海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「えっと、今どうなっているんだっけ」と、人や数や話の流れの把握が追いつかなくなって手が止まることはありませんか。
そんな場面にぴったりの「lose track of」を、『モダンファミリー』シーズン10第9話の後半、取り繕うクレアに、ミッチェルとキャメロンが言葉を返す場面から、一緒に見ていきましょう。
「lose track of」の意味とニュアンス
lose track of
意味:〜の見当がつかなくなる、〜を見失う、〜が分からなくなる
lose track of は、今どうなっているか、どこにあるか、どれがどれか、といった状況の把握ができなくなることを表す表現です。track は「たどってきた跡」「経過」という意味の名詞で、跡を見失うイメージが土台にあります。lose は「失う」なので、直訳すると「跡を失う」です。
見出しは lose track of ですが、劇中では過去形の lost track of の形で出てきます。lose は lose・lost・lost と変化する動詞なので、過去の出来事を述べるときは lost track of になります。
of の後ろに来るものは幅広く、時間、数、物の居場所、人、話の流れなどが入ります。lose track of time なら「時間の経つのを忘れる」、lose track of the conversation なら「話の流れが分からなくなる」です。劇中の lost track of who was who のように、who や what を含む節が続く形もあります。
反対の意味は keep track of で、状況や数を見失わずに把握し続けることを表します。lose と keep を入れ替えるだけで、「見失う」と「把握し続ける」が対になります。どちらも track の後ろに of を置き、その後ろに把握の対象を続ける点は同じです。
【ここがポイント!】
- lose track of は、状況や数、居場所などの把握ができなくなる表現
- 過去の話なら lost track of の形になり、of の後ろには名詞も who を含む節も続く
- 反対の keep track of とセットで覚えると使い分けやすい
『モダンファミリー』S10E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアが、ガレージを片付けていただけだと説明します。ミッチェルは「下手な言い訳だね」と受け流し、「全部聞こえてたよ」と続けます。そこへキャメロンが、Yeah と受けたうえで、lost track of who was who と言葉を足していきます。
— Oh.
(あっ。)Claire: We were, um, just cleaning out the garage.
(わ、私たち、えっと、ガレージを片付けてただけよ。)Mitchell: Mm, nice try. We heard everything.
(うーん、下手な言い訳だね。全部聞こえてたよ。)Cameron: Yeah, although around the finish line, we kind of lost track of who was who.
(ああ、でも最後のほうは、僕たち、誰が誰だか分からなくなっちゃったけどね。)Modern Family Season10 Episode9 (Putting Down Roots)
シーン解説と心理考察
この場面は、一つの説明に二人が言葉を重ねていく三段の組み立てになっています。まず、クレアの言い方に um という言いよどみが入っていて、説明を組み立てている途中であることが音からも伝わってきます。
次のミッチェルの Mm, nice try. は、直訳すると「いい試みだね」ですが、ここでは相手の説明を受け入れない返しとして働いています。続く We heard everything. が理由にあたり、クレアの説明をそのまま通さない形がはっきりします。
キャメロンの発言は、Yeah で始まっています。これは、ミッチェルの「全部聞こえてた」に同意して乗る合図です。そのあとの although は、同意したうえで言葉を一つ足すときの接続で、ミッチェルの発言を引き継ぎながら付け加えていく形になっています。we kind of lost track of who was who の we は、ミッチェルの We heard everything. の we と同じ二人です。kind of が入ることで、言い切りを少しぼかした口調になり、around the finish line が時点を示しています。
lost track of は、who was who という節を目的語にして、区別がつかなくなったことを述べています。短い発言の中に、同意、付け足し、ぼかし、時点の指定が詰まった一言です。クレアの説明、ミッチェルの返し、キャメロンの付け足しと、三人の言葉が順番につながって一つの流れになっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
雪の上の足跡をたどって歩いていく場面が、この表現の絵になります。最初はくっきり続いていた足跡が、途中でほかの足跡と入り混じり、どれがどれか分からなくなって立ち止まります。そんな動きです。
track は足跡、lose は見失うことなので、「足跡を見失う」という絵がそのまま意味になります。足跡の数も、持ち主も、たどってきた道筋も、見失う対象になります。
キャメロンの lost track of who was who は、「誰が誰だか」という区別が足跡のように入り混じってしまった、という絵に重なります。目的語を who の節にした形ごと、足跡の絵と一緒に思い出せば、時間や数に使う場合にも同じ絵で対応できます。対象が時間でも数でも人でも、跡を見失うという動きは同じだと考えると、使い分けも整理できます。
例文で覚える「lose track of」
人の区別、数の把握、話の流れと、見失う対象を変えて3つの例文を見てみましょう。
With so many cousins at the party, I lost track of who was who.
(パーティーにいとこがたくさんいて、誰が誰だか分からなくなったよ。)
人数が多すぎて、顔と名前が一致しなくなった場面です。劇中と同じ who was who の形ですが、こちらは人が多い場の話として使っています。
He lost track of the conversation after the third speaker.
(3人目の発表者のあたりで、彼は話の流れが分からなくなった。)
会議や発表で話についていけなくなった場面です。of の後ろに the conversation のような名詞を置くと、何の把握が途切れたのかがはっきりします。
A: How many emails have you answered today?
B: I’ve lost track. Maybe fifty?
(A:今日メール何通返した?)
(B:もう数えてないよ。50通くらいかな?)
数を数えそびれた状況を伝える会話です。I’ve lost track. のように of 以下を省いても、数のことだと聞き手に通じます。
あわせて覚えたい関連表現
keep track of
(〜を把握しておく、〜の記録をつけておく)
lose track of の反対にあたる表現です。状況や数を見失わずに、把握し続けることを表します。
lose count
(数え間違える、何回か分からなくなる)
lose count は数に限った表現です。lose track of は数のほかに、時間、場所、人、話の流れなど、幅広い対象に使えます。
lose sight of
(〜を見失う、〜が目に入らなくなる)
lose sight of は、目で追っていたものを見失うときや、大事な目的を見落とすときに使います。lose track of は、経過や状況の把握ができなくなる言い方で、視線の話ではありません。
Note|「見失う」だけでは足りない lose track of の訳し分け
lose track of は、「見失う」と訳せば大意は通じます。ただ、of の後ろに来る語によって、日本語として自然な訳は変わります。
時間が続くなら、「時間の経つのを忘れる」です。I lost track of time. は、時間の経過に気づかなかった、という意味になります。数が続くなら、「数えそびれる」「何回目か分からなくなる」で、例文の I’ve lost track. はこの型です。人や物が続くなら、「居場所が分からなくなる」「見当がつかなくなる」と訳せます。who や what を含む節が続く場合は、「誰が誰だか分からなくなる」「何がなんだか分からなくなる」という言い方が合います。劇中のキャメロンの lost track of who was who は、「誰が誰だか分からなくなっちゃった」と訳しました。
どの場合も、土台は「把握が途切れる」という同じ感覚です。日本語に直すときは、見失った対象が何かを先に確かめ、時間なら「忘れる」、数なら「数えそびれる」、区別なら「分からなくなる」と、対象に合う動詞を選びます。
見失った対象が何かを意識するだけで、訳の迷いは減ります。
まとめ|状況が分からなくなったときの「見失った」を英語で
lose track of は、状況や数、居場所などの把握ができなくなることを表す表現です。過去の話なら lost track of となり、of の後ろには名詞も who を含む節も置けます。反対の keep track of とセットで覚えると、整理しやすくなります。
時間を忘れたとき、数を数えそびれたとき、人が多くて区別がつかなくなったときなど、把握が途切れた場面で出番があります。訳は、見失った対象に合わせて「忘れる」「数えそびれる」「分からなくなる」と使い分けます。
把握しているつもりでも、気づけば見失っているものですね。


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