海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分のやり方や好みを少し脇に置いて、大切な人の楽しみに付き合ってみた経験はありませんか。
そんな気持ちを表す「get out of one’s comfort zone」を、『モダンファミリー』シーズン6第9話の中盤、グロリアとマニーの会話の中で、マニーがジェイについて語る一言から、一緒に見ていきましょう。
「get out of one’s comfort zone」の意味とニュアンス
get out of one’s comfort zone
意味:慣れた居心地のいい範囲から出る、殻を破る
get out of one’s comfort zone は、慣れていて安心できる状態から外へ出て、不慣れなことに取り組むときの表現です。comfort zone は、慣れていて気持ちが落ち着く範囲のことで、場所だけでなく、習慣や考え方、普段のやり方まで含みます。get out of は「〜から出る」なので、全体で「いつもの範囲の外へ出る」という意味になります。
one’s の部分には、主語に合わせた所有格が入ります。自分なら get out of my comfort zone、相手なら get out of your comfort zone、ジェイのように男性の第三者なら get out of his comfort zone です。作中のセリフでは、ジェイの慣れた範囲が話題なので、his になっています。
新しい環境に飛び込むとき、苦手なことに挑戦するときに使うのが基本です。ほかにも、今回のシーンのように、大切な人に合わせて自分の慣れた範囲を広げる場面にも使えます。挑戦の大きさは問われず、日常の小さな一歩にも、大きな決断にも当てはまります。
「誰のために」を加えたいときは、for you のように for を続けます。get out of his comfort zone for you で、「相手のために、慣れた範囲を出る」という形になります。
【ここがポイント!】
- 「get out of one’s comfort zone」の核は、慣れた安心できる範囲から外へ出る動き
- one’s は主語に合わせて my / your / his / her などに変わる
- for を続けると、「誰のために範囲を出るのか」を加えられる
『モダンファミリー』S06E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
グロリアが、ジェイに連れて行かれた場所について、マニーにこぼす場面です。マニーは、ジェイなりの事情を推し量って、母親の気持ちをなだめようとします。グロリアの感想が続いたあと、マニーが最後にどう言葉を返すかに注目です。
Gloria: I don’t know why Jay would take me to this place.
(どうしてジェイは私をあんな所へ連れて行ったのかしら。)Manny: I don’t know. Maybe this dog stuff is his way of trying to find a common interest with you. It’s hard. You don’t like golf or scotch or Eisenhower documentaries.
(さあ、どうだろう。あの犬の件は、ジェイなりにお母さんとの共通の趣味を見つけようとしてるのかもしれないよ。難しいんだ。お母さんは、ゴルフもスコッチもアイゼンハワーのドキュメンタリーも好きじゃないから。)Gloria: It’s true. I don’t like Ike. But the people in this party, they are so obsessed with dogs. Even the punch bowl was in the shape of a toilet.
(その通りよ。アイクは好きじゃないわ。でも、このパーティーの人たちは犬に夢中すぎるの。パンチボウルまでトイレの形だったのよ。)Manny: Well, it’s not like Jay doesn’t get out of his comfort zone for you.
(でもさ、ジェイだって、お母さんのために慣れた居心地のいい範囲から出てないわけじゃないんだよ。)Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)
シーン解説と心理考察
グロリアの最初の一言は、ジェイの意図が読めないという戸惑いから始まります。「どうしてあんな所へ連れて行ったのか」というこぼし方で、会話の主題がジェイの行動の理由に置かれます。
マニーは、その疑問に「さあ、どうだろう」と断ったうえで、犬の件は共通の趣味を探すジェイなりのやり方かもしれない、と答えます。ゴルフ、スコッチ、アイゼンハワーのドキュメンタリーは、どれもグロリアの好みではありません。ジェイの側から見れば、共通の趣味を見つけるのは簡単ではない、とマニーは整理してみせます。
グロリアは「アイク(アイゼンハワー)は好きじゃないわ」と認めたうえで、それでもパーティーの人たちは犬に夢中すぎると打ち明けます。パンチボウルがトイレの形だったという具体例を挙げていて、戸惑いの中身が細かく描かれています。
そこでマニーが返すのが、get out of his comfort zone の一言です。it’s not like Jay doesn’t という二重否定で、ジェイだって慣れた範囲を出ているんだよ、と念を押す形になっています。責める言い方ではなく、ジェイの動きをやわらかく擁護する言い方が印象的です。グロリアの不満を受け止めつつ、ジェイの側の努力にも目を向けさせる、間に立つマニーの役回りが見える会話です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
get out of one’s comfort zone は、居心地のいい部屋から、扉を開けて外へ一歩出る絵で覚えてみましょう。部屋の中には、慣れた椅子と、いつもの明かりがあります。そこから外へ出ると、少し不安ですが、新しいものに出会えます。
マニーのセリフで、部屋の外へ出ているのはジェイです。自分の慣れた範囲を出て、グロリアの側へ歩み寄る。その動きを、扉の外へ踏み出す絵に重ねて get out of his comfort zone を読むと、意味が体に入りやすくなります。
覚えるときは、部屋の扉と、そこから出る一歩をセットにします。comfort は「心地よさ」、zone は「範囲」なので、心地よい範囲の外へ出ると考えれば、単語の並びのままで意味が取れます。
例文で覚える「get out of one’s comfort zone」
挑戦や新しい環境の場面で使える get out of one’s comfort zone を、3つの例文で確認していきましょう。
Moving abroad forced me to get out of my comfort zone.
(海外に引っ越して、慣れた環境から出ざるをえなくなった。)
環境が変わった経験を語る場面です。forced me to のあとに続けると、外へ出るしかなかった状況が伝わります。
A: Why did you sign up for the public speaking class?
B: I wanted to get out of my comfort zone.
(A:どうして人前で話す講座に申し込んだの?)
(B:慣れた範囲の外に出たかったの。)
新しい挑戦の理由を話す会話です。want to のあとに続けると、自分から外へ出ようとする意志を示せます。
The new project pushed the whole team out of its comfort zone.
(新しいプロジェクトで、チーム全体が慣れ親しんだやり方を離れることになった。)
職場で、変化を振り返るビジネスの場面です。one’s の部分が、主語の the whole team に合わせて its に変わっています。
あわせて覚えたい関連表現
step out of one’s comfort zone
(慣れた範囲から一歩出る)
step out of は「一歩踏み出す」という小さな動きが感じられます。get out of は、範囲の外へ出るところまでを表す言い方です。
break out of one’s shell
(殻を破る、内気さを克服する)
break out of one’s shell は、人見知りや内気さといった内面の殻を破る場面で使われます。get out of one’s comfort zone は、内気さに限らず、慣れたやり方全般から出る場面に使えます。
push the envelope
(限界に挑む、従来の枠を超えようとする)
push the envelope は、限界や既存の枠を押し広げる挑戦を指します。get out of one’s comfort zone は、自分の慣れた範囲から出ることに重点があります。
Note|get out of / step out of / break out of の違い、範囲から出る3つの言い方
get out of one’s comfort zone のほかにも、「範囲から出る」を表す言い方があります。ここでは、動詞の違いに着目して、3つの言い方の使い分けを整理します。
まず get out of は、範囲の外に出るところまでを表します。out of の前の get が「〜の状態になる」という変化の意味を持つので、「範囲の中にいた状態から、外へ出た状態になる」という切り替えの感覚が出ます。comfort zone と組み合わせて、いちばん基本の形として使えます。
step out of は、step が「一歩」を表すので、小さな一歩を踏み出す感覚が加わります。大きな決断ではなく、少しだけ範囲の外へ足を出すときに向いています。
break out of は、break が「壊す」を表すので、閉じた枠や殻を破って出る動きになります。break out of one’s shell のように、殻という閉じたものから出るときに使います。comfort zone にも使えますが、破って出るという力強さが加わります。
この3つは、動作の大きさと、何から出るのかで選び分けます。マニーのセリフの get out of は、そのなかでもいちばん中立的な言い方です。
まず基本の get out of を押さえたうえで、一歩か脱出かで動詞を選び分けると、ニュアンスの差を出せます。
まとめ|慣れた範囲から、相手のほうへ一歩
get out of one’s comfort zone は、慣れて安心できる範囲から外へ出て、不慣れなことに取り組むときの表現です。one’s は主語に合わせて変わり、for を続ければ「誰のために」を加えられます。
新しい環境や挑戦の場面だけでなく、相手に合わせて自分の慣れたやり方を広げる場面にも使えます。動詞を step や break に替えると、動きの大きさも表し分けられます。
グロリアの戸惑いを受け止めながら、ジェイの側の動きにも目を向けさせたマニーの一言は、この表現の使いどころがよく見える一場面でした。自分の慣れた範囲の外へ出る話題のときに、会話の引き出しに加えてみてください。


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