海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン6第20話では、キャメロンがボウリングリーグの決勝に臨み、ジェイもそのチームに加わります。決勝の相手チームには、キャメロンが以前から張り合ってきたマーティンがいます。
「ライバル」は日本語にもなっている言葉ですが、英語には rival をさらに強めた archrival という語もあります。二つの違いと、張り合う相手どうしが交わす皮肉まじりの英語を見ていきます。
「rival」と「archrival」の違い
出かける前の会話で、キャメロンは決勝にかける思いを口にします。聞き慣れない名前に、グロリアがすぐ反応します。
Cameron: We need to win so I can stick it to that smug Martin Sherman.
(勝たなきゃ。あのいけ好かないマーティン・シャーマンに一泡吹かせてやるんだ。)Gloria: Who’s Martin Sherman?
(マーティン・シャーマンって誰?)Cameron: Only my archrival.
(僕の宿敵、ってだけだよ。)Jay: I thought your rival was that blond Christmas caroler.
(お前のライバルは、あの金髪のクリスマスキャロルの奴だと思ってたがな。)Modern Family Season6 Episode20 (Knock ‘Em Down)
rival は「競争相手」「張り合う相手」を広く指す語です。これに「最高位の」「筆頭の」を表す接頭辞 arch- が付いた archrival は、数いるライバルの中でも特別な「宿敵」を指します。Only my archrival. の only は「ただの」という意味ですが、ここでは大ごとをあえてさらりと言う調子になっていると読み取れます。
stick it to ~ は「〜に一泡吹かせる」「〜をやり込める」というくだけた言い方で、smug は「得意げで鼻につく」という、相手への反感がこもった形容詞です。どちらも、ただ勝ちたいだけでなく、特定の相手を負かしたいという気持ちを表す言葉で、張り合う相手について話すときによく耳にする組み合わせと言えます。
続く会話では、ミッチェルがキャメロンの「ライバル」の多さに触れます。
Mitchell: Cam has lots of rivals especially if you count that bag boy.
(キャムにはライバルがたくさんいるんだよ。あの袋詰め係まで数に入れるならなおさらね。)Cameron: I told you never say his name.
(あいつの名前は絶対に言うなって言ったよね。)Mitchell: I didn’t say his name.
(名前なんて言ってないよ。)Mitchell: I don’t know his name.
(名前、知らないし。)Cameron: It’s Todd.
(トッドだよ。)Cameron: Always putting my canned goods on top of my produce.
(いつも僕の缶詰を野菜の上に載せるんだ。)Cameron: I’d like to squash his squash.
(あいつのカボチャ(squash)をつぶして(squash)やりたいよ。)Modern Family Season6 Episode20 (Knock ‘Em Down)
lots of rivals と複数形で言えるのが rival で、archrival はその頂点にいる一人というイメージです。名前を言うなと言った本人が自分で名前を明かしてしまう流れも、笑いどころになっています。最後の squash は「つぶす」と「カボチャ」をかけた言葉遊びです。ジェイが思い出す相手、ミッチェルが挙げる相手、そしてマーティンと、キャメロンには張り合う相手が何人もいることが分かり、その中でマーティンだけが archrival と呼ばれている点に、二つの語の違いがよく表れています。
あいさつの形を借りた皮肉の応酬
ボウリング場では、そのマーティンが自分からキャメロンに声をかけてきます。
Martin: Hello, Cameron.
(やあ、キャメロン。)Martin: I thought I smelled failure and cheap hair spray.
(負けの匂いと安物のヘアスプレーの匂いがすると思ったよ。)Cameron: Oh, hello, Martin.
(おや、どうも、マーティン。)Cameron: You’re looking unwell.
(具合が悪そうだね。)Martin: Could you do that thing you did last year where you lose and then you try and throw a chair but not realize it’s bolted down and wrench your back and then curse at me while I wave a trophy in your big red face?
(去年のあれをまたやってくれないか? 負けて、椅子を投げようとしたら床に固定されていて、腰を痛めて、僕が君の真っ赤な顔の前でトロフィーを振っている間に僕に悪態をつく、あれだよ。)Martin: Could you?
(やってくれるかい?)Modern Family Season6 Episode20 (Knock ‘Em Down)
二人とも、まずは Hello, ~. と相手の名前を呼ぶ普通のあいさつから入ります。ところが、すぐに続く言葉は皮肉です。I thought I smelled ~ は「〜の匂いがすると思った」という形で、相手が来たことを匂いにたとえて当てこする言い方になっています。
キャメロンの You’re looking unwell. は、本来なら相手の体調を気づかう表現です。それをあいさつ直後に言うことで、「顔色が悪いね」と相手をけなす返しになっているのが面白いところです。
マーティンの Could you do that thing you did last year ~? は、丁寧な依頼の Could you ~? を使いながら、相手が去年見せたという失態を並べる挑発です。最後に Could you? と念を押すことで、丁寧な形と中身の意地悪さの落差がいっそう際立ちます。言葉の上では礼儀を守りながら、互いに一歩も引かない二人の関係が伝わってきます。
挑発をいなす言い方と、張り合う気持ちの一言
長い挑発を受けたキャメロンは、こう返します。
Cameron: Boy, look at you.
(おやおや、見てごらんよ。)Cameron: You’re all worked up.
(すっかり熱くなっちゃって。)Modern Family Season6 Episode20 (Knock ‘Em Down)
Boy は驚きや感嘆を表す間投詞で、「おやおや」に近い響きがあります。look at you は文字どおりには「自分を見てごらん」ですが、相手の様子を指摘するときの前置きとして使われます。be all worked up は「すっかり興奮している」「いきり立っている」という意味です。相手の挑発に正面から言い返すのではなく、「そんなに熱くなって」と相手の状態を指摘してかわす返し方と言えます。
この二人のやりとりのあと、ジェイはキャメロンに次のように告げて、試合に出ることを引き受けます。
Jay: I’ll do it.
(やってやる。)Jay: I don’t like that guy.
(あいつは気に食わん。)Modern Family Season6 Episode20 (Knock ‘Em Down)
I’ll do it. は「やるよ」「引き受ける」と、その場で決めたことを伝える短い言い方です。理由として添えられる I don’t like that guy. は飾りのない一言で、ジェイのぶっきらぼうな口ぶりがよく出ています。like を否定する形は、嫌いな理由を細かく説明しなくても、相手への気持ちをはっきり示せる言い方です。二人の応酬のすぐあとに出た一言で、マーティンへの印象がそのまま言葉になった場面と読み取れます。
| 表現 | 伝わる意味 |
|---|---|
| rival | 競争相手、張り合う相手 |
| archrival | 宿敵、いちばんのライバル |
| stick it to ~ | 〜に一泡吹かせる |
| You’re looking unwell. | 具合が悪そうだね(皮肉にも使える) |
| You’re all worked up. | すっかり熱くなっているね |
まとめ|ライバルの呼び方と、言葉の応酬
rival と、その中でも特別な相手を指す archrival。さらに stick it to ~ や You’re looking unwell.、You’re all worked up. のように、丁寧な形を借りた皮肉や挑発のかわし方まで、一つの対決の前後に集まっていることが分かります。
張り合う相手どうしの言葉の駆け引きにも注目しながら、『モダンファミリー』の英語を楽しんでいきましょう。
写真をめぐるジェイの英語や、夜のお出かけの予定を伝える英語は、同じ回のほかのコラムで、ひとつひとつの表現はフレーズ記事で扱っています。


コメント