海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
長く手放せずにいたものや、続けてきた習慣を思い切ってやめようとして、なかなか踏ん切りがつかなかった経験はありませんか。
そんなときに使える「give up」を、『モダンファミリー』シーズン6第17話の中盤、幼い子のおしゃぶりをめぐって、ヘイリーとグロリアが言葉を交わす場面から、一緒に見ていきましょう。
「give up」の意味とニュアンス
give up
意味:(〜を)手放す、やめる、あきらめる
give up と聞くと、「あきらめる」という意味を思い浮かべる人が多い表現です。実際に、試すのをやめて投げ出す意味で使われます。ただ、物や習慣を目的語に取ると、「持っているものや続けてきた習慣を手放す、やめる」という意味になります。
give は「与える」、up は「手を離れる方向」を表す語です。この2語が組み合わさって、「手放して差し出す」という基本の感覚ができています。この感覚が、持ち物を手放す意味にも、習慣をやめる意味にも、挑戦をやめる意味にも広がっています。
語順にも特徴があります。名詞を続けるときは give up smoking(禁煙する)のように up の後ろに置けますが、it や them のような代名詞は give と up のあいだに入り、give it up、give them up となります。
give up のあとに動名詞を続けると、やめる習慣を示せます。give up smoking のほか、give up eating sweets(甘いものを食べるのをやめる)のように、「〜するのをやめる」という形で使えます。目標や見込みを対象にするときは、give up on a plan(計画をあきらめる)のように on を添えることもあります。
どの意味で使われているかは、前後の文脈で判断します。手放す対象が具体的な物や習慣なら「手放す・やめる」、目標や挑戦なら「あきらめる」と訳し分けると、意味がぴったり合います。
【ここがポイント!】
- 「give up」の核は、手にしていたものを手から離して差し出す動き
- 「あきらめる」のほかに、物や習慣を「手放す・やめる」の意味でも使う表現
- 代名詞は give と up のあいだに入り、give them up の形になるのがコツ
『モダンファミリー』S06E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーのおしゃぶりをめぐる会話で、ヘイリーがグロリアに様子をたずねる場面です。グロリアは、おしゃぶりを取り上げたのにまだ泣いていると答えます。それを受けたヘイリーの一言に、今回のフレーズが出てきます。
Haley: What is his deal?
(あの子、どうしたの?)Gloria: I took his pacifier hours ago, and he’s still crying. He’s being such a baby.
(何時間も前におしゃぶりを取り上げたのに、まだ泣いてるのよ。まるで赤ちゃんみたいに。)Haley: Maybe he’s not ready to give them up.
(まだおしゃぶりを手放す心の準備ができてないのかも。)Gloria: No, I promised my mother that he wouldn’t use it anymore.
(いいえ、母に、もうこの子には使わせないって約束したの。)Modern Family Season6 Episode17 (Closet? You’ll Love It!)
シーン解説と心理考察
ヘイリーの「あの子、どうしたの?」は、泣いている子の様子を見て、率直に理由をたずねる一言です。グロリアの答えは、事実を順に並べる形になっています。おしゃぶりを取り上げたこと、それが何時間も前であること、それでもまだ泣いていること。時間の長さを挙げることで、泣き止まない状況の大変さが表れています。
ヘイリーの give them up は、その答えを受けた、気持ちの面からの見方です。泣き続ける理由を、聞き分けの悪さではなく、「手放す心の準備がまだできていないから」と読み替えています。not ready to という言い方が、子どもの気持ちの側に立った、やわらかな捉え方を示しています。
グロリアの最後の返しは、母との約束があることを明かすものです。おしゃぶりを使わせないと決めた事情が、ここで言葉になります。二人の言葉には、子どもの気持ちという見方と、母との約束という事情が、並んで置かれています。
ここでの give them up は、あきらめるという意味ではなく、愛用してきた物を手放すという意味で使われています。同じ give up でも、文脈によって訳が変わる好例です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
give up は、握っていたものを手のひらから離して、そっと差し出す動きで覚えられます。
ずっと握りしめていたものを、自分から差し出す。その「手を離す」動作が、give up の中心にあります。差し出す先が持ち物なら「手放す」、習慣なら「やめる」、挑戦なら「あきらめる」と、対象に合わせて意味が動いていきます。
ヘイリーの「まだ手放す心の準備ができてないのかも」は、握っていたおしゃぶりを、まだ手のひらから離せない様子と重なります。握りしめたものを離すには、それだけ心の準備が要る。そんな視点で眺めると、ヘイリーの一言の意味も見えてきます。手に握ったものをそっと差し出す姿を思い浮かべながら、何を手放す話なのかを文脈から読み取ってみると、意味がすっと決まります。
例文で覚える「give up」
手放す場面と、あきらめる場面の両方で使う give up を、3つの例文で確認していきましょう。
He finally gave up sugar in his coffee.
(彼はとうとうコーヒーに砂糖を入れるのをやめました。)
習慣をやめた話をする日常の場面です。give up のあとに名詞を続ける形で、「やめる」の意味になります。
Don’t give up on your dream.
(夢をあきらめないで。)
励ます場面です。挑戦や目標を対象にすると、「あきらめる」の意味になります。on を添える形で、あきらめる対象を示せます。
A: Did you quit the gym?
B: No, I’m not ready to give it up yet.
(A:ジムをやめたの?)
(B:ううん、まだやめる気にはなれないよ。)
習慣を続けるかどうかを話す友人同士の会話です。代名詞の it が give と up のあいだに入る語順が確認できます。
あわせて覚えたい関連表現
quit
(やめる)
quit は、仕事や習慣を自分の意志でやめる言い方です。give up には手放す感覚があり、名詞を挟む give A up の語順も取れるところが違います。
let go of
(〜を手放す)
let go of は、握っていたものを離す動きや、気持ちを手放す場面で使います。give up は、「やめる」「あきらめる」の意味まで広がりがあります。
do without
(〜なしで済ませる)
do without は、「なくてもやっていく」という意味です。give up は、手放す行為そのものを指すところが違います。
Note|「あきらめる」だけでは訳せない、give up の手放す感覚
give up は「あきらめる」と覚えている人が多い表現です。ここでは、その訳だけでは合わなくなる場面を整理します。
give up を「あきらめる」とだけ訳すと、ヘイリーの Maybe he’s not ready to give them up. が、「まだあきらめる心の準備ができていないのかも」となってしまいます。これでは、何をあきらめるのかが分からず、場面と結びつきません。おしゃぶりを手放す話だと分かれば、「まだ手放す心の準備ができていないのかも」と訳すことで、意味がすっと通ります。
give と up を分けて見ると、「与える」と「手を離れる方向」の組み合わせです。手にしていたものを離して差し出す動きが、まず土台にあります。そこから、物を手放す、習慣をやめる、挑戦をあきらめると、対象に応じて訳が変わっていきます。「あきらめる」は、その意味のひとつにすぎません。
訳し分けるときは、give up の対象を確認します。具体的な物や習慣なら「手放す・やめる」、目標や見込みなら「あきらめる」を当ててみます。
訳語を一つに決めつけず、対象を見て選ぶ。それが give up を読むときの基本です。
まとめ|「手放す心の準備」を、英語で伝える
give up は、手にしていたものを手から離して差し出す動きを表す表現です。あきらめるという意味のほかに、持ち物を手放す、習慣をやめるという意味でも使います。
代名詞は give と up のあいだに入り、give them up、give it up の形になります。何を手放す話なのかを文脈から読み取ると、訳が自然に決まります。
ヘイリーの give them up には、泣いている子の気持ちに寄り添う視点が込められていました。愛用の物を手放すのにも、心の準備がいる。そんな見方を伝える一言でした。習慣や持ち物を手放す話をしたい場面で、表現の引き出しに加えてみてください。


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