look so tired?
B: The neighbor’s dog is driving me crazy. It barks all night.
(A:なんでそんなに疲れた顔をしてるの?)
(B:隣の犬にまいってるんだ。一晩中吠えてるから。)
睡眠不足の理由を説明する会話です。原因を述べたあとに具体的な状況を足すと、いらだちの中身がはっきり伝わります。
Waiting for the test results is driving me crazy.
(検査の結果を待っているのが落ち着かなくて、おかしくなりそうです。)
不安な待ち時間を語る場面です。音やにおいだけでなく、「待つこと」のような行為も主語に置けることがわかります。
あわせて覚えたい関連表現
drive me up the wall
(ひどくいらだたせる)
driving me crazyが「気が変になりそう」という誇張なのに対し、drive me up the wallは「壁をよじ登りたくなるほど」という別のたとえで、落ち着かなさを表します。
get on my nerves
(神経にさわる、いらいらさせる)
get on my nervesは、日常の小さな不快の積み重ねを表しやすい言い方です。driving me crazyのほうが、我慢の限界に近い強い印象になります。
drive me insane
(気が狂いそうにさせる)
insaneはcrazyより強く直接的な語で、driving me crazyよりも誇張が大きい表現です。
Note|「気が変になる」と「driving me crazy」、誇張のスケールを読む
いらだちを表す英語には、気持ちを大げさにたとえる表現がいくつもあります。ここでは、crazyという語の文字どおりの意味と、日常の不満を伝える比喩としての働きを、構成語と語順から整理します。
crazyは辞書的には「気が変な、正気でない」という意味の形容詞です。drive someone crazyは、その状態に人を追いやるという形ですが、実際に正気を失うという意味では使いません。工事の音や隣の犬の鳴き声のような身近な不快を、「気が変になりそう」と誇張して言うことで、耐えがたさの度合いを伝える働きをしています。
語順にも特徴があります。「〜にいらいらする」と日本語で言うときは自分が主語になりますが、driving me crazyでは、いらだちの原因が主語になり、自分はmeとして目的語に回ります。原因をはっきり主語にする言い方なので、何が不快なのかを一言で名指しできます。ヘイリーがThat smellを主語にしたのも、この型に沿ったものです。
誇張の強さは、crazyを別の語に替えて調整できます。madやnutsも同じ型で使え、insaneにすれば、さらに強く直接的な言い方になります。ヘイリーの「そのにおい、マジで頭おかしくなりそう」は、この型の基本形を使って、においの強さを訴えた一言でした。
まとめ|においも音も、原因を主語にして「もう限界」を伝える
driving me crazyは、においや音などの原因を主語に置いて、我慢の限界に近いいらだちを誇張して伝える表現です。目的語を入れ替え、crazyをほかの語に替えれば、いらだちの相手や強さも調整できます。
騒音や待ち時間、しつこい癖など、日常の小さな不快を軽い調子で訴えるときに使えます。drive me up the wallやget on my nervesとの違いも押さえておくと、不快さの種類に合わせた言い分けができます。
ヘイリーの訴えを「ちゃんと効いてる」と受け止めたルークとのやり取りは、同じ出来事でも立場によって受け取り方が変わることを示す場面でした。表現の引き出しに加えてみてください。


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