社交辞令の「何か力になれることがあれば」を本気にされたら、英語で何と言う?|『モダンファミリー』S06E09で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 社交辞令の「何か力になれることがあれば」を本気にされたら、英語で何と言う?|『モダンファミリー』S06E09で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン6第9話では、ミッチェルの職場の新しい友人ブレンダが、ミッチェルとキャメロンの家に泊まることになります。きっかけは、ミッチェルが口にした「何か力になれることがあれば」というひと言でした。

社交辞令のつもりの申し出を、相手がそのまま受け取ってしまうことがあります。この回の騒動は、そんな行き違いから始まります。断りたい側と背中を押す側、2人の電話のやりとりから、それぞれの言い方を見ていきます。

目次

「I thought we had something」——予定を口実にした言い逃れ

ミッチェルが電話でブレンダを泊められないか尋ねると、キャメロンは迷わず引き受けます。続いてミッチェルが口にしたのは、次の言葉でした。

Mitchell: Oh, shoot and darn it! I thought we had something.
(ああ、しまった、残念! 何か予定があると思ってたんだけどな。)

Cameron: Mitchell, I know what you’re doing.
(ミッチェル、何をしてるかお見通しだよ。)

Mitchell: Ahh, there’s no way we can reschedule, huh?
(ああ、予定をずらすなんて無理だよね?)

Cameron: Fight your instincts.
(自分の本能に逆らうんだ。)

Cameron: This is a chance for you to show some real compassion.
(本当の思いやりを見せるチャンスなんだから。)

Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)

shoot と darn it は、どちらも汚い言葉を避けた軽い「しまった」です。ここでは残念がる口調をつくる役目を果たします。

続く I thought we had something. の have something は「何か予定がある」という意味の口語です。「予定があったはず」と言えば、自分の気持ちではなく都合の問題として断れます。さらに there’s no way we can reschedule, huh? と、ずらせない予定があるかのように話を進めます。there’s no way ~ は「〜する方法はない」、つまり「とても無理」という強い否定です。

ところがキャメロンは I know what you’re doing. と、その狙いを見抜きます。「何をしているか分かっている」という言い方は、相手の芝居や言い逃れを指摘するときに使われることが多い表現です。続く Fight your instincts. は「本能と戦え」が直訳で、つい逃げたくなる気持ちを抑えるよう促す一言になっています。

最後の This is a chance for you to ~ は「これは〜するチャンスだ」と、気の進まないことを前向きな機会として言い換える形です。断る理由を探す側と、それを機会と呼ぶ側の言葉が、短い往復の中で対照的に並んでいます。

「I didn’t mean it」——口先だけだったと打ち明ける

このあとミッチェルは、申し出をしたいきさつをこう説明します。

Mitchell: I-I asked her if there was anything I could do to help.
(な、何か力になれることはあるかって、彼女に聞いたよ。)

Mitchell: But I I didn’t mean it.
(でも、ぼ、僕は本気じゃなかったんだ。)

Mitchell: Nobody ever means it.
(あんなの、本気で言う人なんていないよ。)

Cameron: Mitchell, you want this growth in your life.
(ミッチェル、君は本当はこういう成長を望んでるんだよ。)

Cameron: That’s why you asked her.
(だから彼女に聞いたんだ。)

Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)

if there was anything I could do to help は「何か私にできることがあれば」と申し出るときに使われる形です。つらい状況にある人への気づかいとして口にされることが多く、ここではその申し出が、泊めてほしいという実際の頼みになって返ってきたことになります。

I didn’t mean it. は「本気で言ったんじゃない」と、自分の発言を取り消すときの言い方です。mean には「本気で言う」という意味があり、Nobody ever means it. は「誰もそんなこと本気では言わない」と、話を一般論に広げた形です。これはミッチェルの持論で、社交辞令だったという言い分を、自分だけではないと示して守ろうとする言い方と読み取れます。

これに対してキャメロンは、That’s why you asked her. と理由を言い当てる形で返します。「だから聞いたんでしょ」と相手の行動の動機を先回りして示す言い方で、言い訳をそのまま認めない姿勢が伝わってきます。直後には You’re just scared.(怖がってるだけさ)とも続け、口先だけかどうかの議論を、ミッチェル自身の気持ちの話へと移していきます。

「a completely hollow offer」と言葉遊びで電話を切り上げる

キャメロンの言葉に、ミッチェルは No, no と否定から入ります。ただし、その途中で話の調子が変わります。

Mitchell: No, no, it was a completely hollow offer and — yeah, that — that’s right.
(いやいや、完全に口先だけの申し出で——ああ、そう、そのとおり。)

Mitchell: Okay, George and Wendy Hollowoffer.
(じゃあ、ジョージとウェンディのホロウオファー夫妻ね。)

Mitchell: Dinner at 7:30.
(夕食は7時半。)

Mitchell: Okay, bye-bye.
(じゃあね、バイバイ。)

Cameron: You need this, and I need something nice to write about you in our Christmas letter.
(君にはこれが必要だし、僕もクリスマスレターに君のいい話を書きたいんだ。)

Mitchell: I love you, too.
(僕も愛してるよ。)

Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)

hollow は「中が空っぽの」という意味で、a hollow offer は「中身のない申し出」、つまり口先だけの申し出を指します。a hollow promise(口先だけの約束)、hollow words(うわべだけの言葉)のように、言葉と気持ちが伴っていないことを表すときに使われる形容詞です。

面白いのは、その直後に George and Wendy Hollowoffer と、hollow offer をそのまま人の名字のように言い換えている点です。夕食の時間を確かめて電話を終えるような言い方が続くため、まるで夫婦との食事の約束を話していたかのように聞こえます。英語の言葉遊びとして、音の近さを生かした切り返しと言えます。

キャメロンの Christmas letter は、年末に家族の近況をまとめて知人に送る手紙のことで、家庭によって習慣は異なると言われます。そこに書ける「いい話」がほしいという冗談まじりの理由で、もう一度背中を押しているのが分かります。ミッチェルの I love you, too. は、キャメロンの言葉に直接は答えずに電話を締めくくる一言として置かれています。

まとめ|口先だけの申し出をめぐる英語

anything I could do to help という申し出、I didn’t mean it や a hollow offer という打ち明け方、I know what you’re doing や This is a chance to ~ という押し返し方が並びます。社交辞令ひとつをめぐって、断る側と励ます側の言葉がはっきり分かれる場面です。

申し出の重さを意識しながら、これからも『モダンファミリー』の会話を楽しんでいきましょう。

同じ回で頼みごとの切り出し方やソファへの思い入れを扱ったコラム、一つひとつの表現を掘り下げたフレーズ記事も読むと、2人の家での騒動がより立体的に見えてきます。

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