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『モダンファミリー』シーズン5第6話では、グロリアがナニーとして雇ったアンディをめぐって、ジェイとグロリアの意見が分かれます。その間に入るのが、当のアンディです。
言い合いをしている人に「落ち着いて」とだけ言っても、なかなか収まりません。アンディは相手の気持ちを言葉にして確かめることで、話の向きを変えていきます。不安を受け止める言い方とあわせて見ていきます。
「if it eases your mind」で不安を受け止める
アンディとジェイが初めて顔を合わせた場面で、ジェイはグロリアに話し合いが必要だと言います。それを聞いたアンディが口を開きます。
Jay: We’re gonna need to discuss this.
(これは話し合う必要があるな。)Andy: I get it.
(分かります。)Andy: I understand it’s a big decision.
(大きな決断ですもんね。)Andy: But if it eases your mind at all, know that I’m not just here for baby Joe.
(でも、少しでも安心してもらえるなら言わせてください。僕はジョーちゃんのためだけにいるんじゃありません。)Andy: I’m here for you, too.
(あなたのためにもいるんです。)Jay: Doesn’t ease my mind at all.
(まったく安心できん。)Andy: My mission is to make all of your lives happier and healthier.
(僕の使命は、皆さんの毎日をもっと幸せで健康にすることです。)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
I get it. と I understand it’s a big decision. は、相手の迷いをまず認める言葉です。すぐに自分の売り込みに入らず、「迷うのはもっともだ」と受け止めてから本題に入る順序になっています。
ease one’s mind は「人の心を楽にする・安心させる」という意味で、if it eases your mind at all は「少しでも安心につながるなら」と、控えめに申し出る前置きです。at all が入ることで、押しつけがましさが和らぎます。
ところがジェイは、同じ言葉を使って Doesn’t ease my mind at all. と返します。相手の言い回しをそのまま打ち返す、そっけない切り返しです。受け止める言葉を選んでも、相手の受け取り方しだいでは届かないことがあります。この場面ではまだ、アンディの言葉はジェイに届いていないことが読み取れます。
「Sometimes the louder we are, the less we’re heard.」の一言
その後、アンディの採用をめぐって、グロリアが不満をぶつけます。
Gloria: No! You make me hire these nannies that I don’t like.
(やめて! あなたは私の気に入らないナニーばかり雇わせるじゃない。)Gloria: But when I find one that I like, you fire him?! I am the one that spends most of the time around here!
(なのに、やっと気に入る人を見つけたら、クビにするの?! ここでいちばん長く過ごしてるのは私なのよ!)Gloria: So I get to pick!
(だから私が選ぶの!)Andy: Shh.
(しーっ。)Andy: Sometimes the louder we are, the less we’re heard.
(声が大きいほど、かえって聞いてもらえないこともあるんですよ。)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
I get to ~ は「〜する権利がある・〜させてもらえる」で、So I get to pick! は「だから選ぶのは私」と自分の言い分を言い切る形です。グロリアは、家で過ごす時間の長さを理由に挙げています。
アンディの Sometimes the louder we are, the less we’re heard. は、the + 比較級, the + 比較級(〜すればするほど…)の形です。主語を we にしているので、グロリア一人を責めるのではなく、誰にでも当てはまる話として伝わります。Sometimes を頭に置いて言い切りを避けているのも、角を立てない工夫と言えます。グロリアの言い分そのものは否定していない点も見逃せません。
相手をいさめるとき、You’re too loud. と言えば非難に聞こえますが、we を主語にした一般論にすると、相手が受け入れやすくなります。
「You’re frustrated right now, aren’t you?」で気持ちを確かめる
続けてアンディは、グロリアに問いかけます。
Andy: You’re frustrated right now, aren’t you?
(今、すごくもどかしいんですよね?)Gloria: Yes.
(ええ。)Andy: Because you feel like they’re not hearing you.
(自分の話を聞いてもらえてないと感じるから。)Gloria: Yes.
(そうよ。)Andy: Well, that’s exactly how they feel.
(それって、まさに向こうも同じ気持ちなんですよ。)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
You’re frustrated right now, aren’t you? は、文末に aren’t you? を付けた付加疑問です。相手の気持ちを決めつけるのではなく、「そうですよね?」と確かめる形にしているので、相手は Yes. と答えるだけで済みます。frustrated は、思いどおりにならずにもどかしい、いらいらする気持ちを表します。
次の Because you feel like ~ で気持ちの理由まで言葉にし、最後に that’s exactly how they feel で、同じ気持ちを相手側に置き換えて見せます。アンディの問いに、グロリアは2回とも Yes. と答えています。相手が「はい」と答えやすい問いを重ねてから、視点を入れ替える一言を置く順序がポイントです。「向こうも同じ気持ちだ」と言われるより、先に自分の気持ちを認めてもらったほうが、相手の立場に目を向けやすくなると言えます。
この直後、グロリアの口から出てくるのは謝罪と約束です。
Gloria: I’m sorry that I ignored your feelings.
(気持ちを無視してごめんなさい。)Gloria: I promise that I will try not to yell so much.
(そんなに怒鳴らないようにするって約束する。)Jay: You’re hired.
(採用だ。)Modern Family Season5 Episode6 (The Help)
I’m sorry that I ignored your feelings. は、何について謝るのかを that 以下で具体的に示す謝り方です。I promise that I will try not to ~ は「〜しないよう努めると約束する」で、try を挟むことで、できる範囲の約束として響きます。それを聞いたジェイの口から、You’re hired. が出てきます。
| 表現 | 働き |
|---|---|
| if it eases your mind at all | 控えめに安心材料を差し出す |
| the louder we are, the less we’re heard | 一般論の形でいさめる |
| You’re frustrated, aren’t you? | 気持ちを言葉にして確かめる |
| that’s exactly how they feel | 相手の立場に置き換える |
まとめ|気持ちを言葉にすると、話の向きが変わる
if it eases your mind で不安を受け止め、the louder we are, the less we’re heard でいさめ、You’re frustrated right now, aren’t you? で気持ちを確かめます。アンディの言葉からは、言い合いを責めずに収める順序が見えてきます。
この場面を観返すと、言葉ひとつで空気が変わる様子が見えてきます。
ペッパーとの打ち合わせや、ジェイがアンディに断りを伝える場面の英語は、同じ回のほかのコラムで扱っています。


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