海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第11話で、キャメロンはリリーのバレエ発表会で娘のソロを見られなかった一件を引きずっています。そこへ、その原因を作った保護者らしき女性が姿を見せます。姪のヘイリーとアレックスも、その場に居合わせています。
「あの人に違いない」と思っても、確証がなければ動けません。疑いを口にする、根拠の薄さを指摘する、別人だと打ち明ける。相手が誰かを確かめるときの英語を、場面ごとに見ていきます。
「You don’t even know it’s her.」と止められる
キャメロンは、ヘイリーとアレックスがいる店で、前の晩の発表会のことをこう語ります。
Cameron: That horrid woman robbed me of my proud daddy moment and forced me to lie to my daughter.
(あのひどい女のせいで、父親として誇らしい瞬間を奪われたうえに、娘に嘘までつく羽目になったんだ。)Cameron: You danced beautifully, Lily!” But did she? I have no idea!
(「リリー、きれいに踊れてたよ!」って。でも本当にそうだった? 僕には分からないんだ!)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
rob A of B は「AからBを奪う」で、物だけでなく機会や瞬間にも使えます。my proud daddy moment は「父親として誇らしく思えるはずだった瞬間」、forced me to lie は「嘘をつかざるを得なくさせた」という意味です。ソロを見られなかったので、娘を褒めた言葉が本当かどうか自分でも分からない、という嘆きです。
Haley: Why didn’t you smack her down last night? With words, obviously.
(なんでゆうべ、その人をやり込めなかったの? もちろん言葉でね。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
smack down は本来「たたきのめす」ですが、ヘイリーは「With words, obviously.」と添えて、言葉でぴしゃりと言い返す意味に限定しています。obviously を最後に添えることで、手を出すわけではないと念を押す補足になっているのが面白いところです。
その女性のほうへ向かおうとするキャメロンを、アレックスが呼び止めます。
Alex: Hey! Get back here! You don’t even know it’s her.
(ちょっと! 戻って! その人だって分かってもいないでしょ。)Alex: You’re basing this off of the back of the head of someone you saw in the dark.
(暗い中で見た誰かの後ろ頭だけを根拠にしてるんだよ。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
You don’t even know it’s her. の even は「〜すら」と強める語で、「本人だと確かめてもいない」と行動の前提を突く言い方になります。base A off of B は「AをBに基づかせる」で、「何を根拠にしているの?」と問い返すときに便利です。後ろ頭しか見ていないという具体的な指摘が、根拠の薄さをはっきり伝えています。
本人に聞くか、確証をつかむか
ヘイリーは、まず本人に確かめればいいと提案します。キャメロンの答えは慎重です。
Haley: Just go ask her if she was at the recital, and then tell her off if she says yes.
(発表会にいたか聞いてくればいいじゃん。そうだって言ったら文句を言えばいいし。)Cameron: No, I can’t, because if it’s her, she’ll sense confrontation coming and deny it.
(いや、できない。もし本人なら、責められる気配を察して否定するに決まってる。)Cameron: People can always tell when I’m in attack mode.
(僕が攻撃態勢に入ると、みんなすぐに気づくんだ。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
ask her if ~ の if は「〜かどうか」で、相手に事実を確かめる質問を組み立てる基本の形です。Just go ~ は「とにかく〜してくれば」と気軽に行動を促す形で、tell someone off は「人をしかりつける、はっきり文句を言う」を表します。
キャメロンの if it’s her は「もし本人なら」という仮定です。sense ~ coming は「〜が来るのを察する」で、confrontation は「対決、詰め寄ること」を指します。直接聞けば否定(deny)されるだけだという読みが、次の手を考えるきっかけになっています。
そこでキャメロンは、確かめ方を変えようとします。
Cameron: Well, if there’s video of Lily’s recital on her iPad, then I know it’s for sure her, and plus, I can e-mail it to myself and have a proper viewing party.
(彼女のタブレットにリリーの発表会の動画があれば、間違いなく本人だって分かるし、おまけにそれを自分にメールして、ちゃんと鑑賞会もできる。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
for sure は「確実に、間違いなく」で、it’s for sure her は「確かに彼女だ」と確信を表します。if there’s ~, then … は「〜があれば、それで…だ」と、確証を得る条件を示す組み立てです。and plus で「おまけに」と自分の得まで付け加えるところに、キャメロンらしさが伝わってきます。
「I knew it.」と「I’m not Ana.」
その後、キャメロンはリチャードという男性になりすまして、アナという女性と向かい合っています。アナの子どももダンスを習っていると聞いたところで、キャメロンは切り出します。
Cameron: I knew it.
(やっぱりな。)Cameron: You’re the worst!
(最低だよ!)Ana: Excuse me?
(何ですって?)Cameron: I’m not Richard, you fool.
(僕はリチャードじゃない、おばかさん。)Cameron: I’m the father you and your giant iPad robbed of his daughter’s first ballet solo.
(あんたとその巨大なタブレットに、娘の初めてのバレエのソロを奪われた父親さ。)Cameron: I hope whatever reason you had to prioritize your child over mine was a good one, and now that I hear it, it’s pretty close, I have to admit, but still.
(僕の子より自分の子を優先した理由が、ちゃんとしたものならいいけどね。聞いてみたら、まあ悪くない理由だって認めるしかないけど、それでもさ。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
I knew it. は、疑っていたことが当たったと分かった瞬間のひと言です。You’re the worst! は「最低!」と相手を強く非難する言い方で、親しい間柄では冗談めかして使われることもありますが、ここでは抗議として向けられています。
続く I’m not Richard. で、自分が別人を装っていたことを明かします。prioritize A over B は「BよりAを優先する」で、I have to admit, but still は「認めざるを得ないけれど、それでも」と、相手の事情を一部認めつつ自分の言い分を残す言い回しです。
一方のヘイリーも、アナとして話していた相手のリチャードに正体を告げます。
Haley: Okay, I’ve got to stop you right there.
(はい、そこでストップ。)Haley: I’m not Ana, and this isn’t happening.
(私はアナじゃないし、この話はなし。)Richard: I had a feeling.
(そんな気がしてたよ。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
I’ve got to stop you right there は相手の話を途中で止めるときの言い方で、this isn’t happening は「この流れはここまで」と打ち切る一言です。リチャードの I had a feeling. は「薄々そう思っていた」と返す表現で、人違いを明かされた側の返しとして覚えておけます。
まとめ|疑いを確かめて、正体を明かす英語
You don’t even know it’s her. で前提を問い、ask her if や for sure で確かめ方を考え、I knew it. や I’m not ~. で決着をつける流れです。相手が誰かをめぐる会話の運び方が、作戦の場面から見えてきます。
次回も『モダンファミリー』と一緒に、場面ごとの英語を味わっていきましょう。
大学見学で交わされる励ましの英語や、結婚式の食卓での謝罪の英語は、同じ回のほかのコラムで扱っています。


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