海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
言いにくい話を目の前にして、なかなか本題に踏み込めず、つい周辺の話ばかりしてしまった経験はありませんか。
そんな核心を避けた話し方にぴったりの「dance around something」を、『モダンファミリー』シーズン3第23話の中盤、対立が何より苦手だと打ち明けるフィルの一言から、一緒に見ていきましょう。
「dance around something」の意味とニュアンス
dance around something
意味:核心を避けて遠回しに話す
dance around somethingは、言いにくい話題や本題そのものに踏み込まず、遠回しな言い方に終始することを表す口語表現です。何か(の周り)でdance(踊る)という文字どおりの動きが、話題の中心には近づかず、その周辺をぐるぐると回り続ける態度の比喩になっています。
話し方の技巧そのものよりも、核心を避け続けている態度そのものに焦点がある点が特徴です。気まずい話題、別れ話、クレームや反対意見など、直接切り出しにくい内容を持て余しているときに使われる表現で、話し手自身が本当は分かっているのに踏み込めていない、というニュアンスを含んでいます。
一度だけ話をそらすのではなく、同じ話題の周りを何度も回り続けている継続的な様子を表す点も見逃せません。聞き手からすると、なかなか核心にたどり着かない相手のじれったさを表現するときにも使いやすい言い回しです。
【ここがポイント!】
- 核は「話題の周りをぐるぐる回って中心には近づかない」というイメージ
- 話し方の技巧より、核心を避け続ける態度そのものに焦点がある
- 別れ話やクレームなど、言いにくい本題を持て余す場面で使うのがコツ
『モダンファミリー』S03E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルがコーヒーを2つ手にミッチェルを訪ねてきた場面です。まばたきの多さをミッチェルに指摘されたフィルは、自分が対立を何より苦手にしていることを語り始めます。
Mitchell: How– how long have you been standing here? Are– are you– are you all right?
(ど、どのくらいそこに立ってたんだ? だ、大丈夫なのか?)Phil: Oh, yeah.
(ああ、平気だよ。)Mitchell: ‘Cause you’re– you’re really blinking.
(だって、す、すごいまばたきしてるから。)Phil: I’m a stress blinker, um, and what really gets me going is confrontation. I hate it. I-I avoid it at all costs. Terrible at it. Once, I, uh, I tried to break up with a girl, and I danced around it so much, she didn’t know I had broken up with her.
(俺、ストレスでまばたきしちゃうタイプなんだよ。で、一番こたえるのが対立なんだ。大嫌いなんだよ。なんとしても避けたいくらいでさ。本当に苦手なんだ。昔、ある女の子と別れようとしたことがあるんだけど、あまりにも遠回しに話しすぎて、彼女は俺に振られたことに気づいてなかったんだ。)Modern Family Season3 Episode23 (Tableau Vivant)
シーン解説と心理考察
ミッチェルに様子を尋ねられたフィルは、最初こそ「平気だよ」と取り繕おうとしますが、まばたきの多さを指摘されると、自分がストレスでまばたきしてしまうタイプであることをあっさり認めます。
そこから続くのが、対立が何より苦手だという話と、過去に女性と別れようとした際のエピソードです。あまりにも遠回しに話しすぎて相手が振られたことに気づいていなかったという顛末には、深刻な話題を軽妙な失敗談として語ってしまうフィルらしさが表れています。対立を避け続ける性格が、コミカルながらも率直に描かれている場面と言えます。
「大嫌いだ」「なんとしても避けたい」と立て続けに強い言葉を重ねながらも、結末は本人の意図とは裏腹に相手へ伝わっていなかったというオチにたどり着く流れには、深刻さとおかしみが同居する独特の温度感があります。自分の弱点を隠さずさらけ出しながら笑いに変えてしまう語り口が、このやり取り全体を軽やかなものにしています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
dance around ~は、核心という中心のまわりをぐるぐると踊りながら回り続けている様子をイメージすると覚えやすくなります。
フィルが語った別れ話のエピソードも、まさに別れという核心には踏み込まず、その周りを回り続けた結果でした。中心には決して足を踏み入れず、周辺だけを回り続けているイメージを持っておくと、似たような話しぶりに出会ったときにすっと言葉が浮かんでくるはずです。踏み出せば一歩で済むところを、何周も遠回りしてしまう感覚だと考えると、フィルの人柄ともつながりやすくなります。
例文で覚える「dance around something」
会議での話題回避から個人的な質問のかわし方まで、dance around somethingを3つの例文で確認していきましょう。
Stop dancing around the issue and tell me what really happened.
(問題を遠回しに避けるのはやめて、本当に何があったのか教えて。)
相手に本音を求める場面です。stopと命令形を組み合わせることで、はっきりさせたい気持ちが強調されます。
I wish politicians would stop dancing around the real problems.
(政治家たちが本当の問題を遠回しに避けるのをやめてくれたらいいのに。)
社会的な話題を語る場面で使える言い方です。real problemsのように具体的な対象を添えると、何を避けているのかが伝わりやすくなります。
A: Are we going to talk about the budget cuts?
B: The manager keeps dancing around it in every meeting.
(A:予算削減について話すの?)
(B:マネージャーは毎回の会議でその話題を避けて回ってるよ。)
会議での話題回避を話すビジネスの場面です。every meetingを添えることで、繰り返し避けられている様子が伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
beat around the bush
(遠回しに言う、要点を避ける)
beat around the bushは話し方そのものが回りくどいことに重点がある表現で、dance around somethingは話題自体を避けることに重点がある点が異なります。前置きが長いか、話題そのものに触れないかという違いを意識すると、使い分けがしやすくなります。
skirt an issue
(問題を避けて通る)
skirtは「(問題の)ふちを歩く」というイメージの表現で、dance around somethingより静的な回避のニュアンスを持っています。ぐるぐると動き続けるイメージか、ふちに沿って歩くイメージかという違いです。
sidestep a question
(質問をかわす)
sidestepは一度きりの「かわす」動作を指すのに対し、dance around somethingは同じ話題の周りを継続的に回り続けるニュアンスが強い表現です。
Note|「周りで踊る」から「核心を避け続ける」への転義
dance around somethingという表現の面白さは、文字どおりの動きがそのまま比喩として使われている点にあります。
dance around ~を文字どおりに読めば、何か(の周り)で踊るという動作を表しているにすぎません。しかしこの表現が実際に使われるのは、ダンスとは無関係な、言いにくい話題を避け続ける場面です。中心にあるものには決して触れず、その周りだけをくるくると回り続けている様子が、本題に踏み込めずにいる話し方とぴったり重なることから、この比喩がそのまま使われるようになった表現です。目的語にはthe issueやthe question、itのような、避けている対象を表す語が続くのが基本の形です。
フィルが語った別れ話のエピソードも、まさに別れという核心の周りを回り続けた結果でした。文字どおりの動作から生まれた比喩だと知っておくと、この表現のイメージがより鮮明になります。
同じように動作が比喩化した表現は英語にほかにも見られますが、dance around somethingの場合は「踊る」という軽やかな動きが選ばれている点が独特です。深刻な話題を避けているはずなのに、どこか軽快な響きを持つこの言い回しには、話し手の気まずさをやわらかく表現する働きも感じられます。
周りを回っているだけなのか、中心に踏み込んでいるのか、その違いを意識してみましょう。
まとめ|核心の周りを回り続ける話し方
dance around somethingは、言いにくい話題の核心を避けて、遠回しな言い方に終始することを表す口語表現です。
別れ話や会議での話題回避など、本題になかなか踏み込めない状況を語るときに、会話にすっと馴染む言い回しです。
対立が何より苦手だと打ち明けたフィルの別れ話エピソードには、深刻な話題を軽妙な失敗談に変えてしまう、彼らしい人柄がにじんでいました。踏み込むべき場面と、そうでない場面を見極める難しさも、このやり取りから伝わってきます。表現の引き出しに加えてみてください。


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