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『モダンファミリー』シーズン2第9話には、ヘイリーの家庭教師やディランが、クレアとフィルをどう呼ぶかが話題になる場面がいくつもあります。「Mrs. Dunphy」のままか、「クレア」と名前で呼ぶかというやり取りから、子どもの友人や恋人が親をどう呼ぶかという、英語圏の呼び方の習慣が見えてきます。
今回はこの回の場面を起点に、Mr. や Mrs. を使った呼び方と、名前で呼ぶことの意味を見ていきます。
「Ms. Dunphy」と「Mrs. Dunphy」、家庭教師とディランの呼び方
話の冒頭、ヘイリーの勉強を見ている家庭教師のデビッドが、クレアに様子を報告します。
David: Haley’s coming along really well, Ms. Dunphy.
(ヘイリーはすごく順調に伸びてますよ、ダンフィーさん。)Claire: Good! The key is to take a lot of little breaks so you don’t get frustrated and want to quit.
(よかった! コツは、イライラして投げ出したくならないように、こまめに休憩を取ることよ。)Haley: Got it.
(了解。)Claire: I was talking to David.
(デビッドに言ったのよ。)Modern Family Season2 Episode9 (Mother Tucker)
デビッドはクレアを Ms. Dunphy と呼んでいます。クレアの助言を自分への言葉と受け取ったヘイリーに、クレアが「デビッドに言ったの」と返すやり取りも、この場面の見どころです。
一方、ヘイリーと別れたあとに荷物を取りに来たディランは、クレアとこんな会話をします。
Claire: Hi, Dylan.
(こんにちは、ディラン。)Dylan: Hi, Mrs. Dunphy.
(どうも、ダンフィーさん。)Claire: Mmm.
(ええ。)Dylan: Or I guess now that Haley and I broke up, I should call you Claire.
(あ、ヘイリーと別れたんだから、もうクレアって呼ぶべきかな。)Claire: I actually think we’re gonna stick with Mrs. Dunphy.
(実は、このまま「ダンフィーさん」でいこうと思うの。)Claire: Come on in.
(入って。)Claire: How you doing?
(調子はどう?)Modern Family Season2 Episode9 (Mother Tucker)
ディランは、交際相手の母親だったクレアを Mrs. + 姓 で呼んでいます。別れた今なら名前で呼ぼうかとディランが言うと、クレアは stick with ~(〜のままでいく)を使って、呼び方を変えないと答えます。stick with ~ は「〜を変えずに続ける」という意味で、Let’s stick with the plan.(計画どおりでいこう)のように、呼び方以外の話題でも幅広く使われます。
英語圏では、子どもや若者が友だちの親を Mr. や Mrs. に姓を付けて呼ぶ家庭が多いと言われます。ただし、どこまで丁寧に呼ぶかは地域や家庭、世代によって異なり、親のほうから「名前で呼んで」と言うこともあります。
| 呼び方 | 一般的な使われ方 | 劇中の例 |
|---|---|---|
| Mr. + 姓 | 男性 | ディランがフィルに Mr. Dunphy |
| Mrs. + 姓 | 既婚の女性(伝統的な使い方) | ディランがクレアに Mrs. Dunphy |
| Ms. + 姓 | 既婚・未婚を問わない女性 | デビッドがクレアに Ms. Dunphy |
Ms. は相手が既婚か未婚かに触れずに使えるため、学校や仕事の場面で広く使われる呼び方とされています。デビッドとディランの呼び方の違いは台本の中では話題になっていませんが、同じ相手でも Ms. と Mrs. の両方が聞ける場面と言えます。
Mr. や Mrs. の後ろには姓を置くのが基本で、名前に付けて呼ぶのは一般的ではないとされます。ただし地域によっては、Miss に名前を付けて年上の女性を呼ぶ習慣があるとも言われ、呼び方の細かな作法は一つに決まっていません。
初対面で呼び方に迷ったときは、相手に直接尋ねるのが自然なやり方です。
- A: What should I call you?
(何とお呼びすればいいですか?) - B: Oh, just call me Linda.
(リンダでいいわよ。)
名前で呼ぶことを許すフィルと、「Mrs. Dunphy」と呼ぶフィル
クレアとは対照的に、フィルはディランにこう応じます。
Phil: Dylan! Aw, Dylan, Dylan, Dylan, Dylan.
(ディラン! ああ、ディラン、ディラン、ディラン、ディラン。)Dylan: Hey, Mr. Dunphy.
(どうも、ダンフィーさん。)Phil: Hey, now that you guys are broken up, you can call me whatever you want.
(なあ、君たちは別れたんだから、俺のことは好きに呼んでいいぞ。)Phil: Phil, Vitamin P, P-Daddy.
(フィルでも、ビタミンPでも、Pダディでも。)Dylan: Okay, Phil.
(じゃあ、フィル。)Phil: Okay.
(よし。)Modern Family Season2 Episode9 (Mother Tucker)
you can call me ~ は「〜と呼んでいいよ」と呼び方を許すときの決まった言い方です。フィルはおどけたあだ名まで並べてみせますが、ディランが選ぶのは「フィル」という名前です。Vitamin P や P-Daddy のように名前の頭文字を使ったあだ名は、英語の会話で冗談めかして使われることがあります。同じ「別れたのだから」という理由から、クレアは呼び方を変えず、フィルは名前で呼ぶことを勧めるという違いが、2つの場面を並べると分かります。
ディランとフィルの台詞は、どちらも now that ~(〜したからには、〜した今となっては)で別れたことに触れています。状況が変わったことを理由に何かを提案するときの形で、同じ理由づけから正反対の答えが返ってくるのが面白いところです。
英語圏では、大人同士や親しい間柄ではファーストネームで呼び合うことが多いとされ、子どもの友だちにも最初から名前で呼んでもらう家庭があります。敬称で呼ぶか名前で呼ぶかは、相手との距離感を示すものとして受け取られることもあると言われます。
後の場面では、フィル自身がクレアを Mrs. Dunphy と呼ぶ一言もあります。
Dylan: If you want, you can have some of that.
(よかったら、それ少しどうぞ。)Phil: Diet starts tomorrow! Don’t tell Mrs. Dunphy about this either.
(ダイエットは明日から! これも“ダンフィー夫人”には内緒な。)Modern Family Season2 Episode9 (Mother Tucker)
ここでの Mrs. Dunphy は、フィルがディランとの会話の中でクレアを指して使った呼び方です。話し相手が普段使っている呼び方で第三者を指すことは、英語の会話ではよく見られます。
同じクレアでも、デビッドからは Ms. Dunphy、ディランからは Mrs. Dunphy と呼ばれています。話し手によって呼び方が変わる点に注目すると、登場人物どうしの関係も見えやすくなります。
まとめ|呼び方に表れる距離感
Mr.・Mrs.・Ms. に姓を付ける呼び方と、you can call me ~ で名前呼びを許す言い方を見てきました。どの呼び方を選ぶかは家庭や地域によって異なり、同じ家の中でも親によって答えが分かれることが、クレアとフィルの対比から読み取れます。
呼び方ひとつにも人間関係が映る点に注目して観ると、この回の会話がいっそう面白く見えてきます。
この回のほかのコラムやフレーズ記事と読み比べると、登場人物それぞれの英語の個性がより見えてきます。


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