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『モダンファミリー』シーズン8第11話では、フィルとグロリアが、高校最後の年を迎えたルークとマニーの大学見学に付き添います。フィルはルークを元気づけようと、見学のあいだ、前向きな言葉をかけ続けます。合否への不安を抱えるルークに、その言葉はどう届くのでしょうか。
励ましの言葉は、受け取る側の状況によって重荷にもなります。声をかける側と受け取る側、それぞれの英語を並べると、似た二つの表現の違いも見えてきます。
フィルがかけ続ける励ましの言葉
見学に出かける前、フィルは今回の顔ぶれをこう説明します。
Phil: Luke and I, Gloria, and Manny are going on a college tour! Safety school for Manny, long shot for Luke, which hasn’t been great for his self-esteem.
(俺とルーク、グロリアとマニーで大学見学に行くんだ! マニーには滑り止め、ルークにはダメもとの挑戦校。おかげであいつの自信はあまり上向いてない。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
safety school は合格の見込みが高い出願先、long shot は「見込みの薄い挑戦」を指します。self-esteem は「自尊心、自己肯定感」です。同じ大学が、二人にとってまったく違う位置づけになっているのが分かります。
キャンパスツアーでは、案内係のステフィが入学の厳しさを伝えます。
Stefi: Admission has gotten tougher.
(入学審査は年々厳しくなっています。)Stefi: Only about 4 out of 10 applicants get accepted.
(合格するのは、志願者10人のうち4人ほどです。)Luke: Ugh.
(うわあ。)Phil: You’ve beaten worse odds than that.
(お前はもっと厳しい確率を乗り越えてきただろ。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
odds は「見込み、確率」で、beat the odds は「不利な見込みをくつがえす」という意味で使われます。フィルはその比較級 worse odds を使い、「それより悪い条件でもやってきた」と励ましています。合格率を聞いて声を漏らしたルークに、明るい言葉で応じるのがフィルらしいところです。
鐘の演奏を習うという話が出たときも、フィルの言葉は変わりません。
Luke: What? I’m gonna learn all this in three months?
(え? これを3か月で全部覚えろってこと?)Phil: You’re a quick study! Look at how fast you learned magic.
(お前は覚えが早いだろ! 手品だってあっという間に覚えたじゃないか。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
a quick study は「物覚えの早い人」を表す名詞の表現で、study が「勉強」ではなく「覚える人」を指す点に注意が必要です。Look at how fast ~ は「どれだけ早く〜したか見てみろ」と、過去の成功を証拠として示す形です。ルークの「3か月で全部?」という驚きにも、フィルは迷わず「できる」と返しています。
「one more thing I can’t do」という本音
励まされ続けたルークは、マニーに本音をこぼします。
Luke: Like I want to take some stupid bell class so we can all find out there’s one more thing I can’t do.
(くだらない鐘の教室なんか行きたくないよ。僕にできないことがまた一つあるって、みんなに分かるだけだし。)Manny: Oh, boo-hoo.
(はいはい、泣き言ね。)Manny: Your dad believes in you.
(君のお父さんは君を信じてるじゃないか。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
文頭の Like I want to ~ は「〜したいわけないだろ」という反語のくだけた言い回しです。one more thing I can’t do は「できないことがもう一つ」で、挑戦するほど失敗が増えていくという不安がにじみます。
マニーの boo-hoo は泣き声をまねた語で、相手の嘆きを軽くからかうときに使われます。believe in ~ は「〜の力を信じる」で、believe ~ (話を信じる)とは違い、人の可能性を信じるときに使います。マニーは、父親に信じてもらえていること自体を指摘して、ルークの嘆きを受け流しています。
二人の言い合いは、やがてそれぞれの不安の打ち明けに変わります。
Manny: Well, why’d you even come here if you’re so sure you can’t get in?
(じゃあ、入れないってそんなに確信してるなら、なんでここに来たのさ?)Luke: I don’t know.
(分かんないよ。)Luke: Maybe because this is the one place we might both get in, that might make this whole thing a little less scary!
(たぶん、ここなら二人とも入れるかもしれなくて、そうしたら全部がちょっとは怖くなくなるからだよ!)Manny: Well, that’s the only reason I applied, too!
(それなら、僕が出願したのもそれだけが理由だよ!)Luke: Then why are we fighting?!
(じゃあ、なんでケンカしてるんだよ?!)Manny: I don’t know!
(知らないよ!)Luke: So, are we still going to the party?
(で、パーティーには行くの?)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
if you’re so sure ~ は「そんなに〜だと確信しているなら」と相手の思い込みを突く問いかけです。a little less scary は「少しは怖くなくなる」で、不安を消すのではなく和らげたいという気持ちを表します。
Then why are we fighting?! は、理由が同じだと分かった瞬間に、言い争う意味がなくなったと気づく一言です。最後の So, are we still going to the party? で、二人はいつもの調子に戻ります。励まされる側にも、同じ不安を抱える仲間がいると分かるのが、この場面の見どころです。
「cheer on」と「pump up」はどう違う?
一方、フィルはグロリアに自分の気持ちを話します。
Phil: I just wanted Luke to feel good about himself, you know? Cheer him on a little.
(ルークに自信を持ってほしかっただけなんだ。ちょっと応援してやりたくてさ。)Gloria: Maybe there is such a thing as too much cheerleading.
(応援も、やりすぎってことがあるのかもしれないわよ。)Gloria: You tell him he can do anything, and when he can’t, he feels like he’s disappointing you.
(あなたが何でもできるって言うから、できなかったとき、あの子はあなたをがっかりさせてるって感じるの。)Phil: Luke knows I’d never be disappointed in him.
(ルークは、俺があいつにがっかりなんてしないって分かってるさ。)Gloria: Does he? Luke is very sweet, but he doesn’t know a lot of things.
(そうかしら? ルークはすごくいい子だけど、分かってないことも多いわよ。)Phil: So I’m supposed to pump him up, but not so much that he’s afraid to let me down.
(つまり、あいつを盛り上げてやらなきゃいけないけど、俺をがっかりさせるのが怖くなるほどじゃだめってことか。)Modern Family Season8 Episode11 (Sarge & Pea)
フィルの言葉には、似た二つの表現が出てきます。違いを整理すると次のようになります。
| 表現 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| cheer someone on | 声援を送る | 相手の挑戦をそばで応援する |
| pump someone up | 気持ちを盛り上げる | 自信ややる気を外から注ぎ込む |
| disappoint someone | 人をがっかりさせる | 相手の期待に届かない |
| let someone down | 人の期待を裏切る | 頼りにされた分だけ重く響く |
cheer on は応援する側の動きに重心があり、pump up は相手の気持ちを高める結果に重心がある、と考えると区別しやすくなります。グロリアの too much cheerleading は、応援の量そのものを問題にした表現と言えます。
disappointing you と disappointed in him は同じ動詞でも向きが逆で、前者はルークが父をがっかりさせる側、後者はフィルがルークにがっかりする側を表します。be supposed to ~ は「〜することになっている、〜すべきだとされている」で、not so much that ~ は「〜になるほどではなく」と程度に線を引く形です。フィルの最後の一言は、助言を自分の言葉で言い直して確かめる形で、励ましの加減の難しさが伝わってきます。
まとめ|励ます側の加減を表す英語
You’ve beaten worse odds、a quick study といった励ましの言葉と、one more thing I can’t do という本音、そして cheer on・pump up・let down の違いを見てきました。励ます側と受け取る側のずれを言葉にできるようになります。
『モダンファミリー』の親子のやり取りを、これからも一緒に味わっていきましょう。
相手が本人かどうか確かめる英語や、結婚式での謝罪の英語は、同じ回のほかのコラムで読めます。


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