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今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン11 第9話から、「I’m not mad」と言い張る相手への返し方を取り上げます。レナードが以前ペニーに譲ったノートパソコンを、ペニーが元恋人のザックに渡していたと分かり、二人のあいだで小さな言い合いが始まります。
怒っていないと言う相手に、どう指摘し、どう本音を引き出すのか。二人きりの場面と、ザックを交えた場面から順に見ていきます。
「I’m not mad」と「Tell that to your eyebrows」
二人きりの場面で、ペニーが先に口を開きます。
Penny: I cannot believe you’re mad.
(怒ってるなんて信じられない。)Leonard: I’m not mad.
(怒ってないよ。)Penny: Oh, really? Tell that to your eyebrows. Bet I could place a quarter between them, and it would just stay there.
(へえ、そう?その眉毛に言ってみなよ。眉と眉のあいだに25セント玉を挟んでも、そのまま落ちないと思うけど。)TBBT Season11 Episode09
mad は、アメリカ英語のくだけた会話では「怒っている」の意味で使われる語です。レナードの I’m not mad. は短い否定だけで、理由の説明は添えていません。
ペニーはまず Oh, really? と受け流し、否定をそのまま信じていないことを示します。続く Tell that to ~ は「それを〜に言ってみなよ」という形で、相手の言葉と食い違う証拠を突きつける皮肉の言い方です。ここでは眉を証拠にし、25セント硬貨が挟まりそうだと誇張しています。言葉より表情を根拠にする指摘の仕方が面白いところです。相手を責める言葉を使わずに、否定が通らないことだけを伝えています。
指摘を受けたレナードは、次の発言で認めます。
Leonard: Fine, I’m mad. I guess I was more upset by our breakup than you.
(分かったよ、怒ってる。たぶん、僕たちが別れたとき、君より僕のほうが落ち込んでたんだと思う。)Penny: That is not true. Of course I was upset.
(そんなことない。私だって落ち込んでたに決まってるでしょ。)TBBT Season11 Episode09
Fine, を前に置くと「分かったよ」と、押し切られて認める響きになります。I’m not mad. から Fine, I’m mad. へ、同じ語のまま否定が肯定に変わる流れが分かります。
レナードはここで upset も使っています。mad が相手への怒りに焦点を当てやすいのに対し、upset は動揺や落ち込みまで含む広い語で、ペニーも同じ upset で打ち消しています。怒りの話から、その奥にある気持ちの話へ移った点が見どころです。
「Are you mad that ~ or ~?」で理由を問い返す
レナードは続けて、別れたあとペニーが最初に見つけた背の高いハンサムな男と付き合い始めた、と言います。ペニーの返しはこうです。
Penny: I’m sorry, are you mad that I dated Zack or that you didn’t?
(ごめん、怒ってるのは私がザックと付き合ったから?それとも、あなたが付き合えなかったから?)TBBT Season11 Episode09
Are you mad that A or that B? は、怒りの理由を2つ並べて相手に選ばせる質問です。ここでは2つ目が冗談の選択肢で、ザックの見た目をほめたレナード自身の言葉を逆手に取った皮肉と言えます。普段の会話では Are you mad at me, or just tired? のように、2つ目に穏やかな可能性を置くと、責めずに理由を確かめる聞き方になります。
別の場面で、ザックのもとを訪ねた二人に、ザックが尋ねます。
Zack: Are you guys fighting?
(君たち、けんかしてる?)Penny: Yeah.
(うん。)Leonard: No.
(してない。)Zack: Are you fighting about whether or not you’re fighting? ‘Cause I’ve had that fight before. Turns out we were, and I lost.
(けんかしてるかどうかで、けんかしてるの?俺もそういうけんか、したことあるよ。結局してたことになって、俺の負けだった。)TBBT Season11 Episode09
ペニーは Yeah、レナードは No と答えが割れます。whether or not ~ は「〜かどうか」で、けんかの有無そのものが言い合いの種になっている状況を言い当てています。第三者のひと言で、二人の食い違いがはっきり見える形です。ペニーはこのあと、ザックに事情をこう説明します。
Penny: Leonard thinks when we broke up, it didn’t bother me.
(レナードはね、私たちが別れたとき私は平気だったって思ってるの。)TBBT Season11 Episode09
| 段階 | 表現 | 働き |
|---|---|---|
| 受け流す | Oh, really? | 否定をそのまま信じない |
| 指摘する | Tell that to ~ | 食い違う証拠を示す |
| 理由を問う | Are you mad that ~ or ~? | 怒りの理由を確かめる |
否定する側と認める側の答えが並んだときにも、こうした返し方の順番を意識すると会話が整理しやすくなります。
まとめ|否定の奥にある気持ちを聞く
今回は、I’m not mad. という否定に対して、Oh, really? で受け流し、Tell that to ~ で表情を指摘し、Are you mad that ~ or ~? で理由を問い返す流れを見てきました。返し方の段階を知っておくと、相手の本音に近づく会話がしやすくなります。
次回も『ビッグバン★セオリー』と一緒に、会話の英語を見ていきましょう。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、二人の言い合いの前後がより立体的に見えてきます。


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