海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
忙しさや気落ちが続くうちに、身だしなみや生活のリズムが少しずつ崩れていく。振り返ってから、ようやく気づくこともあります。
そんな状態を言い表す「let oneself go」を、『モダンファミリー』シーズン7第19話の終盤、フィルがクレアに自分の悪いところを並べて詫びる一言から、一緒に見ていきましょう。
「let oneself go」の意味とニュアンス
let oneself go
意味:身なりや生活に構わなくなる、だらしなくなる
let oneself go は、自分の外見や健康、生活習慣などに気を配らなくなって、以前よりだらしなくなる、という意味の口語表現です。let は「させておく、許す」、go は「行く」なので、直訳は「自分を行かせてしまう」となります。自分の手綱を緩めて、成り行きのまま放っておく、というイメージです。
oneself の部分は、主語と同じ人を指す再帰代名詞です。I なら myself、you なら yourself、he なら himself、they なら themselves と、主語に合わせて形が変わります。I let myself go. や Don’t let yourself go. のように、文の主語と目的語が同じ人になるのが、この表現の型です。
もう一つの意味として、パーティーなどで抑えを外して楽しむ、羽目を外す、という使い方もあります。Let yourself go and have fun. のように、解放感のある文脈で出てきます。前後に身なりや健康の話があれば「だらしなくなる」、楽しみや解放の話があれば「羽目を外す」と見分けます。
日本語に置き換えるときは、「自分に構わなくなる」「身なりに無頓着になる」「自分のことをおろそかにする」といった言い方がしっくりきます。単に「だらしない」と言い切るより、自分で自分を放っておいた、という動きのある言葉を選ぶのがコツです。
【ここがポイント!】
- 「let oneself go」の核は、自分で自分を放っておくという動き
- oneself は主語に合わせて myself・yourself・himself などに変わる
- 身なりや生活の話なら「だらしなくなる」、楽しみの話なら「羽目を外す」
『モダンファミリー』S07E19のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
シーズン7第19話の終盤です。フィルがクレアに向かって、ほかにも自分の悪いところをいくつか挙げたあと、「何より最悪なのは」と続けます。今回のフレーズは、その続きに出てくるフィルの一言です。
Phil: And worst of all, I let myself go. So I shaved and put on a suit.
(それに、何より最悪なのは、俺が自分に構わなくなってたことだ。だから、ひげを剃ってスーツを着たんだ。)Claire: Oh, honey.
(まあ、あなた。)Phil: What’s that?
(それ、何だい?)Claire: What? Oh. Um, uh
(え? あ、えっと…)Phil: Oh, my God. You packed a suitcase.
(なんてこった。スーツケースに荷物を詰めたのか。)Modern Family Season7 Episode19 (Man Shouldn’t Lie)
シーン解説と心理考察
フィルの And worst of all は、「何よりも最悪なのは」と、並べてきた欠点の中でいちばん重いものを持ち出す前置きです。そのあとに I let myself go. と続けて、自分が自分に構わなくなっていたことを、最悪の欠点として認めます。
次の So I shaved and put on a suit. は、その埋め合わせにあたる部分です。So は「だから」という意味で、構わなくなっていた自分を改めるために、ひげを剃ってスーツを着た、という順番で話が運んでいます。この一文があるおかげで、let myself go が「見た目の乱れ」を指していることがはっきりします。
クレアは Oh, honey. と応じます。honey は親しい相手への呼びかけで、日本語では「まあ、あなた」のように訳せます。フィルの告白を受け止めた短い反応です。
続いてフィルは What’s that? と尋ね、クレアは What? Oh. Um, uh と言葉を詰まらせます。言い淀みの Um, uh が続いて、すぐには答えが出てきません。
そこでフィルは、Oh, my God. You packed a suitcase. と口にします。You packed a suitcase. は「スーツケースに荷物を詰めたのか」という確認の言い方です。ここで分かるのは、フィルがそのように受け取ったという点までです。
謝罪の中で let myself go を自分の欠点として挙げ、続く会話ではスーツケースの話へと移っていく。フィルの言葉が、一つの話題から次の話題へと変わっていく流れが、短いやり取りの中に出ています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
イメージの土台は、自分を引っ張っている手綱を、ぱっと離してしまう様子です。手綱を握っているのは自分自身で、その手を緩めると、自分がどこへでも行ってしまいます。「自分を行かせる」という感覚が、let oneself go の芯です。
フィルは、その緩めた手をもう一度握り直すように、ひげを剃ってスーツを着ました。手綱を離していたことを認めて、握り直す。その二つの動きがそろっているところに、この表現を使う場面の典型があります。
例文で覚える「let oneself go」
let oneself go を、3つの例文で確認していきましょう。
After the breakup, he let himself go and stopped caring about his appearance.
(別れたあと、彼は自分に構わなくなって、見た目を気にしなくなった。)
知人の変わりようを語る場面です。and のあとに具体的な様子を添えると、何に構わなくなったのかが伝わります。
A: I haven’t seen you at the gym lately.
B: I let myself go during the busy season, so I’m starting again this week.
(A:最近ジムで見かけないね。)
(B:忙しい時期に自分のことをおろそかにしてたから、今週からまた始めるよ。)
生活を立て直すと宣言する、友人同士の会話です。during the busy season で、構わなくなっていた期間を示しています。
It was a party, so everyone let themselves go and danced all night.
(パーティーだったので、みんな羽目を外して一晩中踊った。)
もう一つの意味、羽目を外す使い方です。パーティーという解放感のある文脈と、danced all night という楽しみの描写が、この意味だと教えてくれます。
あわせて覚えたい関連表現
neglect oneself
(自分のことをおろそかにする)
neglect oneself は、自分の世話をしなくなることを言う、やや改まった言い方です。let oneself go は、そこに「見た目や状態が崩れていく」という結果まで含む口語です。
let things slide
(物事を放っておく、なおざりにする)
let things slide は、仕事や約束など、物事をほったらかしにすることです。let oneself go が自分自身(身なりや健康)を対象にするのに対し、こちらは対象が物事です。
let loose
(羽目を外す、思いきり楽しむ)
let loose は、抑えを外して楽しむ意味に絞られます。let oneself go は、「だらしなくなる」と「羽目を外す」の両方の意味を持つ点が違います。
Note|「自分を行かせる」という直訳から読む let oneself go の二つの意味
let oneself go は、一見すると正反対に見える二つの意味を持っています。「だらしなくなる」と「羽目を外す」です。どちらも、let と go の文字どおりの意味から、同じ筋道でたどれます。
let は「させておく」、go は「行く」ですから、let oneself go は「自分を行くがままにさせておく」という形です。自分を引き止めずに、成り行きに任せる、と言い換えられます。この「引き止めない」が、向く先によって二つに分かれます。身なりや健康、生活のリズムへの気配りを引き止めなくなれば、「だらしなくなる」です。気持ちの抑えを引き止めなくなれば、「羽目を外す」です。
見分け方は、前後の文脈にあります。フィルの台詞では、直後に So I shaved and put on a suit. と、ひげやスーツの話が続きました。身なりの話なので、「だらしなくなる」の意味と読めます。パーティーや旅行、楽しみの話が前後にあれば、「羽目を外す」の意味です。
どちらの意味でも、自分を主語にして使うので、oneself の形が主語に合わせて変わります。同じ「引き止めない」という動きが、どこへ向かうかで意味が分かれる。その筋道が、二つの意味を一つの表現につないでいます。
まとめ|自分に構わなくなった、と認める一言
let oneself go は、自分の外見や健康、生活習慣に気を配らなくなる、という意味の表現です。oneself は主語に合わせて形が変わり、パーティーなどの文脈では「羽目を外す」の意味にもなります。
neglect oneself は世話をしないこと、let things slide は物事を放っておくこと。let oneself go は自分自身が対象で、見た目や状態の崩れまで含みます。
手綱を離していたことを認めて、ひげを剃ってスーツを着たフィル。I let myself go. の一言は、謝罪の中でいちばん重い欠点を名指す役割を担っています。


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