海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
準備はひと通り整っているのに、誰が最初の一歩を踏み出すのか分からないまま、時間だけが過ぎていくことがあります。「そろそろ始めようか」を英語でどう切り出せばよいのか、迷った経験は意外と多いものです。
そんな場面で使える「get the show on the road」を、『モダンファミリー』シーズン8第14話の前半、ジェイがフィルに声をかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「get the show on the road」の意味とニュアンス
get the show on the road
意味:(準備ができた物事を)動かし始める、さっそく取りかかる
get the show on the road は、計画や催し、作業などを実際に動かし始めるときの口語表現です。段取りがすでに済んでいて、あとは始めるだけという状態で、「さあ、始めよう」「そろそろ動こう」と促す場面に合います。
構成する語を見ると、show は「ショー、催し」、road は「道」です。文字どおりには「ショーを道に乗せる」となり、止まっていたものを走り出させる動きが、「物事を動かし始める」という意味と重なります。
ジェイの台詞では、the が入るはずの位置に this が入り、get this show on the road の形になっています。this を使うと、いま目の前にあるこの物事を動かそう、という指さしの響きが加わります。基本の形は the show で、特定の物事に限らず使えるため、見出しの形で覚えておくと応用が利きます。this の形は、その the を入れ替えたものと捉えれば迷いません。
使う場面は、仕事の会議に限りません。出発前の確認、イベントの開始、手続きが終わったあとの作業再開など、動き出す瞬間があればどこでも使えます。意味の中心は、準備から実行へ切り替える合図であることです。始めたいという気持ちだけでなく、始められる状態にあるという前提を含んでいる点が、get started のような単純な「始める」との違いです。台詞の前後に準備の話が出てきたら、この表現が使われる合図になります。
【ここがポイント!】
- 「get the show on the road」の核は、準備ができた物事を実際に動かし始めること
- 基本の形は the show で、台詞の get this show on the road は this に入れ替えた形
- Let’s と組めば呼びかけ、Maybe we should と組めばやわらかい提案になる
『モダンファミリー』S08E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイが「誇らしい日だな」とフィルに話しかけ、フィルが「相棒」と返す短いやり取りから始まります。ジェイは続けて、動き出そうという提案を口にし、あわせてカメラマンの話も伝えます。その提案を言い表したのが、get this show on the road です。
Jay: Proud, proud day, Phil.
(誇らしい日だな、フィル。)Phil: Thanks, partner.
(ありがとう、相棒。)Jay: Maybe we should get this show on the road. The photographer’s been taking shots of Haley when she’s not looking.
(そろそろ始めたほうがいいんじゃないか。カメラマンが、ヘイリーが見てない隙に写真を撮ってるぞ。)Phil: That’s weird. I didn’t hire a photographer.
(変だな。俺はカメラマンなんて雇ってないぞ。)Modern Family Season8 Episode14 (Heavy is the Head)
シーン解説と心理考察
ジェイは proud を重ねて、今日が誇らしい日だとフィルに伝えます。フィルが partner と返すので、二人が同じ計画を一緒に進める間柄だと分かります。partner は、仕事や事業を共にする相棒を指す呼び方です。
そのあとジェイは Maybe we should get this show on the road. と切り出します。Maybe we should は「〜したほうがいいかもしれない」と、断定を避けて提案する形です。命令でも号令でもなく、相棒に向けた控えめな促しになっています。誇らしいと言った直後に、さっそく動き出そうと促す流れが印象的です。
続く The photographer’s been taking shots of Haley when she’s not looking. は、ヘイリーが見ていない間に写真が撮られているという知らせです。’s been taking は現在完了進行形で、撮影がすでに続いている様子を伝えます。始めようという提案のすぐ後ろに、もう動いているものがあるという事実を置いているのが面白いところです。
フィルは That’s weird. と受け止め、I didn’t hire a photographer. と続けます。自分は雇っていないという返しで、ジェイの知らせが予想外だったことが分かります。get this show on the road は、この短いやり取りの中で、流れを前へ送り出す役を果たしています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
荷物を積み終えた車が、エンジンをかけて道に出る直前の様子を思い浮かべてみましょう。あとは走り出すだけで、準備はすべて済んでいます。その発進の合図が get the show on the road です。
show を「ショー」、road を「道」と読み、ショーを道に乗せて走らせると捉えると、止まっていたものが動き出す絵がつかめます。ジェイの一言も、準備が整った計画を、動く状態に切り替える合図でした。
動かす対象が自分たちの計画なら、this show と指さす形にもなります。形が少し変わっても、「準備ができたから動こう」という中身は同じです。台詞で聞こえた形と見出しの形を結びつけておくと、どちらの形に出会っても同じ意味として受け取れます。
例文で覚える「get the show on the road」
準備の終わりを合図に動き出す表現を、会議、仲間との確認、計画の着手という3つの場面で確かめていきましょう。どの例文でも、準備が済んだという前提が、前後の言葉で示されています。
Everyone is here, so let’s get the show on the road.
(全員そろったので、さっそく始めましょう。)
会議の開始を告げる場面です。so の前に始められる理由を置くと、準備が整ったことが伝わります。
A: Are we all set?
B: Yes. Let’s get the show on the road.
(A:準備はいい?)
(B:うん。さあ、始めよう。)
開始直前の確認の会話です。Let’s で呼びかけると、仲間と一緒に動き出す響きになります。
The paperwork is signed, so we can finally get the show on the road.
(書類にサインが済んだので、ようやく動き出せます。)
計画の着手を伝える場面です。finally を添えると、待っていた準備がやっと終わった気持ちが加わります。
あわせて覚えたい関連表現
get started
(始める)
get started は、場面を選ばず「始める」ことを表す基本の言い方です。get the show on the road は、準備が整ったうえで動き出す、という前提が加わります。
kick off
(開始する、口火を切る)
kick off は、会議や行事、企画などの開始を表します。get the show on the road は、開始そのものよりも、準備から実行へ切り替える合図に重点があります。
hit the road
(出発する)
hit the road は、旅や移動で「出発する」ことに限ります。get the show on the road は、移動に限らず、計画や作業を動かすときにも使えます。
Note|呼びかけか提案か。Let’s と Maybe we should で切り替わる get the show on the road の形
get the show on the road は、前後に置く言葉によって、呼びかけにも提案にもなります。固定されている部分と入れ替えられる部分を分けて整理します。
固定されているのは、the show と on the road の組み合わせです。get の目的語に the show が入り、on the road が動き出す先を示します。ジェイの台詞では the が this に変わっていますが、骨組みは同じです。this を使うと、目の前の物事を指さして動かす響きが出ます。
入れ替えられるのは、前に置く部分です。Let’s get the show on the road. は、全員に向けた「さあ始めよう」という呼びかけで、勢いのある言い方になります。ジェイの Maybe we should get this show on the road. は、should に maybe を重ねて断定をやわらげた提案です。We can finally get the show on the road. のように can を使うと、始められる状態になったという報告になります。
呼びかけなら Let’s、遠回しに促すなら Maybe we should、状況の報告なら We can。この3つを使い分ければ、同じ形で相手との距離感を調整できます。親しい相手なら Let’s で十分ですが、立場が近い相手に判断をゆだねたいときは Maybe we should のほうが角が立ちません。
前半だけを場面に合わせて替え、後半の the show on the road は固定しておくと、覚える量は最小で済みます。
まとめ|整った準備を、動き出す合図に変える
get the show on the road は、準備が整った計画や催しを、実際に動かし始めるときの表現です。Let’s と組めば呼びかけ、Maybe we should と組めば提案、We can と組めば報告になります。
台詞の get this show on the road は、基本の the show を this に入れ替えた形でした。this と the の違いは、目の前の物事を指さすかどうかにあり、意味の中心は変わりません。
誇らしい日だと声をかけたあと、そろそろ動こうと相棒に促すジェイ。準備から実行へ移る合図が、Maybe we should の控えめな形で差し出されています。


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