海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン4第19話では、ロンドンに帰る予定の恋人エミリーとの今後を、ロスが真剣に考えます。この回には、口にした一言を打ち消したり、言い直したりする場面がいくつも出てきます。
「本気じゃなかった」と「撤回する」は、日本語では近く感じても、英語では言い方が分かれます。I didn’t mean it と I take it back を中心に、言いすぎを言い直す形や、前言を訂正する形を見ていきます。
「I didn’t mean it」と「I take it back」はここが違う
ロスの部屋で、エミリーは荷造りを終えています。戻ってきたロスは、一緒に住もうと切り出します。少しあと、エミリーは自分の人生のすべてがあちらにあると言い、ロスのほうがイギリスに来てほしいと返します。それを受けたロスの答えから見ていきます。
Ross: I can’t. I would. I really would. But my son is here.
(無理だよ。行けるなら行く。本当に行くよ。でも息子がここにいるんだ。)
Ross: I can’t leave him. You don’t think there’s any way?
(あの子を置いていけない。何か方法はないかな?)
Emily: Oh, I don’t think so.
(うーん、ないと思う。)
Emily: It would be different if it was way into the future and we were getting married or something.
(ずっと先の話で、私たちが結婚するとかなら、話は別だけど。)
Friends Season4 Episode19(The One with All the Haste)
It would be different if ~ は「もし〜なら話は別」と、今はそうではないことを仮定して言う形です。ロスに聞き返されると、エミリーはすぐに自分の言葉を打ち消します。
Emily: I shouldn’t have said “married.”
(「結婚」なんて言うべきじゃなかった。)
Emily: Uh, please don’t go freaky on me.
(ねえ、お願いだから引かないで。)
Emily: I didn’t mean it. I didn’t say it. I take it back.
(本気じゃなかったの。言ってない。取り消すわ。)
Ross: No. Don’t.
(いや、取り消さないで。)
Ross: Why don’t we?
(しようよ。)
Emily: Why don’t we what?
(しようって、何を?)
Friends Season4 Episode19(The One with All the Haste)
エミリーは、取り消しの言い方を立て続けに並べています。それぞれの働きは次のとおりです。
| 表現 | 働き |
|---|---|
| I shouldn’t have said ~ | 言ったこと自体を悔やむ |
| I didn’t mean it | 本気ではなかったと、意図を打ち消す |
| I didn’t say it | 言わなかったことにする |
| I take it back | 発言を撤回する |
I didn’t mean it は「言ったけれど、そのつもりはなかった」と意図を否定する形です。
これに対して、I take it back は「その言葉を引っ込める」と発言そのものを取り下げる言い方です。
ロスの No. Don’t. は、その取り下げを止める返しです。Don’t のあとには take it back が省かれていると読めます。続く Why don’t we? は「〜しようよ」と誘う形で、エミリーが口にした結婚の話を、そのまま提案として拾い上げています。エミリーは Why don’t we what? と何の話かを聞き返し、ロスが Get married. と答えると、You are mad! と返します。この mad は「怒っている」ではなく「どうかしている」の意味です。
「I didn’t mean that. I just meant ~」言いすぎを言い直す
カフェのセントラルパークで、ロスはジョーイとチャンドラーに、エミリーがこちらへ越してくるべきだと話し、一緒に住もうと頼むことまで口にします。チャンドラーは、冷蔵庫の牛乳のほうが付き合いが長いと冗談で返します。ジョーイもチャンドラーと同じ考えだと言い、ロスの返事を受けてこう続けます。
Joey: You don’t want to wreck it. Don’t go too fast.
(ぶち壊したくないだろ。急ぎすぎるなよ。)
Ross: No. You’re right. I know, you’re right. I’m not going to do it.
(いや、そうだな。分かってる、お前らの言うとおりだ。言わないでおくよ。)
Friends Season4 Episode19(The One with All the Haste)
wreck は「壊す、台無しにする」です。ロスは You’re right. を2回くり返して相手の意見を受け入れ、I’m not going to do it. と続けます。be going to の否定で「するつもりはない」と自分の考えを引っ込める言い方で、取り消しの言い方とは違い、まだ口にしていない計画を取り下げる形です。ただし、この時点でこう言ったロスは、のちにエミリー本人に一緒に住もうと持ちかけることになります。
同じ日、モニカとレイチェルが住んでいた部屋では、二人がバスケットボールの年間チケットと部屋の交換を持ちかけています。しぶるチャンドラーがチームを悪く言う一言を口にすると、ジョーイが反応します。
Joey: Whoa!
(おい!)
Chandler: I didn’t mean that. I just meant that the apartment is worth so much more.
(今のはそういう意味じゃない。部屋のほうがずっと価値があるって言いたかっただけだ。)
Friends Season4 Episode19(The One with All the Haste)
I didn’t mean that. は、前の節の I didn’t mean it と同じ形で、that は直前に口にした自分の一言を指します。打ち消したあと、I just meant (that) ~(言いたかったのは〜ということだ)で中身を言い直すのがこの形の特徴です。打ち消すだけで終わらず、本来伝えたかった内容を続けられます。このあとチャンドラーは、ジョーイの短い相づちを受けて、チームをたたえる一言も付け足しています。
「Okay, it was my idea」前言をすぐに訂正する
男性陣がバスケットボールの試合から戻ると、女性陣が元の部屋に戻っていました。チャンドラーが女性陣の部屋の前で開けるよう呼びかけると、女性陣が一人ずつドアを開けて答えます。
Rachel: We took our apartment back!
(部屋は返してもらったわ!)
Phoebe: I had nothing to do with it.
(私は関係ないから。)
Phoebe: Okay, it was my idea. But I don’t feel good about it.
(分かった、私の案よ。でも気分はよくないの。)
Friends Season4 Episode19(The One with All the Haste)
レイチェルの took our apartment back の take ~ back は「〜を取り戻す」で、I take it back の「撤回する」と同じ組み合わせでも意味が異なります。続くフィービーの have nothing to do with ~ は「〜とは関係がない」です。フィービーは一度ドアを閉めてから開け直し、Okay, it was my idea. と言い直します。
ここでの Okay は、さっき言ったことを覆す前置きとして働いています。続く But I don’t feel good about it. は「でも、それについていい気分ではない」と、自分の気持ちを添える一文です。
前の節までの I didn’t mean it や I take it back は、口にしたことを引っ込める形でした。フィービーの言い直しはその逆で、否定していたことを認め直す形です。打ち消しと言い直しの向きの違いが、二つの場面を並べると見えてきます。
まとめ|言った一言を取り消す英語
I didn’t mean it は意図の否定、I take it back は発言の撤回、I shouldn’t have said ~ は言ったことへの後悔と、取り消しの言い方は働きが分かれます。I just meant ~ で言い直す形と、Okay, it was ~ で認め直す形もあわせて知っておくと、言いすぎたときの返し方の幅が広がります。
ロスとエミリーの会話を追うと、一言の取り消しが思わぬ方向へ話を進めていくのが分かります。
この回のフレーズ記事やほかのコラムでは、同じ場面の別の英語も取り上げています。


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