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自信があるわけではないけれど、とりあえずやってみた。そんな軽い挑戦を、人に打ち明けたことはありませんか。結果の出来より、「まず手をつけた」という事実を先に伝えたいときの、ちょっとした言い方です。
そんな場面にぴったりの「take a stab at doing something」を、『モダンファミリー』シーズン7第21話の前半、フィルがキャメロンに打ち明ける一言から、一緒に見ていきましょう。
「take a stab at doing something」の意味とニュアンス
take a stab at doing something
意味:(うまくいくか分からないが)試しにやってみる、挑戦してみる
take a stab at doing something は、結果に自信がなくても、とにかく一度やってみるときの口語表現です。stab は文字どおりには「突き刺すこと」ですが、a stab at の形で「試み」という意味でも使われます。take a stab at は、「ひとまず試みる」という軽さのある言い方になります。
at のあとには、試す内容を置きます。見出しの doing something の部分には、動名詞(writing や fixing)、名詞(the problem)、代名詞の it が入ります。ドラマの台詞では I took a stab at writing fan fiction. となっていて、at のあとに writing fan fiction が続いています。日本語にすると「二次創作を書いてみた」という意味です。
take の形を変えれば、時制も自由に動かせます。took なら「やってみた」、I’ll take なら「やってみるよ」、Let’s take なら「一緒にやってみよう」という具合です。たとえば Let’s take a stab at solving this puzzle together. なら、「このパズルを一緒に解いてみよう」という誘いになります。
「成功させる」ことより「まず試す」ことに重点があるので、結果が出なくてもかまわない、という軽い響きがあります。料理、工作、仕事の企画書、パズルなど、慣れていないことに気軽に取り組む場面で使えます。仕事の場面では、「ひとまず案を出してみる」という意味にもなります。
日本語に置き換えるときは、「やってみた」「挑戦してみた」「ちょっと試してみた」あたりが合います。「一突きした」と直訳すると、意味が伝わりにくくなります。
【ここがポイント!】
- 「take a stab at doing something」の核は、結果より先に「まず試してみる」という軽い挑戦
- at のあとに、動名詞・名詞・it のどれかを置いて、試す内容を示す
- 「一突きする」と直訳せず、「やってみた」「挑戦してみた」と訳す
『モダンファミリー』S07E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルとキャメロンは、シルバートンのミステリー小説の話をしています。作者はサイモン・ヘイスティングスで、ふたりはこの作家のファンです。キャメロンが、3部作の最終巻を待ち続けて10年近くになることを口にすると、フィルが、その待ち時間に自分でしたことを明かします。今回のフレーズは、フィルのその告白の中に出てきます。
Cameron: The world has been waiting for the final book of the trilogy for almost, what, 10 years?
(3部作の最終巻を、世界はかれこれ、えーと、10年近くも待ってるんだよ?)Phil: I missed it so much, I took a stab at writing fan fiction.
(それが恋しくてたまらなくてさ、俺、二次創作を書いてみたんだ。)Cameron: What?
(え?)Phil: I put Silverton in the harrowing world of real estate with “Open House, Closed Casket.”
(シルバートンを、不動産っていう恐ろしい世界に放り込んでみたのさ。題して『Open House, Closed Casket』。)Modern Family Season7 Episode21 (Crazy Train)
シーン解説と心理考察
キャメロンの発言は、The world has been waiting for the final book of the trilogy … と始まります。has been waiting は現在完了進行形で、「ずっと待ち続けている」という意味です。for almost, what, 10 years? の almost は「ほぼ」、what は言葉を探しながら間をつなぐ言い方で、「えーと」にあたります。the trilogy は「3部作」で、最終巻がまだ待たれている状態を述べています。主語の The world は、待っている人たちを「世界」と大きく言い表したものです。
フィルは I missed it so much と受けて、I took a stab at writing fan fiction. と続けます。so much のあとに、結果を表す節が続く形で、「それが恋しくてたまらなかったので、二次創作を書いてみた」という意味になります。fan fiction は、ファンが好きな作品の世界を使って自分で書く創作のことです。took a stab at を使うことで、「試しに書いてみた」という軽い調子の打ち明け話になっています。
キャメロンは What? と短く聞き返します。
フィルはそのあと、I put Silverton in the harrowing world of real estate with “Open House, Closed Casket.” と、書いた作品の題名と設定を明かします。put A in B は「AをBに置く」という形で、ここでは、シルバートンを不動産の世界に置いた話だと説明しています。harrowing は「ぞっとするような、胸が痛むような」という意味の形容詞です。with のあとの題名で、作品を指し示しています。Open House, Closed Casket は、フィルが書いた二次創作の題名として挙げられたものです。
最終巻を待つという同じ話題が、フィルの場合は「待ちきれずに自分で書いてみた」という行動につながっていたことが、この短いやり取りで明かされます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
覚えるときの手がかりは、的に向かってとにかく一度手を伸ばしてみる姿です。当たるかどうかは二の次で、まず動いてみる。take a stab at の stab は、その「最初の一手」にあたります。
フィルの I took a stab at writing fan fiction. も、出来栄えより先に「書いてみた」という事実を差し出す一言でした。結果のことはあとで考えるという軽さが、この表現の持ち味です。
例文で覚える「take a stab at doing something」
take a stab at doing something を、3つの例文で確認していきましょう。
I took a stab at baking bread over the weekend.
(週末にパンを焼くのに挑戦してみました。)
週末の出来事を話す日常の場面です。at のあとに動名詞の baking が続く、台詞と同じ形になっています。
A: Have you ever cooked Thai food?
B: Not really, but I’ll take a stab at it tonight.
(A:タイ料理って作ったことある?)
(B:あまりないけど、今夜やってみるよ。)
友人どうしの会話です。at it の形で、試す内容を it に任せています。直前の話題から何をやるかが分かるときに使える形です。
Why don’t you take a stab at revising the report?
(その報告書の見直し、いったんやってみてくれない?)
同僚に何かを任せる仕事の場面です。Why don’t you …? は、提案や依頼をやわらかく切り出す言い方で、take a stab at を添えると「完璧でなくてもいいから」という軽さが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
give it a shot
(ひとまずやってみる)
give it a shot は、it や目的語を挟んで a shot を続ける形です。take a stab at は、at のあとに「何を試すか」を置ける点が違います。
try one’s hand at something
(〜に手を出してみる、〜を試してみる)
try one’s hand at は、これまでやったことのないことに初めて挑戦する場面に合う言い方です。take a stab at は、慣れたことでも気軽に一度やってみる場面で使えます。
make an attempt at something
(〜を試みる)
attempt は「試み」を表す、かしこまった語です。take a stab at が会話向きの軽い言い方なのに対して、make an attempt at は書き言葉や改まった説明にも合います。
Note|「一突き」と直訳すると見えなくなる、take a stab at の「試み」という意味
take a stab at を日本語にするとき、つまずきやすいのが stab という語です。stab は文字どおりには「突き刺すこと」ですから、take a stab を直訳すると「一突きする」になります。この訳のままでは、ドラマの台詞の意味がつかめません。
ここで大事なのは、a stab at が「何かに向けた一度の試み」という意味でも使われる、という点です。take は「取る」で、a stab at の「試み」を自分のものにして行う、という形です。辞書にも、a stab at の形で「試み」の意味が載っています。
日本語に置き換えるときは、「一突き」という動作のイメージは訳に出さず、「やってみた」「挑戦してみた」と訳すのが自然です。フィルの I took a stab at writing fan fiction. も、「二次創作を一突きした」ではなく、「二次創作を書いてみた」と訳したほうが、意味がそのまま伝わります。
見出しの doing something は、台詞では writing fan fiction でした。at のあとが動名詞でも、名詞でも、it でも、「試みの内容を示す」という働きは変わりません。
まとめ|結果より先に「試した」を伝える一言
take a stab at doing something は、うまくいくか分からなくても、とにかく一度やってみるときの言い方です。at のあとに動名詞・名詞・it を置いて、試す内容を示します。
フィルは、3部作の最終巻を待つ気持ちから、二次創作を書いたことを明かしました。took a stab at の軽さが、その告白を気負わない調子にしています。
料理でも企画書でも、出来はさておき「まず手をつけた」と伝えたい場面に収まる一言です。


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