海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
書類の内容がよく分からないまま、サインを求められて迷ったことはありませんか。自分だけでは決めきれないときは、詳しい人に目を通してもらってから返事をしたくなるものです。
そんな場面にぴったりの「lawyer up」を、『モダンファミリー』シーズン7第22話の前半、リリーの夏の預かり分担を書いた書類をめぐるやりとりから、一緒に見ていきましょう。
「lawyer up」の意味とニュアンス
lawyer up
意味:(揉め事や不利な取り決めに備えて)弁護士をつける、弁護士に相談して身を守る
lawyer up は、争いになりそうなときや、自分に不利になりかねない取り決めを前にしたときに、弁護士をつけて備えるという意味の口語表現です。lawyer は「弁護士」を表す名詞で、ここでは動詞として働いています。up は「準備が整った状態」を表す語で、「弁護士を用意して備えを固める」というイメージにつながります。
見出しの形は原形の lawyer up ですが、ドラマの台詞では I’m lawyering up. という進行形で出てきます。進行形にすると、「いま弁護士をつけようとしているところだ」という動きが前に出ます。過去の出来事を語るなら lawyered up、主語が三人称の現在形なら lawyers up と、ふつうの動詞と同じように形を変えて使います。
日本語にするときは、「弁護士をつける」「弁護士を立てる」「弁護士に相談する」あたりが合います。ただ、弁護士に相談したという事実だけを述べる言い方とは違い、「これから争いや交渉になるかもしれない」という警戒の気持ちがにじむのが lawyer up の持ち味です。
【ここがポイント!】
- 「lawyer up」の核は、争いや不利な取り決めに備えて弁護士をつけること
- 名詞の lawyer が動詞になった形で、lawyers up・lawyered up・lawyering up と変化する
- 弁護士に相談したという事実だけを述べる言い方と違い、備えて身構える気持ちが前に出る
『モダンファミリー』S07E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルとキャメロンは夫婦で、養女のリリーは夏のあいだ、二人の間を行き来することになっています。その預かりの分担を書いた書類について、「複雑すぎる」という声が上がったあとのやりとりです。
弁護士のリッチに、ちょっと見てほしいものがあると持ちかける言葉から、場面が動きます。途中で何をしているのかと尋ねる声が入り、そのあとに lawyering up という一言が続きます。
Cameron: You’re a lawyer, right? Can I actually have you take a peek at something for me?
(君、弁護士だよね? ちょっと見てほしいものがあるんだけど、頼めないかな?)— W-What are you doing?
(な、何してるの?)Cameron: I’m lawyering up.
(僕は弁護士をつけることにしたんだ。)Rich: Uh uh, yeah. There’s a lot of ambiguous language in this contract. I wouldn’t sign it.
(ああ、うん、そうだよ。この契約書、あいまいな文言がかなり多いよ。僕ならサインしないな。)Modern Family Season7 Episode22 (Double Click)
シーン解説と心理考察
入り口になるのは、「君、弁護士だよね?」という確認の問いかけです。You’re a lawyer, right? の right? は、相手に「そうだよね」と念を押す付け足しで、日本語の「〜だよね?」にあたります。続く Can I actually have you take a peek at something for me? は、have you take a peek at something の形が目印です。have + 人 + 動詞の原形で「人に〜してもらう」、take a peek at は「ちらっと見る」なので、「ちょっと見てもらえないかな」という頼みごとになります。actually は話を切り出すときの「実は」「ちょっと」にあたる語で、訳ではやわらかい頼み方として出しています。
W-What are you doing? の W-What は、語頭の音を繰り返す書き方で、言葉がつかえた様子を表しています。What are you doing? は相手の行動を尋ねる形で、ここでは直前の頼みごとに対する反応として入っています。
そのあとの I’m lawyering up. が、今回のフレーズを含む一言です。「見てほしい」と頼んだ行為を、lawyer up という言葉でまとめて言い切っています。名前や肩書きを出さず、「弁護士を用意する」という動きだけを取り出せるのが、この動詞の便利なところです。
リッチは Uh uh, yeah. と答えます。Uh uh は言いよどみの音で、そのあとの yeah が「弁護士だよ」という肯定の返事です。続く There’s a lot of ambiguous language in this contract. は、There’s a lot of 〜 で「〜がたくさんある」、ambiguous language は「あいまいな言い回し」を指します。契約書に使われる language は、「文言」と訳すとしっくりきます。最後の I wouldn’t sign it. は、would を使った控えめな助言の形です。「自分ならサインしない」と言うことで、相手に押しつけずに判断材料を渡しています。
書類の中身に不安があるとき、専門家に目を通してもらう。そのひと手間が、lawyer up の中心にあります。頼みごとをしたすぐあとに、「僕ならサインしない」という専門家の意見が返ってきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
覚えるときは、lawyer という「守りの道具」を、up で身につけていく様子を思い浮かべてみましょう。名詞の lawyer がそのまま動詞になり、up が「そろった状態」を足します。弁護士という味方を用意して、いつでも話し合いに臨める姿勢を整える、というつながりです。
キャメロンの I’m lawyering up. も、書類を前に、自分の側にも専門家を置いておくという宣言でした。「弁護士になる」ではなく「弁護士を用意する」と頭の中で置き換えておくと、意味を取り違えません。
例文で覚える「lawyer up」
lawyer up を、3つの例文で確認していきましょう。
Before you sign anything, you might want to lawyer up.
(何かにサインする前に、弁護士をつけておいたほうがいいかもしれないよ。)
契約を前にした友人への助言です。you might want to は「〜したほうがいいかもしれない」とやわらかく勧める形で、原形の lawyer up がそのまま続いています。
After the second warning letter arrived, the company decided to lawyer up.
(2通目の警告文が届いたあと、その会社は弁護士をつけることに決めた。)
トラブルへの対応を伝える仕事の場面です。decided to のあとに原形が入る、to 不定詞の形で使っています。
A: Why are you calling your attorney?
B: The landlord keeps changing the lease, so I’m lawyering up.
(A:どうして弁護士に電話してるの?)
(B:大家が賃貸契約をずっと書き換え続けるから、弁護士をつけることにしたんだ。)
賃貸のトラブルを話す会話です。so の前に理由を置き、あとに I’m lawyering up. と続けることで、ドラマの台詞と同じ進行形の使い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
consult a lawyer
(弁護士に相談する)
consult a lawyer は、弁護士に相談したという事実を述べる中立的な言い方です。lawyer up は、争いに備えて身構える気持ちを含みます。
take legal action
(法的措置を取る)
take legal action は、訴えるなど実際に動くことを指します。lawyer up は、その手前で弁護士をつける動きを表します。
read the fine print
(細かい条文までよく読む)
read the fine print は、契約書の細部を自分で確認することです。lawyer up は、専門家の手を借りる点が違います。
Note|名詞の lawyer が動詞になる形と、lawyer up の活用
lawyer up を使いこなすうえで押さえておきたいのは、形の変わり方です。lawyer はもともと名詞ですが、lawyer up の中では動詞として働き、活用はふつうの動詞と同じです。現在形は lawyer up(三人称なら lawyers up)、過去形は lawyered up、進行形は lawyering up になります。
ドラマの I’m lawyering up. は、be 動詞 + -ing の進行形です。「いま弁護士をつけているところ」という動きが伝わり、これから話し合いや交渉に入る前の構えを言い表せます。過去形の He stopped answering questions and lawyered up. のような文では、出来事を順に述べる流れの中で使えます。
もうひとつの特徴は、up のあとに目的語を置かないことです。日本語の「弁護士をつける」は「弁護士を」と対象を示しますが、lawyer up は動詞の中に「弁護士」がすでに含まれているため、英語では何も足しません。誰のために、何のためにという情報は、前後の文や so のあとの節で補います。
日本語に訳すときは、「を」を補って「弁護士をつける」と言い換えれば、自然な訳になります。進行形の lawyering up に出会ったときも、lawyer up の形が変わったものだと見抜けます。
まとめ|弁護士を味方につけて備える一言
lawyer up は、揉め事や不利な取り決めに備えて、弁護士をつけることを表す口語表現です。名詞の lawyer が動詞になり、lawyers up・lawyered up・lawyering up と形を変えます。
書類を弁護士に見てもらおうとする場面では、I’m lawyering up. の一言で、その動きがまとめて伝わりました。リッチが返した「あいまいな文言が多い」「僕ならサインしない」という言葉も、備えることの意味をよく示しています。


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