海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かのことを少し厳しく話したあとで、「でも、この点だけは認めておきたい」と付け加えたくなる場面があります。
そんなときに添える「to one’s credit」を、『モダンファミリー』シーズン10第8話の後半、ヘイリーとクレアが二人で話すシーンに出てくるto his creditの形から、一緒に見ていきましょう。
「to one’s credit」の意味とニュアンス
to one’s credit
意味:(〜の名誉のために言えば)〜は評価に値するが
to one’s creditは、ある人について否定的なことを言ったあと(または言う前)に、その人の良い点も認めておく、と添える挿入句です。creditは「功績・評価」を表す語です。「その人の評価の欄に」という文字どおりの意味から、「その人のために言っておくと」「その人の手柄として認めるなら」という言い方になります。
one’sの部分は、his、her、their、my、itsなど、評価される人に合わせて変わります。作中のようにto his creditなら、評価される相手は男性の第三者です。文頭にも文中にも置けて、前後をカンマで区切るのが基本です。
この表現の中心は、批判のあとに一歩引いて、公平に評価するという働きです。前後に欠点や問題が置かれ、それとの対比で効きます。日本語にするときは、「名誉のために言えば」が硬い響きの訳なので、日常会話では「立派だったのは」「その点は評価できる」のような言い換えも合います。
評価の対象になるのは、その人の行動や態度です。物事の良い面を言うときはon the plus sideのような別の言い方になり、to one’s creditは人について語るときの表現として使い分けます。
【ここがポイント!】
- 「to one’s credit」の核は、欠点を述べたあとに、その人の良い点を認めて添える一言
- 「one’s」は評価される人に合わせて、his・her・theirなどに入れ替わる
- 前に欠点や問題があり、それとの対比で働くのを押さえるのがコツ
『モダンファミリー』S10E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーとクレアが二人で話している場面です。ヘイリーが、母にはお父さんがいてよかったね、と話しかけます。クレアは意外な話があると前置きし、ヘイリーが驚いて早とちりした反応を返します。それを打ち消したあとに続くクレアの発言で、to his creditが使われます。
Haley: And you were lucky enough to have Dad.
(それに、お母さんにはパパがいてラッキーだったよね。)Claire: This is gonna come as a surprise to you, but your dad was a different guy than you think.
(意外かもしれないけど、あなたのパパは、あなたが思ってるのとは違う人だったのよ。)Haley: What?! Who?! Is that why I’m so short?!
(えっ?! 誰?! だから私、背が低いの?!)Claire: No! Haley! Oh. When I met your father, he did not have his life together. But to his credit, he really stepped up when I got pregnant, and I think that’s what made it work.
(違うわよ! ヘイリー! もう。あなたのお父さんに出会ったころ、あの人は生活が全然定まってなかったの。でも、名誉のために言えば、私が妊娠したときに本当にしっかりしてくれたのよ。それがうまくいった理由だと思うわ。)Modern Family Season10 Episode8 (Kids These Days)
シーン解説と心理考察
ヘイリーの「お母さんにはパパがいてラッキーだったよね」は、お父さんへの信頼がそのまま出た一言です。それに対するクレアの「意外かもしれないけど」という前置きは、ヘイリーが思い描くお父さんの見方に、別の面があることを予告するものとして響きます。
ヘイリーは「違う人」という言葉を文字どおりに受け取って、早とちりした反応を返します。クレアはすぐに「No! Haley! Oh.」と打ち消しています。クレアの言葉は、別の人物だったという意味ではなく、ヘイリーが思い描くお父さんの姿とは違う面がある、という話へ続いていきます。
続くクレアの発言で、「生活が全然定まってなかった」という少し厳しい評価の次に、But to his creditが置かれます。このbutが、評価の向きを切り替える合図です。そのあとのhe really stepped upでは、評価の中身が具体的に示されます。stepped upは、必要な場面で責任を引き受けて動くことを表し、reallyがその度合いを強めています。生活が定まっていなかったことと、妊娠したときに本当にしっかりしてくれたことの両方が並び、どちらか一方だけでは語れない人物像になっています。to his creditは、その二つをつなぐ継ぎ目として働いています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
帳簿を開いて、その人の欄に良い点を一行書き足す様子を想像してみましょう。欠点が書き込まれたあとでも、評価できる点は別の行に残されます。この「書き足す」動きが、to one’s creditの絵になります。これは覚えやすくするための見立てです。
クレアの発言も、生活が定まっていなかったという書き込みのあとに、妊娠したときにしっかりしてくれたという一行が書き足される形でした。欄の持ち主に合わせてhis・her・theirと入れ替わるので、oneは「その人」の目印だと覚えておけば、誰の評価を足しているのかが迷わず読み取れます。自分自身の良い点を認めるときは、to my creditの形になります。
例文で覚える「to one’s credit」
to one’s creditは、oneの部分を評価される人に合わせて入れ替える表現です。友人、チーム、新任者という3つの対象で、見ていきましょう。
She was nervous, but to her credit, she finished the speech.
(彼女は緊張していたが、立派にスピーチをやり遂げた。)
友人の頑張りを振り返る場面です。butで欠点を先に置いてから添えると、評価が引き立ちます。
To their credit, the team delivered the project on time despite the delays.
(遅れがあったにもかかわらず、チームは期限内にプロジェクトを仕上げた点で評価に値します。)
報告書で成果を認めるビジネスの場面です。評価される相手がチームなので、theirになります。
A: Did the new manager fix the problem?
B: Well, to his credit, he tried really hard.
(A:新しいマネージャーは問題を解決したの?)
(B:まあ、彼のために言っておくと、本当に頑張ったよ。)
新任者の評価を話す会話です。Wellを前に置くと、少し間を取って答える口ぶりになります。
あわせて覚えたい関連表現
give someone credit for
(〜について人を評価する)
give someone credit forは、評価する側が主語になる動詞表現です。to one’s creditは、評価される人を示す挿入句で、文の途中に添えて使います。
in someone’s defense
(〜を弁護するなら)
in someone’s defenseは、批判された人を擁護する言い方です。to one’s creditは、擁護というより、良い点を認める評価に重点があります。
on the plus side
(良い面を言えば)
on the plus sideは、状況や物事の良い面を述べます。to one’s creditは、人の行動を評価する言い方です。
Note|「名誉のために」「評価に値する」と訳し分ける to one’s credit
to one’s creditを日本語にするとき、「名誉のために言えば」と「評価に値する」のどちらを選ぶかで、文の印象が変わります。訳し分けの目安を、置く位置から整理します。
文頭に置くTo his credit, he admitted the mistake right away.の形は、これから良い点を述べるという前置きの働きをします。訳は「彼のために言っておくと、すぐにミスを認めた」のように、前置きの言葉を立てると原文の順番が残ります。文末に添えるHe did apologize, to his credit.の形は、言い終えた内容に評価を足す働きです。訳は「彼はきちんと謝った。その点は立派だった」のように、文を分けて評価の言葉を後ろに置くと自然です。「名誉のために言えば」は硬い響きの訳なので、会話の場面なら「立派だったのは」「そこはちゃんとしていた」のような言い方に置き換えられます。
クレアの発言は、But to his creditと文中に置かれていました。前の評価とのつなぎ目に立つ形なので、「でも、立派だったのは」のように、butの流れを訳に残すと意味がつながります。
位置が変われば、日本語の訳し方も変わります。
まとめ|欠点のあとに、良い点を一行添える
to one’s creditは、ある人について否定的なことを述べたあとに、その人の良い点を認めて添える挿入句です。oneの部分を、his・her・theirなど評価される人に合わせて入れ替えます。
友人の頑張りを振り返るとき、報告書で成果を認めるとき、新任者を公平に評価するときなど、批判と評価を両方述べたい場面で使えます。置く位置によって、「前置き」にも「あとから足す評価」にもなります。どちらの形でも、そのまま英文に挿入できるので、会話の途中でも使いやすい表現です。
欠点を語るときにも、評価できる点を忘れずに添えられるのが、この短い挿入句の持ち味です。


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