「give ~ the benefit of the doubt」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S09E18で学ぶ英会話

「give ~ the benefit of the doubt」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

相手を疑いそうになったとき、「いや、まだ決めつけるのは早いかも」と、いったん信じる側に立ってみようとした経験はありませんか。

そんな心の動きを表す「give ~ the benefit of the doubt」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第18話の終盤、車の中で電話越しに、元恋人を信じるべきか揺れるラージのシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「give ~ the benefit of the doubt」の意味とニュアンス

give ~ the benefit of the doubt
意味:(確証がないなら)善意に解釈する/疑わしきは信じてあげる

証拠が十分でないとき、相手を悪く決めつけず、信じる側に立ってあげる態度を表します。直訳は「疑いの利益を与える」です。

doubt(疑い)から生まれる有利さ(benefit)を相手に渡す、という発想で、もともとは法廷の考え方が下敷きにあるとされています。「黒だと言い切れないなら、白の側に置いておく」という判断の保留が核にあります。

give(自分が与える)、get(自分が受ける)、deserve(受けるに値する)といった動詞と組み合わせて使うのが定番です。誰が誰を信じる側なのかは、この動詞の選び方で決まります。

【ここがポイント!】

  • 核は「確証がないなら、悪く決めつけず信じる側に立つ」こと
  • 法廷の「疑わしきは」という発想が下敷きにあるとされる表現
  • give/get/deserveのどれと組むかで、信じる側・信じられる側が変わる

『ビッグバン★セオリー』S09E18のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

復縁をほのめかしてきた元恋人エミリーを信じるべきか、ラージは迷っています。電話の相手であるクレアは「彼女はあなたを操ろうとしている」と忠告しますが、ラージはそれでもエミリーを信じたい気持ちを手放せません。

Raj: I’ve known Emily a long time, and I think she deserves the benefit of the doubt.
(エミリーとは長い付き合いだし、彼女のことは善意に解釈してあげるべきだと思うんだ)

Claire: All right, it’s your life. But you know how this is gonna end.
(分かった、あなたの人生だもの。でも、どうなるかは分かってるでしょ)

The Big Bang Theory Season9 Episode18(The Application Deterioration)

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シーン解説と心理考察

ラージのthe benefit of the doubtという言葉は、一見すると寛容で大人びた態度に聞こえます。けれども、その判断が願望に引っ張られていることが、会話の流れからにじむ場面です。長い付き合いを理由に挙げてはいるものの、実際には「信じたい」という気持ちが先にあって、それを正当化する言葉として持ち出されています。

クレアの”you know how this is gonna end”という静かな一言が、会話の温度を変えています。結末が見えているのに踏み込もうとするラージと、それを冷静に見透かすクレア。二人の温度差が、この短いやりとりに表れています。

寛容さを示すはずのフレーズが、流されやすさを覆い隠す言葉にもなりうる。ラージの優しさと脆さが、この一言に重なっています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

法廷の場面を思い浮かべてみましょう。証拠が足りず、有罪とも無罪とも言い切れない。そんなとき、その「疑わしさ」から生まれる有利さを、被告人の側に置いてあげる。天秤がどちらにも傾かないなら、信じるほうの皿にそっと重りを足す、というイメージです。

劇中のラージは、この天秤をエミリーに有利な側へ傾けようとしていました。証拠ではなく願望で重りを足してしまう危うさとセットで覚えると、「確証がないから信じる」というこのフレーズの核が、生きた形で記憶に残ります。

例文で覚える「give ~ the benefit of the doubt」

相手をかばう場面から、信じた末に裏切られる場面まで、人間関係のいろいろな局面で登場します。3つの場面で感覚をつかみましょう。

He was late again, but I’ll give him the benefit of the doubt this time.
(彼はまた遅刻したけど、今回は善意に受け取っておくよ)
相手のミスを責める前に、一歩引いて事情を汲む場面です。giveを使った最も基本的な形です。

New employees deserve the benefit of the doubt.
(新入社員には善意に解釈してあげる余地があるべきだ)
deserveと組み合わせた形です。「まだ判断材料が足りないのだから、頭ごなしに評価しない」という寛容さを示せます。

A: I can’t believe she forgot to call back.
B: Maybe something came up. Let’s give her the benefit of the doubt.
(A:折り返しの電話を忘れるなんて信じられない)
(B:何かあったのかもよ。善意に解釈してあげようよ)
誰かを責めかけている相手を、いったん落ち着かせる場面です。会話の中でなだめ役として自然に機能します。

あわせて覚えたい関連表現

give someone a pass
(大目に見る/見逃してあげる)
「とがめずに済ませる」寄りの表現です。give ~ the benefit of the doubtは「証拠がないから信じる」という判断の保留が核で、ニュアンスが少し違います。

take someone’s word for it
(〜の言葉を信じる)
相手の発言をそのまま受け入れる表現です。疑いの有無に関わらず使える点が、benefit of the doubtとは異なります。

innocent until proven guilty
(有罪と証明されるまでは無罪)
法の原則そのものを表す定型句です。give ~ the benefit of the doubtは、この原則を日常の人間関係に応用した表現だと捉えると、つながりが見えてきます。

Note|法廷から日常へ広がった「疑わしきは」の発想

このフレーズには、法廷の論理が日常会話へと染み出してきた歴史があるとされています。

背景にあるのは、「疑わしきは被告人の利益に」という法の原則です。証拠が有罪を確実に示せないなら、被告人を罰しない――この考え方は、ラテン語のin dubio pro reo(疑わしきは被告人のために)という形で古くから法の世界に根づいてきたと言われています。give ~ the benefit of the doubtは、この「確証がないなら不利に扱わない」という法廷の発想を、人と人とのやりとりに持ち込んだ表現とされ、19世紀頃には一般的な言い回しとして広まっていったと考えられています。法廷では被告人と検察のあいだの判断でしたが、日常では友人や同僚を相手に、「決めつける前にいったん信じてみよう」という寛容さの言葉として使われるようになりました。厳格な法の論理が、人間関係をやわらげる優しい一言へと姿を変えていったわけです。

この来歴を知ると、ラージが元恋人に向けたthe benefit of the doubtが、本来は冷静な判断保留のための言葉だった、という対比も浮かび上がってきます。

法廷の天秤が、日常の会話の中で静かに揺れている表現と言えます。

まとめ|決めつける前の「いったん信じる」を一言で

give ~ the benefit of the doubtは、確証がないときに相手を悪く決めつけず、信じる側に立ってあげる態度を表す表現です。「疑いの利益を相手に渡す」という発想を押さえると、意味がつかみやすくなります。

人を疑いそうになったとき、この一言を思い出せると、関係を急いで壊さずに済む場面が増えます。give・get・deserveの使い分けを意識すれば、誰が誰を信じる側なのかも自在に表現できます。

相手を信じるかどうか迷ったとき、いったん天秤を傾ける言葉として、表現の引き出しに加えてみてください。

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