海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン11 第12話から、触れられたくない話題を避けるために、相手へ助けを頼む英語を取り上げます。結婚式の準備を進めるエイミーが、友人たちとの集まりを前にシェルドンへある作戦を持ちかけます。
事前の頼み方、合図の決め方、そして本番での使い方まで、二人のやり取りを順に追っていきます。会話の段取りを英語で伝えるヒントが詰まった場面です。
「help me change the subject」で事前に助けを頼む
二人きりの場面で、エイミーはまず、今夜は友人たちと結婚式の計画の話をするのを避けたいと切り出します。理由は、花嫁の付添人の代表であるメイド・オブ・オナーを、ペニーとバーナデットのどちらに頼むか決めかねていることでした。
Amy: Penny is my best friend, but I was Bernadette’s maid of honor, and I think she kind of expects it. So if anyone brings it up tonight, just maybe you can help me change the subject.
(ペニーは私の親友よ。でも私はバーナデットのメイド・オブ・オナーを務めたし、彼女はそれを少し期待していると思うの。だから今夜、誰かがその話を持ち出したら、話題を変えるのを手伝ってもらえるかしら。)TBBT Season11 Episode12
change the subject は「話題を変える」。bring it up は「(その話を)持ち出す」で、itは直前の付添人選びの件を指しています。help me + 動詞の原形 で「〜するのを手伝って」となり、just maybeを添えることで頼み方がやわらかくなっています。
if anyone brings it up と条件を先に示してから頼む順序もポイントです。どんな場面で何をしてほしいのかが一文で伝わるため、事前の打ち合わせらしい頼み方と言えます。kind of expects itのkind ofも、断定を避けて「少し」とぼかす働きをしています。
この頼みに、シェルドンは自分なりの案を出します。
Sheldon: How about this? I dominate the conversation so hard, no one has a chance to get a word in edgewise.
(こういうのはどうだ?僕が会話を徹底的に独占して、誰にも口を挟む隙を与えない。)Amy: I don’t know. They might see that coming. What if we have a code word?
(どうかしら。見抜かれるかもしれないわ。合言葉を決めるのはどう?)TBBT Season11 Episode12
get a word in edgewise は「口を挟む」で、no oneやcan’tといった否定の形とともに使われることが多い表現です。エイミーは see that coming(それを予想する)で案をやんわり退け、What if we ~? で別の案を出しています。相手の案を否定しきらずに代案へつなぐ流れが分かります。I don’t know.も、ここでは「分からない」というより、賛成しきれない気持ちを控えめに示す前置きとして働いています。
「code word」を決めて本番で使う
合言葉をめぐって、シェルドンはcatamaranという語を「language」の代わりに使う自分の合言葉だと言います。エイミーがそれを二人の合言葉にしようとすると、シェルドンは自分のものだから別のを考えるよう返します。そこでエイミーが決めたのが、次の一言です。
Amy: Okay. Uh, pretzels. You hear me say pretzels, you change the subject.
(いいわ。ええと、プレッツェル。私がプレッツェルと言ったら、話題を変えて。)TBBT Season11 Episode12
You hear me say ~, you ~. は、ifを使わずに「〜と聞こえたら、〜して」と条件と指示を並べた言い方です。会話では、このように接続詞を省いて手順を短く伝える形も見られます。合図の言葉と、聞こえたときの動きをセットで決めておくのが、この作戦の要です。
ところがシェルドンは、すぐに、サイは動物園でいちばん嫌いな動物だと話し始めます。エイミーが戸惑うと、もう始まったと思ったと答えるのが、この場面のおかしみです。
別の場面、友人たちが集まったハワードの家では、ハワードが、バーナデットが結婚式の下調べをしていると話し、エイミーが遠慮します。それに続くやり取りがこちらです。
Howard: She wants to. After all, you were her maid of honor.
(本人がやりたいんだよ。何しろ、君は彼女のメイド・オブ・オナーだったからさ。)Amy: Sheldon, tell your funny story about pretzels.
(シェルドン、プレッツェルの面白い話をしてあげて。)TBBT Season11 Episode12
話題が付添人の件に近づいたところで、エイミーは合言葉を自然な頼みの形に埋め込んでいます。tell your funny story about ~ は「〜の面白い話をしてあげて」と、話題を振る形です。一方のシェルドンは、結婚式でプレッツェルを出そうと考えているという話を始めて合言葉そのものを話題にしてしまい、サイと取り違えたうえで席を立とうとします。合図は覚えやすさだけでなく、使い方まで共有しておかないと働かないことが伝わってくる場面です。
まとめ|頼む・決める・使う
今回は、help me change the subjectで事前に助けを頼み、What if we have a code word?で合図を提案し、You hear me say ~, you ~.で使い方を決める流れを見てきました。段取りを英語で伝えられると、気まずい場面への備えを相手と共有しやすくなります。
息の合わない作戦会議も、二人らしいやり取りとして楽しめる回です。
この回のほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、付添人選びの騒動がより立体的に見えてきます。


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