「It’s not just a couch」——モノへの思い入れと「人より大事?」をめぐる英語|『モダンファミリー』S06E09で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「It's not just a couch」——モノへの思い入れと「人より大事?」をめぐる英語|『モダンファミリー』S06E09で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン6第9話で、ミッチェルとキャメロンの家にやってくるのが、新しいソファです。2人はこのソファを大切にし、ミッチェルの職場の新しい友人ブレンダが泊まりに来た晩も、その扱いをめぐって話し合います。

物への愛着は、英語ではどう言葉にできるのか。買った理由の言い換え方から「ただの〜じゃない」という言い方まで、ソファをめぐる2人の会話を順に追っていきます。

目次

「a wedding gift to ourselves」——買った理由を言い換える

新しいソファについて、キャメロンとミッチェルはこう説明します。

Cameron: It was a wedding gift to ourselves.
(結婚のお祝いに、自分たちへ贈ったんだ。)

Mitchell: Plus, we’re showing Lily that we trust her enough to let us have one nice thing.
(それに、いい物をひとつくらい持たせてくれるって、リリーを信頼してることを示せるしね。)

Cameron: When you think about it like that, – it’s really a gift for Lily.
(そう考えると、これは本当はリリーへの贈り物なんだよね。)

Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)

a gift to ourselves は「自分たちへの贈り物」で、treat yourself(自分にごほうびをあげる)と近い感覚の言い方です。高い買い物をしたときに、自分を納得させる言葉として使われることがあります。

one nice thing は「いい物をひとつ」です。子育て中の家庭で、自分たちのための物をひとつくらい、という気持ちを込めて使える表現です。

面白いのは、キャメロンが When you think about it like that, と前置きして、自分たちへの贈り物を「リリーへの贈り物」(a gift for ~)へと言い換えている点です。「そう考えると」は相手の理屈に乗って結論を変えるときの便利なつなぎで、ここでは買い物の理由づけがどんどん広がっていく様子が伝わってきます。

日常でも When you think about it like that, it’s actually a good deal.(そう考えると、実はお買い得だよね)のように、見方を変えて結論を言い直す場面で使えます。2人はさらにこう付け加えます。

Mitchell: That’s why we got her the couch.
(だから、あの子のためにソファを買ったんだ。)

Cameron: To teach her about respect.
(物を大切にする心を教えるためにね。)

Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)

That’s why ~ で結論を示し、To ~. の不定詞だけで目的を添える形です。ミッチェルの文をキャメロンが引き取って完成させており、2人で1つの説明を組み立てているのが分かります。会話では、相手の文の続きとして To ~ だけを言う省略がよく見られます。

「Who loves a thing more than a person?」——モノと人を比べる問い

ブレンダが泊まりに来た晩、話の流れの中で彼女はこんな問いを口にします。

Brenda: Who who loves a thing more than a person?
(人より物を愛するなんて、ど、どんな人?)

Mitchell: A monster.
(人でなしだね。)

Cameron: Have we shown you our shed?
(物置はもう見せたっけ?)

Mitchell: There’s a shed.
(物置があるんだよ。)

Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)

love A more than B は「BよりAを愛する」で、a thing と a person を並べることで、物と人のどちらを優先するかという問いになっています。Who ~? の形で答えを求めずに投げかける問いは、「そんな人はいない」「そんな人はひどい」という気持ちを込めた反語として使われることが多く、ここでもその響きがあります。似た意味の言い方に choose A over B(BよりAを選ぶ)もあり、優先順位を問う場面で使われます。

ミッチェルの A monster. は名詞ひとつの返事で、「そんなのは怪物だ」、つまり「人でなしだ」と強く同意する言い方です。のちにソファを守ろうとする2人の姿を思うと、この即答には少し皮肉な響きも感じられます。

続くキャメロンの Have we shown you ~? は「もう〜を見せたっけ?」と、家の案内を申し出るときの現在完了の形です。物と人の話題から急に物置の話に移るため、会話の流れを変える一言として働いているとも読み取れます。ミッチェルの There’s a shed. はその問いを受けて物置があることを告げる返事で、2人の言葉がそろって物置の話へ向かっていきます。

「It’s not just a couch」——思い入れを言葉にする

ブレンダが泊まった晩の騒動のあと、ミッチェルは自分たちの行動をこう振り返り、キャメロンが言い返します。

Mitchell: All to protect a couch.
(全部、ソファを守るためだったんだ。)

Cameron: It’s not just a couch.
(ただのソファじゃない。)

Cameron: Our one nice thing.
(僕たちの、たったひとつのいい物なんだ。)

Cameron: The last seven years have been about sticky countertops and horsy shower curtains and childproof locks.
(この7年間は、べたべたのカウンターと、お馬さん柄のシャワーカーテンと、チャイルドロックばっかりだったんだから。)

Modern Family Season6 Episode9 (Strangers in the Night)

All to ~ は「すべては〜のため」という言い方で、ここでは「たかがソファのために」という自省の響きを帯びています。

これに対するキャメロンの It’s not just a couch. が、この回の思い入れを最もよく表す一言です。It’s not just a ~. は「ただの〜ではない」と、見た目以上の意味があることを伝える形で、It’s not just a job.(ただの仕事じゃない)、It’s not just a game.(ただの試合じゃない)のように幅広く使えます。

さらに Our one nice thing. で、冒頭の会話にも出てきた one nice thing をもう一度使っているのが印象的です。続く The last seven years have been about ~ は「この7年間は〜ばかりだった」と、現在完了で積み重ねてきた時間を語る形です。べたつくカウンターやチャイルドロックといった生活の細部を並べることで、ソファがそれとは別の存在だという気持ちがにじみます。

なお childproof は「子どもが開けられない」という意味で、childproof lock は引き出しや戸棚を子どもが開けないようにする留め具を指します。-proof は waterproof(防水の)と同じく「〜を防ぐ」を表す語尾です。

まとめ|モノへの思い入れを伝える英語

a gift to ourselves、When you think about it like that、love A more than B、そして It’s not just a ~ を取り上げました。物を買った理由から、物と人を比べる問い、愛着の伝え方まで、1つのソファをめぐる会話の中に詰まっていることが分かります。

身の回りの大切な物を語るときの言い回しとして、これからも『モダンファミリー』の会話を楽しんでいきましょう。

頼みごとの切り出し方や口先だけの申し出を扱った同じ回のコラム、フレーズ記事とあわせて読むと、この回の2人の会話がさらに味わい深く見えてきます。

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