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『フレンズ』シーズン4第13話では、部署がなくなってパーソナルショッピングの担当に回されたレイチェルが、客のジョシュアを自分から誘おうとします。仲間の助言を受けて用意したのは、バスケットボールの試合のチケットでした。
誘いの言葉は、言い方ひとつで相手の受け取り方が変わります。「two tickets」と「an extra ticket」の違いを中心に、誘う前の迷いから言い直しまでを順に見ていきます。
「give him something he can’t say no to」断られにくい誘い方を考える
チャンドラーとジョーイの部屋にやって来たレイチェルは、今日ジョシュアと1時間一緒にいたのに、まだ誘われていないと話します。自分から誘ってみればと勧められても、どう誘えばいいのかも分からないと言います。それでも電話で誘うと決めてかけてみますが、口から出たのは財布の落とし物の話で、誘わないまま電話を切ってしまいます。そのあとの会話です。
Rachel: Oh, God, I just got so nervous that he was gonna say no.
(ああもう、断られると思ったらすごく緊張しちゃった。)
Joey: Well, you gotta give him something he can’t say no to, like, uh, Knicks tickets. Invite the guy to a Knicks game. You’re guaranteed he’ll say yes.
(だったら、向こうが断れないものを差し出さなきゃ。たとえばニックスのチケットとかさ。その男をニックスの試合に誘えよ。絶対イエスって言うから。)
Friends Season4 Episode13(The One with Rachel’s Crush)
say no は「断る」をそのまま言う、ごく短い言い方です。レイチェルの I got so nervous that ~ は「〜と思ってすごく緊張した」と、緊張の中身を that 以下で説明する形です。
ジョーイの give him something he can’t say no to は、「断れないものを差し出す」という意味で、誘いの言葉より先に、相手が乗りたくなる中身を用意しようという助言です。文末の to は say no to ~(〜を断る)の to が残った形なので、落とさずに言うのが自然です。You’re guaranteed he’ll say yes. は「彼がイエスと言うのは保証されている」が直訳で、「絶対に乗ってくる」と強く請け合う響きを持ちます。
ここで用意されたのは「断られにくい誘いの口実」です。ただ、口実が魅力的であるほど、誘いの言葉のほうをはっきりさせないと、相手には別の意味で伝わることがあります。それが次の場面で起こります。
「Would you like to go to ~?」誘い文句を言い換えて練習する
場面は店に移り、レイチェルは試着室にいるジョシュアを待ちながら、誘い文句を一人で練習します。
Rachel: Would you like to go to a basketball game with– You know, it’s funny, basketball, because I happen to have tickets to— Who likes the Knicks?
(『一緒にバスケットボールの試合に行かない……』『ねえ、おかしな話なんだけど、バスケットボールってね、たまたまチケットがあって……』『ニックスが好きな人っている?』)
Friends Season4 Episode13(The One with Rachel’s Crush)
Would you like to go to ~? は「〜に行きませんか」と丁寧に誘う形です。I happen to have ~ は「たまたま〜を持っている」で、誘いを偶然のように見せる前置きとして働きます。3つ目の Who likes ~? は相手を名指しせず、話題を投げてみる言い方です。最初の2文は途中で止まっています。
試着のあと、ジョシュアは礼を言って店を出ていきます。レイチェルが「Basketball」と呼びかけると、ジョシュアが戻ってきます。そこでレイチェルが口にしたのは、練習とは違う言い方でした。
Rachel: I have two tickets to the Knicks game tonight if you’re interested, just as a thank-you for this week.
(今夜のニックスの試合のチケットが2枚あるの。もし興味があれば、今週のお礼ってことで。)
Joshua: Wow. That would be great.
(わあ。それはいいね。)
Friends Season4 Episode13(The One with Rachel’s Crush)
if you’re interested は「もし興味があれば」と、相手に断る余地を残す添え言葉です。just as a thank-you の just は「ほんの」に近く、「ほんのお礼として」と申し出を軽く見せる働きをします。どちらも誘いを押しつけがましくしない工夫ですが、このあとジョシュアは、甥がこのチームの大ファンなのだと答えます。
「two tickets」と「an extra ticket」の違い
その晩、チャンドラーとジョーイの部屋で、ジョーイが「次はどう言う?」とレイチェルに確かめています。
Rachel: “An extra ticket.” Not “two tickets.”
(「1枚余ってる」。「2枚ある」じゃなくて。)
— So the first time you asked a guy out he turned you down?
(つまり、初めて男の人を誘ったら断られたってこと?)
Rachel: He didn’t turn me down. He’s at the game, isn’t he? I got the date. I’m just not on it.
(断られてないわよ。彼は試合に行ってるでしょ?デートはちゃんと取り付けたの。私がそこにいないだけ。)
Friends Season4 Episode13(The One with Rachel’s Crush)
I have two tickets は「チケットを2枚持っている」という事実を言うだけで、誰がその2枚を使うのかは言っていません。そこに「お礼として」が添えられると、2枚とも相手に差し出す申し出として受け取る余地が生まれます。一方の I have an extra ticket は「1枚余っている」で、自分の分がもう1枚あることが前提になります。余った1枚に相手を誘う形なので、自分も一緒に行くという含みが出ます。
turn ~ down は「〜を断る」で、誘いや申し出を断るときによく使われる句動詞です。レイチェルはこれを否定し、I got the date. I’m just not on it. と返します。get a date は「デートの約束を取り付ける」、be on it は「その予定に自分が入っている」に近く、「デートの約束は取れた、私が行っていないだけ」という冗談めかした言い返しと読み取れます。
まとめ|誘いの言葉は「誰が行くか」まで言う
give him something he can’t say no to や Would you like to go to ~? から、two tickets と an extra ticket の差に行き着く流れを見てきました。自分も行くことを言葉に含めると、誘いが誘いとして伝わりやすくなります。
チケット1枚の言い方をめぐるやりとりを観ていると、短い言葉の選び方の重さが見えてきます。
この回のフレーズ記事やほかのコラムでは、同じエピソードの別の場面を取り上げています。


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