海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン9 第18話から、同じ語を重ねて言い直す英語を取り上げます。運転中のラージにクレアから電話がかかり、really がやたらと増えていく場面が舞台です。たった一語の副詞が、会話をどんどん脱線させていきます。
言葉が空回りするおかしさの中に、口語の相づちや同意の表現がぎっしり詰まっています。ひとつずつほどいていきましょう。
「a real really, not a fake really」reallyが増殖する自己訂正
場面はラージの車の中です。電話に出ると、相手はクレアでした。近況を聞かれた返事が、思わぬ方向に転がります。
Raj: Hi. I’m good. Really good. Well, I don’t know why I said really good. I’m just regular good. I really just wanted to sound confident. And that really was a real really, not a fake really like the first really.
(やあ。元気だよ。本当に元気。いや、なんで「本当に」って言ったのか分からないな。ただの元気なんだ。ただ自信がありそうに聞こえさせたくてさ。それで、今の「本当に」は本物の「本当に」で、最初の「本当に」みたいな偽物の「本当に」じゃないから。)Claire: Really?
(本当に?)TBBT Season9 Episode18
I’m good. Really good. と勢いで答えたあと、本人がその really を気にし始め、I’m just regular good.(ただの元気)と格下げの言い直しが入ります。regular は「ふつうの」という口語です。
極めつきが a real really, not a fake really です。副詞の really をひとつの品物のように扱い、real(本物の)と fake(偽物の)で仕分けています。文法の枠を外れた言い方だからこそ、動転ぶりが伝わってくる場面です。
I lost track(途中で分からなくなった)とこぼし、高速の出口まで逃してしまうのが序盤のオチと言えます。
「I swear I know other words.」同意の語を積み上げる
クレアの用件は、交際相手と結局うまくいかなかったという知らせでした(things didn’t work out の work out は「うまくいく」)。受けたラージの口から、また really が出ます。
Raj: Really? I’m sorry. I swear I know other words.
(本当に?残念だったね。誓って言うけど、僕は他の言葉も知ってるから。)Claire: So if you were still interested.
(だから、もしまだその気があるなら。)Raj: Yes. Indeed. Absolutely. Indubitably. I’m not even sure what the last one means, but it’s another word, and I know it. So, uh, when do you want to meet up?
(うん。いかにも。もちろん。疑いなく。最後のやつは意味もよく分かってないんだけど、別の言葉だし、僕が知ってる言葉なんだ。それで、ええと、いつ会いたい?)TBBT Season9 Episode18
I swear ~ は「誓って〜だ」と本気度を添える前置きです。同じ語しか出てこない自分への言い訳に使われているのが笑いどころです。
クレアの誘いは、あとを言い切らない言いさしの形です。返事は Yes. Indeed. Absolutely. Indubitably. の四連発。最後は本人も意味に自信のない indubitably(疑いなく)まで到達します。
indubitably はかなり改まった響きの語とされ、ここで飛び出すと大げささが際立ちます。
「to be completely honest」正直の前置きと、言い当ての切り出し
約束へ進む前に、ラージは今の行き先を白状します。
Raj: Right now, well, well, actually, to, to be completely honest, I’m stopping by to see my ex-girlfriend because she’s having a tough time. But it’s not like we’re getting back together or anything.
(今は、その、ええと、実は、正直に、正直に言うと、元恋人がつらい思いをしてるから、ちょっと会いに寄るところなんだ。でも、よりを戻すとかそういうんじゃないから。)Claire: Let me guess, the worst part about breaking up is that she doesn’t have her best friend to talk to any more?
(当ててみようか。別れていちばんつらいのは、話し相手だった親友がもういないこと、でしょ?)TBBT Season9 Episode18
to be completely honest は「正直に言うと」という前置きで、言いにくい内容の前に置かれます。
it’s not like ~ or anything は「べつに〜とかじゃない」と先回りで打ち消す口語です。
クレアの Let me guess, ~ は「当ててみようか」という切り出しです。ラージはまさにその言葉を聞いたばかりだと驚き、クレアはこれを page one out of the playbook(作戦帳の1ページ目)と呼びました。playbook を送ってほしいと返すオチまで付きます。
まとめ|言い直しにも口語の型がある
今回は、a real really, not a fake really の自己訂正から、同意の語の四連発、to be completely honest、Let me guess まで、同じ語を重ねながら転がっていく英語を見てきました。
完璧な一文でなくても会話は前に進む、ということがこの通話から見えてきます。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでもあわせて扱っています。


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